高校生の頃から常に左半身に原因不明の違和感があり、勉強や仕事に支障が出ていた
高校生の頃から左半身に常に違和感があった。違和感の内容として、左骨盤が中に入ってくる感覚、左後頭部がグニャっとなる感覚などがあったが、病院に行って説明しても精神的な問題と言われてしまう状態だった。
社会人になり地方に配属となり慣れない環境での長時間労働や人間関係に悩まされ、そのせいか違和感もだんだん強くなり、2年働いたのちに医師からうつ病の診断を受け休職することになった。
その後も仕事に復帰できず何か手はないかと探していたところ、知人から話で当院を知り来院された。
上部頸椎の過緊張
仙骨のぶよぶよした浮腫
左仙腸関節の可動制限
初診時には日常生活で常に違和感を感じており、早く違和感から解放されたいという本人の意思があったことに加え、上部頸椎にはっきりとサブラクセーションが確認できたため、まずは週1回のペースでケアを続けることにした。
3回目のアジャストメント後には3日ほど違和感がない日があったが、5回目のアジャストメント時には違和感がだんだん強くなる感覚があったりと症状が上下している状態だった。しかしその中でも仙腸関節の可動性と上部頸椎の緊張は抜けてきていたため、同じペースでのアジャストメントを続けることにした。
6回目のアジャストメント時には仙腸関節の可動性が安定してきたことで、S3PLに切り替えた。上部頸椎は緊張は残るが、明らかに動きやクラック音が変わってきていた。
6回目以降から徐々に違和感がない日が増え始め、最初は表情が暗く症状以外の会話もほとんどできなかった状態だったのが、徐々にコミュニケーションが取れるようになり笑顔がちらほら見られるようになった。
9回目のアジャストメント時には1週間違和感のない状態を維持できるようになっていた。また、上部頸椎もかなり安定してきていたため、10回目のアジャストメントから2週間に1回にケア間隔を伸ばしてみることにした。
14回目のアジャストメント時には2週間は違和感のない状態が続くようになり、仙腸関節や上部頸椎も安定した状態をキープできるようになった。また、休職していた会社を辞め就職活動も始められるようになった。
現在はこの状態をキープしたいという思いから2~3週間に1回の頻度でケアを続けている。
今回の患者さんは左半身の違和感に加え、うつ病と診断されている状態でした。うつ病により仕事も休職している状態でしたが、ヒアリングを続けているうちにうつ病は左半身の違和感が強くなってから顕著にメンタル面が崩れていったとのことだったため、まずは主訴の左半身の違和感に集中してケアを行うことにしました。
レントゲンではL5の椎間板が約5~10年の負担がかかり放置されていた状態とやや慢性的で、左仙腸関節の可動制限がはっきりと見受けられたことに加え、特に左の上部頸椎の過緊張が見られたことで、副交感神経領域であるその2箇所に絞ってアプローチをすることに決めました。
身体に起こる感覚異常においては上部頸椎や骨盤等の副交感神経領域のサブラクセーションのケースが多く見られます。理由は、副交感神経サブラクセーションによって交感神経が過剰になることで神経が敏感な状態になり、その結果ほんの少しの刺激に対しても敏感に刺激を受け取ってしまう状態になるためです。
今回のケースにおいては骨盤部と上部頸椎にはっきりとしたサブラクセーションが確認でき、様々な検査をした上で確信を持ってアジャストメントを行うことができたため症状の上下に惑わされることなくしっかりとアジャストメントを続けることができました。
基本的な神経の回復サイクルは3ヶ月周期であると言われています。それをあらかじめしっかりと説明し、症状の上下があっても我慢強くアジャストメントを続けたことで脳と身体が神経によってしっかりと繋がり、その結果高校生から続く慢性的な症状が約3ヶ月で落ち着くという早期の改善につながったと考えられます。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉
神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。