

急いでるのに走れない…あの頃が噓のよう!
2024年2月に左足首を捻挫したが、約3か月ほどで痛みは落ち着き、その後は走れる程度まで回復していた。そのため本人としても「もう治った」と感じており、日常生活で大きく気にすることはなく過ごしていた。
しかし、2025年1~2月頃から、特に思い当たるきっかけがないまま同じ左足首に再び痛みが出るようになった。普段の歩行では大きな問題はないものの、早歩きや走ろうとした時に、左かかとから足背にかけて痛みが出る。特にかかと側の痛みが強く、「かかとをつきたくない」「張るような感覚がある」と感じることがあるという。
日常生活は何とか送れている一方で、急いで移動しなければならない場面や、走る必要がある場面では痛みが出るため、「また悪化するのではないか」「このまま長引くのではないか」という不安を感じていた。以前は一度回復したと思っていた部位であったため、原因が分からないまま再発していることも気がかりであった。
足全体のだるさやつま先側の痛みはなく、生活の中で特に負担となるような出来事も思い当たらない。また、階段や坂道の多い生活ではなく、スポーツ習慣もない。なお、2023年には右足首を捻挫しているが、こちらは後遺症なく経過している。
運動は好きでもなく運動習慣は学生時代からない。吹奏楽部だったり、今もデスクワークをしているため座っていることがほとんどである。
また、体調面では、昼過ぎから午後にかけての頭痛や眼精疲労、脈が飛ぶような感覚、1年前のぎっくり腰の時期から生理痛が重たいといった症状がある。
こうした状況の中で、「急いで歩く場面や走らなければならない場面でも、痛みを気にせず安心して動けるようになりたい」と考え、ケアを受けたいと思い来院された。
左PSIS上部の窪んだ浮腫
左仙腸関節の可動制限
左短下肢
初診時の状態では、左腰部の緊張や左仙腸関節の明らかな可動制限とPSIS上部の窪んだ浮腫が確認された。レントゲンの状態からもL5の椎間板スペースがD6であることから週3回のケアをご案内したが、仕事の都合上週1回のケアからスタートすることになった。
4週目(4回目のアジャストメント)には、眼精疲労、頭痛、足甲、踵の痛みがなくなった。
9週目(8回目のアジャストメント)には、体の不調を感じていないとのこと。会社でフロア移動の際に階段を利用するように変えたら、腰痛も起きなくなった。左右の仙腸関節の可動性は良い。3ヶ月間は2週間に1回のペースを継続していくことをお伝えした。
13週目(10回目のアジャストメント)には、睡眠の質が向上していることを体感できていると伺えた。かかとの痛み、かかとを着きたくない感覚もないとのこと。頭痛はたまに出ることはあるが、薬を飲まずに過ごせる程度になっている。左PSIS上部の浮腫や可動制限もほぼなくなっているため4週に1回のケアに切り替えた。
現在は、かかとの痛みに悩まされることなく、腰痛も頭痛もほぼ感じずにいる。この状態を維持するためにも定期的なケアの重要性に共感をいただき、お出かけを楽しみたいと4週に1回のペースでカイロプラクティック・ケアを続けている。
今回のケースは、仙腸関節の可動制限が腰部の椎間板に負担をかけ、慢性的な腰痛を引き起こしていたと考えられる。
仙腸関節が適度に可動性を保てていない状態は、背骨の椎間板に過度に負担をかける要因となる。さらに、普段から運動の習慣がなく、運動が好きでもなかったため、座り姿勢や動くことが少なかったことも、負担を逃がすことができず回復しにくくなっていたのだろうと思われる。
仙腸関節は左右の腸骨と仙骨をつなぐ関節で、片側の仙腸関節の可動性が低下すると反対側の仙腸関節は補正作用によって可動性が亢進してしまう。左右の可動性に差が出ると普段の生活の中で常にねじれの動作が生じる。
このねじれの動作が背骨に影響し、骨と骨の間にある椎間板はねじれの動きに弱い構造となっているため、15年以上の長い期間腰部に負担がかかり椎間板の状態がD6になったと結論づけた。
かかとの痛みは仙腸関節の可動性に左右差が生じたことで、安定性が低下した骨盤を無理に支えようとして、足に負担が蓄積されていったと考察する。
今回は仙腸関節に対してアジャストメントによって、神経の流れが良くなったことで、脳が体の損傷状態を正確に把握できるようになり、かかとの痛みが改善されていったと考えられる。
また、日中から夕方にかけての頭痛や眼精疲労は交感神経過剰による筋肉の緊張によるものとされている。この症状は筋肉の緊張によって血流が低下し、老廃物が流れにくくなったことで、毒素の蓄積し体がシグナルを発している。
そのため副交感神経の支配領域である骨盤部をアジャストメントしたことで、交感神経と副交感神経の正常に機能するようになり、適切な毒素排出がされ、機能回復に至ったと考える。
本症例はかかと痛が主訴でありながら、様々な症状をお持ちのケースであったが、その1つ1つが別々の原因に起因するものではなく、骨盤部の神経の流れが悪くなったことによるものだった。根本原因を的確に検査し、サブラクセーションのみをアジャストメントすれば、あらゆる症状は自然治癒力によって改善されていくとわかった素晴らしい症例であった。


執筆者OKAカイロプラクティック髙村 悠二
東京都出身。理系大学を卒業後、ミュージシャン・音楽講師として活動を始める。活動の中で解剖学や身体の使い方という視点からの上達法をSNSで見て、「体の仕組み」に興味を深め、整体の専門学校に入学。専門学校卒業後、整体師としても働き始め、勤務先でカイロプラクティックに出会う。より本格的な技術と理論を学ぶため、シオカワスクールに入学を決意し、CSセミナーCLセミナーを修了する。勉強していく中で、自分が音楽家として活動するのではなく、カイロプラクティックでサポートしていきたい気持ちが強くなり、音楽講師をやめ、OKAカイロプラクティックに入社。カイロプラクティックの素晴らしさを普及するため日々施術に臨む。シオカワスクールで後進の育成にも携わっている。