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首痛

首痛

夜起きてしまう程の首痛が改善した

70代女性
主訴
首痛・左背中の痛み
来院に至った経緯

3年くらい前から左首の痛みと左の背中の痛みが出てきてしまい、夜も眠れない程痛みがあり、焼ける様な痛みが続いていた。特に思い当たるきっかけは無かったがテレビでやっていた首のストレッチをやってから症状が出るようになったと思われる。左に向く事(左回旋)と上を向く(伸展)が困難で、左の背中までも痛みが走る。特に朝起きた時が悪く首が思うように動かない事が多い。口を開けても左首に痛みがでる。日中は我慢が出来るくらいだが、日常に家事に支障を来してしまっている状況だった。
整形外科に受診したところ加齢からくる問題だから仕方がない。薬で痛みを抑えましょうという診断だった。骨粗鬆症の検査では年相応との事だった。1日2回の痛み止めと、夜は湿布を貼り、整形外科のリハビリで首の牽引を行っていた。半年通ったが一向に首の痛み、背中の痛みは良くならず、外に出る事も嫌になってしまっていた。枕が悪いのではないかとも思い、何個も何個も購入し試したが変化はなかった。
そんな時、高校でサッカーをやっている孫が花みずきカイロプラクティック院さんにお世話になって腰痛や足首の痛みが改善したと聞き、私の様な年齢でも大丈夫かすごく不安だったけど、このまま痛みを我慢して残りの人生を過ごすのは嫌だと思い、そして信頼できる先生だと他の方からも薦められたので、藁をもつかむ思いで予約をした。

初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の可動域制限

  • 02

    左腰部起立筋の過緊張

  • 03

    頸部左胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容

下部腰椎の椎間板スペースがD6、その他はD5、頸部の椎間板は全体的にD5レベルと慢性的な状態だった為、週3回のケアを提示したが、送迎の問題や予算の関係上、週1回のケアからスタートすることにした。

2週目(3回目のアジャストメント)には、頸部の可動域が左回旋20°が30°に、右回旋40°が50°と改善してきた。左僧帽筋や起立筋の過緊張は残っている。

6週目(7回目のアジャストメント)には、頸部の可動域が左回旋30°が40°に、右回旋50°が正常可動域に改善してきた。屈曲伸展も正常可動域に改善し、左側屈は35°くらいに少し変化してきた。左僧帽筋の過緊張は少し改善してきた。夜痛みで起きてしまう事が少なくなった。

10週目(10回目のアジャストメント)には、頸部の可動域が左回旋も40°が正常可動域に改善してきた。左側屈も正常の可動域に改善してきた。左僧帽筋の過緊張は薄れ、夜痛みで起きてしまう事が無くなり、ぐっすり眠れるようになった。左腰部の起立筋の過緊張は残ったままであるが、状態も安定してきたので2週間のケアに移行していった。

19週目(15回目のアジャストメント)には、2週間に1回のケアでも、頸部の可動域は良い状態を保ち安定してきた。その頃には頸部よりも上部胸椎(T2)のサブラクセーションが出る様になり、T2のアジャストメントを行う方が患者さんの反応がいいので、リスティングを頸部から上部胸椎に変更した。その結果、頸部の可動がより安定してきた為、アジャストメントの周期を1ヶ月に1回のケアに移行する事にした。現在においても左の僧帽筋の若干の緊張と腰部起立筋の過緊張は残っている為、メンテナンスとして1ヶ月に1回のケアを継続している。

 


考察

【考察】

腰椎や頸椎とも骨と骨の間にある椎間板のスペースが著しく減少しており、カイロプラクティックで表す慢性段階としてはD5~D6になる程(良好D1>D2>D3・・>D6悪化)、サブラクセーションを放置して15年以上経過しているような状態だった。

特に骨盤部では仙骨の左下方に傾き(仙骨基底部は地面と水平が理想)により、腰椎が曲がった状態で支えざるを得なくなってしまい、腰椎に過剰な負担が掛かっていた。腰椎の椎間板スペースもかなり減少し、骨棘が顕著に表れている状態であった。

今回の左首痛と左背中の痛みの原因は、この腰部骨盤部である土台部分の問題により、脊柱が左に傾いた状態になってしまい、重たい頭部を無理して支える状態になってしまっていたと考える。

このように土台が歪んでいる状態で重たい頭部を支え続けていた結果、バランスを取る為に、上部胸椎や頸部においても、サブラクセーションが起こり椎間板スペースの減少に繋がっていたと考えられる。そこでの神経圧迫は脳と体にとって大きな負担となってしまうため、人間は自分自身の身体を守る為、これ以上神経に負担をかけないように頸部全体に重度の可動域制限をかけていたと推測される。またサブラクセーションによる脊髄神経の圧迫は、筋肉の緊張を誘発させる為、頸部の筋肉に過緊張があった。

病院での骨粗鬆症の検査では歳相応との事で、アジャストメントに対して問題無かったと思われるが、安全を加味して慎重に進める必要があった為、施術期間の最初の頃は歪みに対して軽い力でアジャストメントした。その後、ある程度経過が良くなってきたので、通常のアジャストメントに切り替えていった。

今回はサブラクセーションがD5~D6と進行している患者さんに対してのアプローチだった。アプローチする箇所を明確にし、アプローチ方法も安全を担保しながら、継続ケアの結果から症状の改善に導く事が出来た。慢性具合からしても、決して椎間板スペースが改善した訳では無いと思うが、神経機能が良くなった事により、筋肉の過緊張が取れ骨の可動域改善に繋がったと推測する。

どんなに症状が顕著で、どんなにサブラクセーションが進行していても、問題となっている部位を見つけ出し、諦めずに適切にアプローチすることの重要性を改めて感じた症例である。

 

孕石 尚志

執筆者花みずきカイロプラクティック院孕石 尚志

昭和48年7月 静岡県島田市出身
東京世田谷にある東京カイロプラクティック師協会認定の附属治療院でのインターンを経て、2005年7月島田市にて開業。近隣医院と提携したレントゲン評価を導入した正統派カイロプラクティック院として評価され、新規患者の約7割が紹介という広告に一切頼らない口コミによるネットワークを確立。2023年より母校であるカイロプラクティック界の名門塩川スクールにおいて、塩川満章D.C. 塩川雅士D.C.と共にカイロプラクティックの講師として活動中。

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