長年悩んでいた首と肩の血行不良の左右差が改善
24歳の時、体調を崩し大学にて精密検査と全身のCT検査をしたところ、生まれつき、右の動脈が狭く、右側の橈骨動脈も狭いと診断される。それもあってか、肩や首の血行が良く無いと判明した。それからというもの、時々体調が崩れるようになってしまった。左の血管は右の倍近く発達しているので、頭から足先まで右と左は別人の様な感覚を子供の頃から覚えている。
ここ最近はホルモンのバランスのせいなのか、皮膚に痒みが有り健康診断では腎臓の機能も低下していると判明した。
様々な違和感や不調を感じ始めたことに、恐怖を感じ少しでも長生きをしたいと思い、様々な治療方法を調べるうち、当院のことを知り来院に至る。
左胸鎖乳突筋の過緊張
肩や首など全体的に左右差を強く感じている
頸部においても、腰部においても椎間板の段階はD3,4と慢性化しているため、初期集中期は週に2回は診たいところではあるが、遠方からお越しであるため2週〜3週に1回のペースでお越しになられた際は1日に2回みる形で進めていくこととしケアを開始した。
3回目のケア(2週間後)では、目の見え方に左右差が減った気がするとのことであった。左の胸鎖乳頭突筋の緊張が減少傾向にあった。神経圧迫はまだ継続してある。
5回目のケア(4週間後)では、右肩の違和感はなくなり、左右の感覚の違いがかなり落ち着いてきたとのこと。またカイロを受け始めてから性格が穏やかになった気がするとおっしゃった。頸部の緊張はかなり減少しており、浮腫も小さくなった。
7回目のケア(8週間後)では、全身の感覚は左右差なく過ごすことができるようになった。現在はメンテナンスとして腎臓や過去の事故により痛めている足首のケアを継続している
本症例では、生まれつき椎骨動脈という首にある血管に狭窄があることが診断されている稀な例で、カイロプラクティックケアによって感覚が回復していった例であります。
この患者様においては、頚椎一番のサブラクセーション(神経圧迫)が顕著に確認することができました。左の首の緊張をはじめ、首の腫れ感やナーボスコープの反応からして推察できます。
上部頸椎(頚椎1,2番と後頭骨)は脳幹という脳の一部の機能と密接な関係があるとされています。その上部頸椎のサブラクセーションよって脳幹の機能が低下すると、脳幹のうちの延髄という箇所にも影響が出ることが推察できます。延髄は神経交叉というものが存在し、右と左の感覚が交差するポイントがあります。また延髄には、皮膚感覚や、温度覚・痛覚などが経由する地であります。つまりは、カイロプラクティック上では、椎骨動脈の狭窄よりも、延髄に対する神経圧迫によって感覚の左右差が生じたことを考えることが大切となります。
結果的に土台である骨盤および、頚椎1番の神経圧迫が解消されたことで、長年悩まれていた感覚の左右差が解消されたと考察ができます。
また自律神経において、頚椎一番と骨盤は副交感神経と関係があり、副交感神経が神経圧迫によって機能低下することで、毛細血管が収縮することで肩の顕著な凝りなども出現したと考えられます。
椎骨動脈の狭窄が先天的に見られた本症例のように、先天的な欠損や異常があったとしても、神経圧迫がある箇所を正確に見つけ出し取り除くことで、本来持つ自然治癒力が発揮されることにより、感覚神経が回復することが可能であることがわかる珍しい症例でありました。
性格が変わった気がするというのは、非常に興味深い例で、サブラクセーションは感情にも干渉することがあるのか今後の課題として検討したいと思います。
執筆者NEOCHI関野 貴友
1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。