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右腕の筋力低下

右腕の筋力低下

右腕の筋力が戻り、趣味のサーフィンができるようになった!

40代男性
主訴
右腕の筋力低下、喘息(空咳)、頭痛(寝起き)、腰痛
来院に至った経緯

社会人になってから、空咳が止まらなくなり消化器内科に行くと喘息と診断された。気道が炎症しているといわれ炎症を抑える薬を処方されたが、薬を飲んでいるときは平気だが、少し薬をやめると再び空咳が出ることが続いていた。

仕事は長時間のデスクワークで毎日10時間近く座って作業している影響か、慢性的に腰痛があった。普段は近所の整体院でマッサージや針治療をしてもらって対処していた。寝起きが特に固まっていて、朝の支度が年々苦痛になってきた。

5年くらい前からは寝起きに頭痛が出るようになった。喘息の薬を服用しているので、これ以上薬は飲みたくなかったので頭痛薬などは飲まないようにしていた。午前中は気になるが、お昼ごろには頭痛が治まっている日が多かった。

趣味はサーフィンで週末は必ず海に出ていた。ちょうど頭痛が始まったときと同じ5年くらい前からサーフィンでパドリング(ボードの上でクロールの動き)をしている時に首を前に向けると、首に張り感を感じるようになった。

大学時代は馬術部に所属していたが、1年前に大学の馬術部の同窓会があって、今度みんなでやろうという話になった。そのときは何も思わなかったが、今になって思えば卒業後27年間一度も乗馬をしていなかったのに乗った自分が悪かったが、その乗馬で落馬して直後から右腕に違和感が出た。頭を打ったのか肩を打ったのか記憶にないが、落馬した当日は右腕にジーンと痺れるような痛みが走っていた。

念のため、翌日整形外科を受診したが異常はないので湿布薬で様子をみましょうといわれた。2週間後にはサーフィンをしても異常がなかったが、その翌週くらいから右腕全体に力が入らないなと感じるようになった。

自宅でお風呂上りに鏡を見てみると、利き腕であるはずの右腕が明らかに細く見えた。家族からも右腕の方が細いと指摘され、病院では異常はないと言われたのに何が起きているのか分からなかった。

いつも通っている近所の整体院の先生にも右腕だけじゃなくて右胸の筋力も低下していますねと言われた。そこで針治療を何度か受けたが、日が経つごとに力が入らなくなるような感覚があり、サーフィンでもパドリングをするだけで異常に疲れるようになった。

落馬した拍子に何か骨がズレてしまったのかもと思い、矯正をしてくれる治療院を探していたところ、仕事関係のお客様からぜひここに行った方がいいと紹介されて当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    隆椎付近の浮腫感と熱感

  • 02

    頸部全体の過緊張

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容

腰部の椎間板にD4レベルと慢性的な段階が確認された。頸部椎間板もD3からD4へ移行している慢性的な段階が確認されたため、週2回のケアからスタートすることにした。

3週目(5回目のアジャストメント)には、右腕に力が入りやすいと感じるようになった。寝起きにあった慢性的な腰痛も楽に感じ、寝起きの支度が痛みなくできるのは何年振りだろうとビックリした。

5週目(8回目のアジャストメント)には、右腕は日に日に力が入る感覚が戻ってきて、サーフィン中にもそれほど疲れを感じなくなった。また寝起きの頭痛はほとんど気にならなくなった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

9週目(12回目のアジャストメント)には、自分でも分かるほど右胸の厚みや右腕の太さが戻ってきた。右腕の違和感はまったくなくなった。また以前はサーフィン中に首に張り感を感じていたが、やっている最中も終わった後も首の違和感もなくなった。

13週目(16回目のアジャストメント)には、喉の調子がすごく良いなと感じるようになり、ために喘息の薬を飲むのをやめたが、たまに空咳が出るものの以前とは明らかに違うと感じるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の右腕の筋力低下は原因は、下部頸椎の神経に大きな負担が掛かっていたものと考えられる。腕に伸びる神経は中部頚椎から上部胸椎から出ているが、検査では顕著に下部頸椎に反応が確認された。

落馬以降、右腕の筋力低下が始まったとのことだが、その前から寝起きの頭痛や空咳が出る喘息があったことからも、以前から下部頸椎の神経には大きな負担が掛かっていたものと考えられる。それが落馬のきっかけで、負担が掛かっている神経系に限界が来たことで、右腕の筋力低下まで起こってしまったのだろう。

下部頸椎は甲状腺と密接な関係があり、寝起きの頭痛は甲状腺からの問題だと考えられる。人間は睡眠時に代謝が低下している。普段から甲状腺機能が低下していると、寝ている間にはさらに代謝が低下してしまい、体内に毒素が停滞しやすくなる。寝起きの頭痛はこの体内に毒素が停滞していた結果、頭痛というシグナルとなって表れていたものと考えられる。

痰が出ないような乾いた咳(空咳)は、化学物質のバランスの乱れが考えられる。こちらも代謝を司る甲状腺の機能が低下することによって、体に毒素が蓄積してしまい、排毒の反応として空咳が出ていたのだろう。

慢性的な腰痛もあったが、検査では下部腰椎にも顕著な反応があった。長時間のデスクワークにより、下部腰椎の神経には大きな負荷が掛かっていたものと考えられる。

どのような症状だとしても、問題を特定する検査が重要であり、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けてあげることの重要性が分かる症例である。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川カイロプラクティック治療室塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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