
立っているとお尻が痛くなってくる
7〜8年前、美容師として働いていた頃に腰痛を自覚するようになった。仕事では長時間立ち続けたり、中腰の姿勢をとることが多く、腰に負担がかかる状況が続いていた。その結果、慢性的な腰痛に悩まされるようになった。
近所の整形外科を受診し、レントゲン検査を受けたところ、「腰椎椎間板ヘルニア」と診断され、それによる坐骨神経痛があると説明された。しかし、最終的には「加齢によるもの」と言われ、湿布や痛み止めの処方だけで根本的な解決には至らなかった。納得がいかず、別の病院にも行ったところ、そこでは「仙腸関節の緩みが原因」と指摘された。
2023年8月、美容学校の教職として勤務中、立ち仕事の最中に体を少し動かした際、左のお尻からふくらはぎにかけて痛みを感じるようになった。その後、痛みを我慢していたが、11月には一時的に症状が落ち着いた。しかし、12月になると授業で長時間立っていることが多かったためか、再び同じ部位に痛みが出現した。
現在では左足の感覚低下も見られ、中腰の姿勢を取ると痛みが強くなる。座っているよりも立っているほうが痛みが増すが、症状に時間帯による変化はない。普段から散歩や運動はしていないため、筋力の低下も影響している可能性がある。また、左ふくらはぎが夜間によくつり、感覚が低下しているため触られてもはっきりと感じないことがある。歩行中につまずくことも多くなり、不安を感じていた。
14年前に脳腫瘍が見つかり、現在も経過観察中である。腫瘍は目の奥にあり、その影響で嗅覚が低下しているものの、今のところ手術の予定はない。腰や足の症状との関連は不明だが、何らかの影響がある可能性も考えられた。2か月前の検査では異常は見られなかった。
親戚が当院に通院しており、紹介を受けて来院した。長年続く腰痛を解決し、再発を防ぐために根本的な原因を知りたいという思いがあった。また、趣味の旅行を楽しめるようになりたいという願いもあり、治療を受けることを決意した。
腰部全体の起立筋の過緊張
左短下肢
初診時の視診では、体幹前傾姿勢と左単下肢が確認された。体表温度検査では、S2、C5、C1に異常反応が見られ、左右の温度の誤差が確認された。静的触診では、腰部全体の起立筋の過緊張と左腰の熱感が認められた。動的触診では、左仙腸関節の可動制限が見られた。レントゲン評価では、L4、L5の椎間板がD4レベル、C5、C6の椎間板がD4レベルと慢性的な変性が確認された。椎間板の状態から週2回の通院ペースとした。なお、C1に関しては、サブラクセーションがみられる時と安定している時があり、毎回のアジャストメントはしていない。
4回目のアジャストメント後には、左腰部や臀部に痛みはあるものの、歩きやすくなっていると感じるようになった。このタイミングで、患者が持参したレントゲンを確認し、今後の施術計画を調整した。
8回目のアジャストメント後には、全体的に体調が良くなってきたと実感し、立ち仕事をしていても気になることが少なくなってきた。ただし、前日に草むしりをしたため、少し腰に疲れを感じていた。
10回目のアジャストメント後には、他県で開催された1日音楽フェスに参加し、ほぼ腰痛を感じることなく観戦できたと喜んでいただけた。
14回目のアジャストメント後には、調子が良いためウォーキングを開始し、初回から1時間ほど散歩できるまでに回復していた。健康のためにも運動をしなくては、という気持ちがあったが、なかなかできていなかったので、調子が良くなったのを機に体づくりをしていくとのご報告をいただいた。
執筆者OKA接骨院・鍼灸院・カイロプラクティック岡芹 侑哉
1993年、埼玉県出身。柔道整復師・鍼灸師の免許取得。接骨院・鍼灸院・整形外科の研修後、接骨院を開業。塩川スクールにてトムソン教室、クレニオセラピー、上部頸椎ボディドロップターグルリコイル、Gonstead seminar修了。現在、塩川スクールの検査のインストラクターとしてカイロプラクターの育成に携わる。