シオカワグループ シオカワグループ

子供の頃からの慢性的な腰痛

子供の頃からの慢性的な腰痛

40代男性
主訴
腰痛
来院に至った経緯

患者は、慢性的な腰痛を主訴として来院された。この腰痛は約15年前から慢性的に続く腰の中央部の痛みを自覚しており、これまでも完全に気にならない状態はなかったという。

今回は、初回の10日ほど前から腰痛が悪化し始めた。職場では、デスクワークの部署にいるが、以前担当していた現場作業を任され、久しぶりに重い物を持つ作業が続いたことがきっかけで、腰に違和感を覚え始めた。強い腰痛は5~6年ぶりであり、以前はぎっくり腰のように突然強く痛めた感覚だったが、今回は徐々に悪化していった経過であった。4日前に重労働が重なった際に「あ、いったな」と感じる瞬間があり、そこで症状がピークに達した。

日常生活では、ズボンを履くことも困難なほどであったが、発症から4日ほど経過した現在は強い痛みは落ち着いてきている。ただし、腰の奥に残る違和感は続いている。

もともと腰痛が始まったきっかけについては、右膝の不調をかばっていたことが関係しているのではないかと感じている。以前、膝に水が溜まり検査を受けたところ、内側側副靱帯を損傷していたことが分かった。親や祖母も膝の手術を受けており、家系的に膝が弱いのではないかと考えているという。膝をかばう動作を続ける中で、腰に負担がかかってきたのではないかと本人は推測している。

学生時代は床運動を含む体操系のスポーツをしており、その頃から足のしびれや膝の不調、腰痛を感じることがあった。立っていることや立ち上がる動作では痛みが出やすいが、座位や横になっていると比較的楽である。歩くとやや緩和する感覚があり、現在も散歩の習慣は続けている。

副主訴として、手足の冷えを感じることがある。これがいつ頃から始まったかははっきりしないが、ここ最近は特に気になることがあるという。

症状が悪化すると、「体の使い方を工夫しながら付き合っていくしかないのではないか」「ベルトをして守りながら生活するしかないのではないか」と感じており、しゃがむときには腰を意識して入れるよう心がけている。しかし本音としては、痛みを気にせず動ける状態になりたいという思いが強い。また、状態が安定すれば、身体を鍛え直し、少しハードな動きにも挑戦してみたいと考えているが、現状では怖さがある。

当院を選んだ理由は、職場の方などが通院しており、皆「調子が良くなった」と聞いたことがきっかけである。信頼できる紹介を受け、「一度診てもらおう」と思い来院に至った。

初診の状態
  • 01

    仙骨中央のスポンジ状の浮腫

  • 02

    腰部起立筋の緊張

経過と内容

初回では、腰部起立筋の筋緊張が強く、スポンジ状のぶよぶよした浮腫が仙骨中央部に大きくはっきりと確認できた。

レントゲン画像では、L4の椎間板レベルがD5であることが確認できたため、初期集中期の通院のペースを週3回で提案したが、週2回からスタートすることとなった。

7週目(8回目のアジャストメント)には、腰の状態が良く、問題なく過ごすことができている。重たいものを持つことはまだ難しく、ベルトをつけながら仕事をしないと怖い感じである。

16週目(13回目のアジャストメント)には、腰はずっと調子が良く、まわりがぎっくり腰をしているが自分はならないで済んでいる。腰部の筋緊張も減っていて、夜の散歩も1時間続けている。走ったら膝の外側がピキッときて痛みが出た。現場作業からデスクワークの部署に戻ることができたが、8時間座りっぱなしだからか、肩の張りや眼精疲労がある。

35週目(18回目のアジャストメント)には、散歩を継続して行っていて腰や膝の調子は良く、最近は走ることも問題なくできている。デスクワークが長くなってきて腰への負担を大きく感じるが、回復も早くなっていると感じている。

