大会に向けてトレーニングをしたい
筋トレが趣味で仕事の合間にジムで汗を流し、健康的なライフスタイルを楽しんでいた。筋トレによって体力も増し、自己管理には自信を持っていた。しかし、ある日突然、左膝に原因不明の痛みを感じるようになった。最初はトレーニング中の軽い捻挫かと思ったが、痛みは日に日に強くなり、日常生活にも支障をきたすようになった。
まず整形外科に行き、膝の痛みを訴えた。レントゲンやMRI検査を受けたが、結果は「異常なし」。医師からは、原因が不明であること、また痛みが続く場合はさらに詳細な検査が必要であることを告げられた。
その後も膝の痛みは続き、運動するのが辛くなってしまった。トレーニングのプログラムを見直し、痛みが強くなる動作を避けたり、膝のストレッチやアイシングを試みたりしたが、いっこうに改善の兆しが見られなかった。次第に、膝の痛みが生活全般に影響を及ぼすようになり、仕事や日常の活動にも支障をきたすようになっていた。
そのとき、ネットで「原因不明の膝の痛み」と検索し、たまたま見つけた記事に目を通すことにした。その記事では、膝の痛みが実際の損傷や障害とは異なるケースがあること、また原因が見つからない場合でも痛みを和らげる方法があることが述べられていた。特に、「体のバランスや姿勢の問題が影響している場合がある」という内容に興味を持った。
その情報をもとに、インターネットで検索した際に、塩川カイロプラクティックを知り来院に至る。
骨盤の可動制限
左腰部起立筋の筋緊張
左大腿筋膜張筋の筋緊張
腰部の椎間板にD2/3レベルと慢性的な段階が確認されたため、週1回のケアからスタートすることにした。
4週目(4回目のアジャストメント)には、トレーニング時の左膝痛の出現回数が減少してきた。
夜にランニングした際に痛みが出ることがあった。マックマレー(‐)
5週目(5回目のアジャストメント)には、左膝の痛みは落ち着いているが、デッドリフトをした際に左前脛部に鈍痛があった。
8週目(7回目のアジャストメント)には、病院での経過診察で経過良好とのことでリハビリも無くなったとのこと。4月にストロングマンの大会があり、それに向けてメンテナンスを続けることにした。
23週目(10回目のアジャストメント)には、無事ケガなくストロングマンの大会も出場出来た。
その後もメンテナンスのため、月1回のカイロプラクティックケアを続けることにした。
今回の膝痛の原因は、骨盤部の乱れから膝に大きな負担が掛かっていたものと考えられる。骨盤が脊柱の土台であり、土台が不安定になることで、椎間板と神経の負担を引き起こし、それが下肢の痛みや不快感に繋がることがある。骨盤をアジャストメントした後に下部頸椎の所見が無くなったため、骨盤部と上部頸椎にアプローチを絞った。
トレーニング時の左膝痛は、マックマレー検査が陽性であったが、MRIなどでは異常なく膝の内側の構造的な問題はないと考えられるが、内圧上昇による疼痛の感作が考えられる。椎間板の圧迫が軽減され、神経の影響が改善された可能性があります。また、骨盤の調整が膝のアライメントを改善し、膝にかかる負荷が減少したことが考えられる。
腰部の椎間板問題が神経に圧迫をかけることで、下肢に痛みが生じることがあります。支配領域の筋肉が過緊張などを引き起こし、正常な関節運動を阻害する一因にもなる。椎間板の圧迫が軽減されることで、神経への圧迫が減少し、膝の痛みや正常な筋肉に対するコントロールが行えるようになり改善される。
また、今回は副交感神経の範囲にアプローチをしたが、交感神経の過剰な働きが筋肉の緊張を引き起こし、副交感神経のバランスを整えることで、体全体の症状改善に影響を与えたとも考えれる。
在宅ワークなど社会全体の働き方に変化があり、それに伴い健康意識が高まって運動をする人が増加している。そのことにより身体の負担が増え痛めるケースもある。ケガであれば医療の範囲でもあるが、痛みの部位に問題がなく身体のアンバランスや神経伝達の問題により慢性化しているケースもあります。
トレーニングの観点からも筋肉をコントロールしているのは、神経と脳なので神経伝達を正常化することで、トレーニングの効率化が図れます。継続的なケアとメンテナンスが、健康維持とパフォーマンスの向上につながることが確認できた症例であった。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室金城 寿生
1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティック治療室に入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。