
ランニング後に辛くなる
約30年前から空手やレスリングなどさまざまなスポーツに取り組み、長年にわたり身体を鍛えてきた。その過程で左肩の脱臼を経験しながらも、トレーニングを続け、現在はトライアスロンにも挑戦しており、特に水泳を頻繁に行っている。
ハードなトレーニングを積んできた影響もあり、以前から肩甲骨周りの張りやコリを感じることが多く、特に脇の下の広背筋や三角筋の後部に強いこわばりを感じることがあった。そのため、セルフケアとしてストレッチを毎日行い、なるべくコンディションを整えるように努めてきた。
しかし、今年に入ってから左股関節に新たな問題が現れ始めた。ランニング後に股関節に痛みと詰まり感を感じるようになり、最初は一時的なものかと思い様子を見ていた。しかし、時間が経つにつれ痛みや違和感が増していき、次第にトレーニングや日常動作にも影響が出るようになった。
このままでは思うように運動ができず、長年続けてきたトライアスロンやトレーニングにも支障をきたすのではないかという不安が募っていった。根本的に身体を見直し、しっかりとケアをする必要があると感じていたところ、インターネットで当院を知り、改善の可能性を求めて来院することを決意した。
左仙腸関節周囲の浮腫
左股関節開排制限
上部頚椎の可動制限
腰部の椎間板にD4レベルと慢性的な段階が確認された。本人の仕事との兼ね合いもあり週1回のケアからスタートすることにした。
3週目(4回目のアジャストメント)には、ランニング後の左股関節の痛みや詰まり感は出なくなった。左股関節外旋制限なし。パトリック(‐)。泳いだ後は左肩の凝りは出たり出なかったりと波があるとのこと。帰国するため、次回来院が1か月後。
10週目(7回目のアジャストメント)には、泳いだあとの左肩の凝りも気にならなくなってきたとのこと。左股関節も問題なし。左仙腸関節も可動し浮腫もL5下端に残存してきた。体表温度や可動制限がL5に残存しているため、L5に移行した。1か月に1回のケアとした。
25週目(11回目のアジャストメント)には、トライアスロンの大会も無事上位入賞し、その後も問題なかった。本人の希望もあり1か月に1回のメンテナンスを継続することにした。
今回の股関節の痛みの原因は、骨盤に問題があったと考えられる。股関節には腰椎や仙骨から出る神経に支配されてる。骨盤部が不安定になることによりそれらの神経に負担をかけサブラクセーション(神経伝達異常)があることで、股関節の痛みとして身体のシグナルが発生する。
股関節の問題のほとんどのケースでは、股関節自体に問題があるわけではなく股関節に負担をかけている他の場所に問題が存在する。 確かに遺伝的な問題で股関節の形状が生まれつき変形している場合もあるが、そのような場合でも成長とともに体は適応し、股関節周辺の筋肉や靭帯は強化されていく。
また股関節が急に変形することもない。 股関節が変形するまでには必ず時間が経過していく。 股関節が変形するということは体が適応しているという意味があり、 股関節の形状を変化させ環境に適応しているのだ。 一般的に考えると、股関節の形状が変形してしまうのは悪いものとされ辛いものでもあるが、しかし股関節の形状が変形するということは、一生懸命に体が適応していることを意味している。
股関節のトラブルには、股関節の前面に痛みが現れていると腰椎の問題や変形が進行していると骨盤の顕著な傾きが確認されることがある。
今回のケースでは、痛みを訴えている左側の仙腸関節に可動制限がみられ、股関節に供給している神経に問題があり、損傷部分の修復が行われていない状態になっていた。
腰椎の椎間板の慢性度合を見ても左股関節の痛みは今年からのようですが、5年から10年ほど神経に負担がかかっていたと考えられます。骨盤部が安定することにより神経の伝達が正常になり回復がスムーズになったこと、痛みにより周りの組織の緊張が改善され可動制限も改善したと考えられる。
神経を介して脳と体を繋ぐ神経のサイクルが正常であれば、損傷をしても自然に治癒することができるようにプログラムされています。 アジャストメントによってサブラクセーションを取り除き身体の情報を脳へ正確に届けることが大事だと再認識できた症例だった。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室金城 寿生
1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティック治療室に入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。