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3ヶ月間痛みで座ることができなかった原因不明の腰痛

3ヶ月間痛みで座ることができなかった原因不明の腰痛

40代女性
主訴
3ヶ月間痛みで座れないほどの激しい腰痛と左足の痺れ
来院に至った経緯

もともと腰痛とは無縁の生活を送っていた。

10月、いつも通りの朝を迎えるはずだったが、目が覚めて起きようとした瞬間腰に激痛が走ったことをはっきりと覚えている。起き上がろうとしても起きることができず、時間をかけてどうにか起き上がっても座る事はおろか、歩行すら困難な状況になってしまっていた。

全く心当たりがない突然の腰痛だったため、まず仕事をキャンセルして病院へ向かった。病院でレントゲンやMRIなど様々な検査を受けると、腰椎5番の椎間板ヘルニアと診断を受けた。しかし病院ではこれはもっと前からあるものだと言われ、今回の腰痛に関しては全く原因がわからないと言われてしまった。

手術するほどでもないとの事から痛み止めと湿布を処方されたが、痛み止めを飲んでも座れない日々が続いた。椅子に腰掛けると激痛が走り、少し動くだけで足先までしびれが出てきてしまっている状態だった。

唯一痛みを感じない瞬間がお酒を飲んでいる時で、体にアルコールが入っている時はとても快適に過ごすことができた。それからというのも毎晩お酒を飲むようになり毎日二日酔いの日々が続いた。しかし日中の仕事になるとバスの移動すら困難で、パソコンは座って触ることができないため、立って作業をしなければならなかった。

仕事はおろか日常生活にも影響が出てしまっているため、様々な治療を試みたが、目立った回復の兆しは見られず病院でもこれ以上できる事はないと言われてしまい途方に暮れていた。

そんな時にSNSで症状を投稿し、なにか良い方法はないかとアンケートを募ったところ、1番多くお勧めされたのが当院だった。カイロプラクティックを受けた事はなかったが、これだけ多くの人から名前が上がったことでここだったら良くなるのかもしれないと思い来院を決意した。

初診の状態
  • 01

    痛みがひどく待合でも座っていられない

  • 02

    爪先まで続く足の痺れ

  • 03

    スムーズな歩行が困難

経過と内容

日常生活で座っていられないことに加え、アルコール依存症になりかけている状態であり、また、椎間板の慢性度合いがD 5とかなり慢性的であったことから、週2回のペースでのケアを始めることにした。

初回のアジャストメントで少しだけ変化があり、その日は若干座れるようになったが、それ以降は目に見える変化がない状態だった。しかし、4回目のアジャストメント時にはついに変化が見られた。今までは当院へ通うための交通手段でも座れない状況が続いていたが、その日は座って来れたとの事だった。しかし検査では引き続き左仙腸関節の可動制限や仙骨から腰椎にかけての大きめの浮腫など負担がかかっている様子が確認できたため、油断はせずそのままケアを続けることにした。

8回目のアジャスメント時には足のしびれがなくなった。まだ寝起きなどに臀部からふくらはぎまでに続く痛みなどは多少残っているものの、かなり和らいできている状況だった。左仙腸関節の動きも徐々に安定してきており、仙骨への切り替えのタイミングを伺うことにした。

11回目のアジャストメントから左仙腸関節が安定してきたことにより仙骨への移行を始め、13回目のアジャストメント時には症状に上下はあるものの比較的落ち着いてきており、最初の頃にあった鋭い痛みやしびれなどはなくなっていた。仕事も多少気にしながらではあるが、問題なく取り組めており、元気で生活できていることに感謝できているとのことだった。

現在は週一回のスペースに切り替えさらなる改善を目指してケアを続けている。


考察

今回のケースは、突如発生した原因の腰痛での来院だった。

病院では腰椎椎間板ヘルニアと診断を受けており、腰部から臀部を通り左足先まで坐骨神経痛やしびれなども顕著に見られている状態だった。

最初の3回目までは顕著な変化が見られなかったものの、3回目のアジャストメント時、ずっと気になっていた上部頸椎のアジャストメントをしたタイミングから、経過がガラッと良くなった。

まずレントゲン側面像において腰椎5番の椎間板だけに慢性的な負担が見られる場合、仙腸関節のサブラクセーション(根本原因である神経伝達異常)を疑うケースが多い。

片側の仙腸関節がロックすることで、それの補正として逆側の仙腸関節が過剰に動いた結果、椎間板にとって負担がかかると言われる回旋の負担が腰椎5番にかかっていくためだ。

今回は腰椎5番の椎間板はD5レベルとかなり慢性的で左の仙腸関節もはっきりとしたサブラクセーションが見受けられるなど骨盤部からも腰椎に負担がかかってきてしまっている状態だった。

椎間板レベルの慢性度合いが強い場合、その椎骨自体にサブラクセーションが起こっている場合もあるが、もう一つのパターンとして下位セグメントでサブラクセーションが起こった補正として過剰な動きが生じ、椎間板に負担がかかっているケースがある。そのため、レントゲン評価で椎間板が慢性的だからといってアジャストメントの対象になるわけではないということに注意しなければならない。

そのため、まずは仙腸関節からアジャストメントをを始めたが、仙腸関節のサブラクセーションが取り除かれたことによって、脳と身体が正常に繋がり治癒力が正常に働いたり、腰椎5番にかかる負担が減ったことなども併せて症状の改善に繋がったと考えられる。

また、上部頸椎のアジャストメントした後、仙骨の浮腫が少なくなっているのを確認することができた。骨盤部と上部頸椎は副交感神経によるつながりがあり、相互に影響与えやすい箇所である。

このように、しっかりと神経系のアプローチを定め、患者様に必要最低限のアジャストメントを行っていくことで、早期の段階で身体の状態に変化が出てきたと考えられる。

自分の中でアプローチに確信を持てない時、いろいろな箇所をアジャストメントしてしまうケースが多いが、アジャストメント箇所が多くなると治癒力が分散してしまうだけでなく、どこがメジャーなサブラクセーションかの特定が難しくなってしまう。しっかりと自分の中で考察を立て、それに沿ってアプローチを定めていく重要性を再認識できた症例だった。

高島 克哉

執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉

神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。

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