
”まさかここまで変わるとは思っていませんでした!”
20年以上前から、右腕のしびれと鈍い痛みに悩まされていた方です。特に親指から中指にかけての感覚が常に気になり、ひどい時には夜も眠れないほどの不快感があったとのこと。食事の際に箸を持つだけで痛みが走り、手元がうまく使えない日もあったそうです。
整形外科を受診し、レントゲンやMRI検査を受けた結果、明らかな手術の対象ではないということで、痛み止めの処方とリハビリで経過を観る方針となりました。しかし、数ヶ月、数年と続けても目立った変化はなく、「このまま一生、このしびれや痛みと付き合っていくしかないのかもしれない」と感じるようになったと話されていました。
そんな折、同じ町内に住むご友人が、腰痛で悩んでいたところカイロプラクティックを受けてかなり楽になったという話を耳にします。最初は半信半疑だったそうですが、そのご友人が以前とはまるで別人のように元気に動いている姿を目の当たりにし、「一度試してみよう」と来院に至りました。
ご本人としては「手術や薬に頼るのではなく、体を整えることで自然に良くなる方法があるのなら、それにかけてみたい」との思いが強く、当院でのケアを開始されました。
左右頚肩部の筋緊張が顕著
左腰部起立筋の過緊張
T1~T3にスポンジ状の浮腫感
腰の椎間板は全体的にかなりすり減っており(D5〜6レベル)、首の椎間板も同様に慢性的な変性(D6レベル)が見られました。そのため、本来であれば週3回の頻度で集中的にケアを行うことが理想的でしたが、家庭の事情で長時間家を空けるのが難しいとのことで、週2回のペースでケアを進めることになりました。
施術を始めて約1ヶ月後、8回目のアジャストメント時には、胸椎(背中の骨)の動きの悪さ(T2のFixation)が改善し始め、むくみのような緊張も少しずつ緩和してきました。
さらに9回目の施術では、長年悩まされていた右腕の痛みが「だいぶ楽になってきた」とご本人から報告があり、変化が感じられる段階に入りました。ただし、この時点ではまだむくみ感は残っていました。
1ヶ月半後、11回目の施術では痛みも、腕のしびれもほとんど感じなくなり、ご本人も「まさかここまで変わるとは思っていなかった」と驚かれていました。
その後も継続的にケアを進め、2ヶ月半が経過した27回目の施術では、背中(T3)の特定の部位にだけむくみが限局し、再び動きの制限が見られたため、アジャストメントのポイントをT3へと変更して対応しました。
現在は、症状自体はほぼ改善されていますが、再発の予防と神経のバランスを安定させるために、ケアを継続中です。体の機能そのものを整え直していくフェーズに入っています。
手や腕、肩の「しびれ」には、さまざまな原因が考えられます。たとえば、日常生活で首や背中に負担がかかる姿勢が続くことで、首の骨と骨の間にある椎間板がすり減ったり、神経に圧力がかかったりすることがあります。そのほかにも、更年期に伴うホルモンバランスの変化、糖尿病の影響、腕の血流の悪さ、あるいは「胸郭出口症候群」といって、神経や血管が圧迫されることで起こる場合もあります。
一般的には、こうしたしびれに対して、まずは生活習慣の見直しを行いながら、痛みを和らげる薬や筋肉の緊張をゆるめる薬、神経の回復を助けるビタミン剤、血流を良くする薬などが処方されることが多いです。また、軽いストレッチや運動療法などが勧められることもあります。ただし、こうした対処法はあくまで「症状を抑える」ものであって、根本的な改善にはつながらないケースも少なくありません。
たとえば、長時間手を上げたままにしていたり、寝ている間に腕を下敷きにしてしまったときなど、腕や手がしびれて動かしにくくなった経験は多くの方があると思います。こうした一時的なしびれは、神経や血流の流れが一時的に妨げられたことで起こるもので、時間とともに自然に解消することがほとんどです。
神経は、私たちの体の中で「異常を感知して脳に伝える」という非常に大切な役割を担っています。血流が一時的に止まり、その後に急に再開すると、体の中で「活性酸素」や「痛みを引き起こす物質」が発生し、一時的に強いしびれや痛みとして現れることがあります。
こうした反応は自然なもので、短時間で収まるなら心配はありません。ただし、しびれや痛みがなかなか引かない・繰り返す・広がってきたというような場合は、注意が必要です。
しびれの原因というと「骨のズレ」や「姿勢のゆがみ」といった“構造的な問題”ばかりに目が行きがちですが、カイロプラクティックではそれ以上に「神経の働き」に着目しています。
体は本来、自分で回復できる力=「自然治癒力」を持っています。この力は、神経を通じて脳と体がしっかりつながっていることで、初めて正常に働きます。つまり、神経の流れが整っていれば、ケガをしてもちゃんと回復できるし、ストレスや環境の変化にも体が柔軟に対応できるのです。
今回の症例でも、しびれの原因として特に関係の深かった2つの背骨(椎骨)に着目してケアを行ったところ、神経の機能が回復し、結果として症状の改善につながったと考えられます。
執筆者細井カイロプラクティック細井 康隆
埼玉県さいたま市出身。2011年にスポーツトレーナーとメディカルトレーナーの資格を取得後、2014年に国家資格の柔道整復師資格を取得。接骨院・整体院での臨床と経営経験から多くのセミナー講師を務め、その参加人数は延べ2,000人以上を数える。その後カイロプラクティックと出会い、日本カイロプラクティックのパイオニアである塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.が主宰である塩川スクールで学ぶ。2025年に卒業し、埼玉県さいたま市大宮区にて細井カイロプラクティックを開業。現在は本物の技術を提供するカイロプラクターとして、臨床で多くの患者様と真摯に向き合い施術を行う傍ら、塩川スクールでインストラクターとして後進の指導を行っている。