寝起きに必ず腰が痛くなり、起き上がるのに時間がかかる
コロナ禍に入り、急激に通っていたジムに行くことができず、運動不足が続いてしまった。それからというもの、ほとんど体を動かさないからか、徐々に体が重たくなり、朝に腰が痛むよになってしまった。特に寝起きの瞬間に痛みが出て、起き上がるまでに時間がかかってしまう。またテレワークに変わり、首の肩首の調子も悪い。運動を開始する前に身体を良くしておきたい。という思いからネットで検索していたところ、当院を発見し来院に至る。
仰向けになると腰に痛みがある
座り姿勢が続くと腰が痛くなってくる
仙骨の3番を中心にスポンジ状のぶよぶよとした浮腫感
MRI上では腰椎5番の椎間板のレベルがD2~3であることが確認でき、日常生活にも徐々に支障が出てくるような悪化してきていることから週1回もしくは2週に1回はお越しいただくようにご提案しました。お仕事の都合に合わせてご来院いただきました。
3週目(3回目のアジャストメント)の頃には、寝起きの腰痛は残っているものの、仕事中に腰がつらくなることが減ってきたとおっしゃっていました。浮腫の範囲も小さくなっていて、首の調子は非常に良いそうです。
7週目(10回目のアジャストメント)の頃に、寝起きの腰痛がかなりマシになってきているとのことでした。体表温度も落ち着き、浮腫も一点に集中した形で、範囲が狭まっています。
10週目(15回目のアジャストメント)の頃には、腰痛は落ち着いてきていて、メンテナンスに移行しています。
この患者様の腰部に関しては、骨盤のうちの仙骨という骨盤中心部分に浮腫が顕著でありました。過去の怪我の影響もしくは、テレワークが続いたことによって骨盤部に負荷がかかっていたことが推測されます。
仙腸関節の問題による腰痛においては、座った直後から痛みが悪化したり、30分以内での短時間の坐位姿勢での痛みの増悪、歩いている時の痛みなどが特徴として挙げられます。
また、夜に向かうにつれて痛みが悪化し、朝に緩和する傾向があります。
腰椎の問題による腰痛においては、座った状態から立ち上がる際の痛み、長時間の坐位姿勢での痛みの増悪、歩いたりや横になることでの痛みが緩和するということが特徴として挙げられます。
また朝に痛みが悪化し、夜になるにつれて緩和していく傾向があります。
今回の患者様の場合、一見腰部の問題の特徴に当てはまります。
ですが仙骨の可動制限が顕著に見られており、逆に腰椎の可動域が過剰になっていることから、それによって腰椎の不安定性が生じました。
人は常にバランスを取っています。もし骨盤が動かないのであれば、その代わりに腰椎が通常の範囲を超えて大きく可動してしまったり、負担がかかってしまいます。
つまりは腰椎はどちらかと言えば被害者であり、本元の問題は骨盤部にあるといえるのです。結果的に腰椎の腰痛の特徴が発現したといえるでしょう。
土台である骨盤などもしっかりと検査をした上でアジャストメントする場所を選定していくことがいかに重要であるかを再確認できた症例でありました。
具体的には仙骨の後方変位が強く、その補正によって腰椎の前弯が過度になってしまったと言えます。
その結果として腰椎への負荷が高まり、寝起きの腰痛などにつながったと言えるでしょう。
腰椎箇所に痛みがあったとしても、体表温度測定や静的触診、動的触診で施術箇所を絞り、経過を見ることで、結果的に原因の追求がしやすく、改善も早まると言えます。
執筆者NEOCHI関野 貴友
1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。