
痛みが自律神経に及ぼす影響が強かった症例
何年も前から少しずつ姿勢が悪くなってきたと感じ、このころから腰痛が出現したという。そのうえで3年前にぎっくり腰を発症した。その際には整形外科で痛み止めを処方され、落ち着いていたが、2年半前に腰痛の症状が悪化した。
近くの整形外科でレントゲン検査を受けたところ、「滑り症ではないか」と疑われたため、MRI撮影ができる大きな病院で検査を受けた。その結果、「椎間板が薄くなっており、これ以上悪化すると手術が必要」と診断されてしまった。しかし、手術はあまり受けたくなかったため、痛み止めやシップで何とか我慢していたのである。
また、去年くらいから痛みのせいで不眠症も併発していた。睡眠全体でいえば5時間ほど寝ることができるが、途中で腰や坐骨神経痛で目が覚めてしまい、すっきりとできていない状態であった。昼間もどこか眠く、薬が手放せない状況であった。
去年の12月、あまりにも痛みが続くため、整形外科で診察を受けたところ、痛み止めだけでなく、腰痛ベルトを処方された。確かにベルトを巻いていれば腰痛がいくらか軽減するが、完全には痛みは消えないし、寝るときは相変わらず痛みで目が覚めてしまっていた。寝るときは湿布と睡眠薬がないと眠れず、服薬しても何度も目が覚める状態が続き、このままでは体が更におかしくなってしまうことを憂いていた。
そんな時に近所の方が当院に通院して調子が良くなったと聞き、自身も「よく眠りたい」「運動できる体になりたい」という思いで来院に至った。
体幹前傾位
腰部起立筋の過緊張
疼痛性跛行
初診時の視診では、強い体幹前傾位と疼痛性跛行が確認された。体表温度検査では、S1、L5、C5、C1に反応が見られた。また、C5棘突起に浮腫が認められ、右腰部起立筋の過緊張も確認された。そのうえで右仙腸関節およびC5に可動域の制限が見られた。レントゲン評価では、腰部側面像においてL5がD5レベル、頸部側面像ではC5がD5レベルとどちらも慢性的な状態であった。
4回目のアジャストメントでは、症状が少し軽減してきた気がするということであった。また、自分で触ると、お尻の骨の出っ張りが減ってきたのではないかと感じることがあった。なお、1〜3回目の施術では大きな変化は感じていない。
7回目のアジャストメントでは、運動時痛が軽減してきた。このため、家の周りを少しであれば歩けるようになってきたと喜びの声をいただいた。可動域や浮腫感も改善傾向にあり、保持できるようになってきたため、ここで施術のペースを変更した。
10回目のアジャストメントでは、散歩ができるようになり、近所で1,000歩ほどであれば自由に歩けるようになった。また、あまり気にはなっていなかったが首の調子も良く、首が良く回るようになってきたことを気づくことができた。
15回目のアジャストメントでは、仰向けで寝られるようになり、夜の痛みで目が覚めることが減ってきた。病院の先生と相談し、減薬できるように相談してみるという報告をいただいた。
22回目のアジャストメントでは、夜間の不眠が完全に解消し、しっかり眠れるようになったため、体力が以前よりもついてきたように感じる。腰痛も気にならなくなってきたため、以前は全くできていなかった家事ができるようになった。元々掃除が好きなので、掃除機をかけたりすることにストレスなくできているとの事。
執筆者OKA接骨院・鍼灸院・カイロプラクティック岡芹 侑哉
1993年、埼玉県出身。柔道整復師・鍼灸師の免許取得。接骨院・鍼灸院・整形外科の研修後、接骨院を開業。塩川スクールにてトムソン教室、クレニオセラピー、上部頸椎ボディドロップターグルリコイル、Gonstead seminar修了。現在、塩川スクールの検査のインストラクターとしてカイロプラクターの育成に携わる。