現在は、以前のような腰の痛みを引き起こさないためにもセルフケアと継続してカイロプラクティック・ケアを続けている。


考察

本症例の患者は、子どもの頃から腰痛を感じやすい体質であり、約15年前からは慢性的に腰の中央部の痛みを自覚するようになっていた。

今回の来院のきっかけとなった腰痛は、久しぶりに重い物を持つ作業が続いたことを契機に徐々に悪化し、最終的には日常生活でズボンを履くことも困難な状態にまで達したものであった。

しかし経過を詳しくみると、今回の急性症状は突然起こったものではなく、長年の身体の使い方や神経機能の負担が積み重なった結果として表面化した可能性が高いと考えられる。

患者は学生時代に体操競技を行っており、その頃から腰痛や膝の不調、足のしびれなどを感じていたと述べている。また既往歴として右膝内側側副靱帯損傷があり、膝をかばう動作を続けてきた可能性がある。

膝関節の機能低下がある場合、日常動作の中で体重のかかり方や身体のバランスが変化し、骨盤や腰椎への負担が増加することは臨床上しばしばみられる。患者自身も「膝をかばって腰に負担がかかったのではないか」と感じており、このような身体全体の連鎖が腰部の慢性的な負担につながっていた可能性が考えられる。

初診時の検査では、仙骨中央部に明確なスポンジ状浮腫と圧痛が確認され、動的触診ではS2の可動制限が認められた。骨盤、とくに仙骨は脊柱の土台に位置する部位であり、この部位に機能的な問題が生じると脊柱全体のバランスや神経伝達に影響を及ぼすと考えられる。

実際に本症例では、腰部起立筋の強い緊張や腰椎過前弯といった所見がみられており、骨盤部の安定性の低下が腰部の筋緊張を引き起こしていた可能性がある。

また体表温度検査では上部頚椎と仙骨に反応がみられ、脳と神経のコミュニケーションに何らかの影響が生じていた可能性が示唆された。

カイロプラクティックでは、背骨のサブラクセーションによって神経伝達が妨げられると、身体が本来持つ回復力が十分に発揮されにくくなると考えられている。本症例においても、慢性的な骨盤のサブラクセーションの影響で、腰部周囲の筋緊張や慢性的な違和感として現れていた可能性がある。

仙骨のサブラクセーションに対してアジャストメントを継続した結果、比較的早期から腰部の緊張の減少が確認され、7週目には日常生活で大きな問題なく過ごせる段階まで回復した。

その後も経過は良好で、16週目には腰痛をほとんど意識することなく生活できる状態となり、夜間の散歩を1時間継続できるまでに回復している。さらに35週目には走ることも可能となり、身体の負担がかかっても回復が早くなったと本人が実感する段階に至った。

このような経過は、単に局所の筋肉や関節の問題が改善しただけではなく、神経機能が回復し、身体全体のバランスが整ってきた結果である可能性が高い。特に骨盤部の安定性が回復することで脊柱全体の協調が改善し、長年続いていた腰部への過剰な負担が軽減されたと考えられる。

現在はセルフケアとともに定期的なカイロプラクティック・ケアを継続しており、症状を繰り返さない身体づくりを目標としている。本症例は、骨盤部の神経機能の回復が長年の腰痛の改善に関与した可能性を示すものであり、人間が本来持つ回復力の大きさを改めて実感させる症例であった。

髙村 悠二

執筆者OKAカイロプラクティック髙村 悠二

東京都出身。理系大学を卒業後、ミュージシャン・音楽講師として活動を始める。活動の中で解剖学や身体の使い方という視点からの上達法をSNSで見て、「体の仕組み」に興味を深め、整体の専門学校に入学。専門学校卒業後、整体師としても働き始め、勤務先でカイロプラクティックに出会う。より本格的な技術と理論を学ぶため、シオカワスクールに入学を決意し、CSセミナーCLセミナーを修了する。勉強していく中で、自分が音楽家として活動するのではなく、カイロプラクティックでサポートしていきたい気持ちが強くなり、音楽講師をやめ、OKAカイロプラクティックに入社。カイロプラクティックの素晴らしさを普及するため日々施術に臨む。シオカワスクールで後進の育成にも携わっている。

pagetop