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受付対応で聞き返してしまう聴力低下・嗅覚異常

受付対応で聞き返してしまう聴力低下・嗅覚異常

40代男性
主訴
聴力低下・自分の声の音量がわからない、鼻詰まり、臭いが感じづらい
来院に至った経緯

片耳が聞こえづらいと感じたのは8年前からで、2ヶ月前から両耳が聞こえづらくなった。役場で仕事をしており、受付対応をすることがある。仕事で聞き返すことが多くなり、相手に嫌な思いをさせてしまっていないかということと、自分の声量がどのくらいかもよくわからないことがストレスに感じ、とても疲れる。

周りが、いい匂いという話題をしている時に自分があまりにおいを感じなかったことで鼻が効いていないことを自覚。

睡眠の質も悪く、朝は疲れが残ってしまっているのと、耳鳴りや耳の閉塞感がある。

他に気になる点として、めまい、頭痛、冷え症、腰痛、足甲痛、腿裏痛がある。

当院に決めた理由は、以前からカイロプラクティックの施術を定期的に受けていたが、そこが閉院したので、新たにカイロプラクティックをしている場所をずっと探しており、当院を見つけ、聞き返すことをやめたくて意を決してご来院された。

この問題に関して、病院は受診されていない。

初診の状態
  • 01

    頚椎3番-頚椎7番の黒ずんでカサカサした状態

  • 02

    右頚部筋緊張

  • 03

    仙骨全体的に黒ずんでカサカサした状態、かさぶたや出血の跡

経過と内容

椎間板の状態から通院のペースを週2回で提案したが、仕事の都合上来られる時に来る形でスタート。

1週目(3回目のアジャストメント)には、睡眠の質が改善し、起床時に疲れが残らない状態に変化した。まだ、後頭骨のFIXは強く、浮腫も来院時には戻っていた。

2週目(4回目のアジャストメント)には、耳鳴りが最近気にならなくなり、腰痛、足甲痛、腿裏痛がない。体のいろんな関節がポキポキ鳴るようになったと言われた。依然として浮腫はあったが、後頭骨の可動性は少し出ていた。

3週目(5回目のアジャストメント)には、4日前(4回目のアジャストメントの4日後)から耳の閉塞感がクリアになり、聞こえるようになった。そして聞き返すことが減った。依然として匂いについてはまだわからず、右鼻が詰まっている。

5週目(8回目のアジャストメント)には、耳と鼻の症状はなくなり、鼻の通りも良くなっていた。右上後腸骨棘上部の窪んだ浮腫も落ち着いてきていて、後頭骨の可動制限は軽くなり保持がされていた。肩の位置と耳介の上方変位も少しになってきたため、週1回のペースから2週間に1回のペースに変えた。しかし最近は朝起きるのがだるく、力が入らないとのことだった。その後、10週目以降はずっと調子を良く保っている。

19週目(13回目のアジャストメント)には、頚部と仙骨部の皮膚の状態が良くなり、黒ずみやカサつきが軽減していた。

22週目(14回目のアジャストメント)には、末端冷え性やあかぎれも去年はあったが今年はなく、足が冷たくて目が覚めることが減った。骨盤部や頭部の浮腫、傾き具合の軽減、症状の改善などから、現在は健康維持のため、4週に1度のペースでカイロプラクティック・ケアを続けている。


考察

今回の聴力低下・嗅覚異常のケースでは、後頭骨と骨盤部のサブラクセーションによる副交感神経の機能低下から症状が起きたと考える。

聴覚は脳から出る12の末梢神経のうち、第8脳神経である「内耳神経」の中の「蝸牛神経」が司り、脳に音を伝える。

 

まず、音が聞こえる仕組みは、外部からの音は空気の振動として耳に届く。空気の振動は耳介で集められ、外耳道を通り、鼓膜に伝えられる。鼓膜は振動し、鼓膜に繋がった耳小骨で音が増幅される。その音の情報を奥にある蝸牛が電気信号に変えて、蝸牛神経を介して電気信号を受け取った脳が、音として認識する。

 

嗅覚は第1脳神経の「嗅神経」が司る。嗅神経は、鼻腔上部の粘膜に分布する。臭いは、ニオイ分子が鼻腔上部の粘膜に溶け込み嗅神経によって電気信号へと変えられ、篩骨篩板を貫いて脳の一部である嗅球へと伝達される。鼻詰まりの場合、鼻腔内の炎症によって鼻の粘膜が腫れているため、ニオイ分子が鼻腔上部の粘膜に届かず、臭いの情報が脳に伝わらない。

 

アトピー性皮膚炎による肌の乾燥や黒ずみは、体内の毒素の蓄積によるものである。この場合、副交感神経優位と交感神経優位のどちらの可能性もあるが、本症例は交感神経優位によるものと考える。

 

交感神経が優位になると、白血球の顆粒球が増加する。顆粒球は細菌やウイルスを退治してくれる働きがあるが、交感神経が過剰に優位になると、細菌の退治に必要な活性酸素が過剰に生成され、周囲の正常な細胞にも損傷を与える。その結果、皮膚の乾燥や傷口が治りにくい、皮膚の炎症などの原因になる。

 

骨盤部および後頭骨のサブラクセーション(根本原因)を取り除いた結果、副交感神経の機能が正常化し、交感神経が抑制された。結果、自然治癒力が十分に発揮され、内耳神経の機能回復および鼻腔内の炎症の改善が認められたものと考えられる。

 

自律神経のバランスが整ったことにより、皮膚からの過剰な毒素排出も抑制され、皮膚状態の改善が確認されたものと考えられる。

 

カイロプラクティック・システムにおいて、症状が交感神経の問題に由来するか、副交感神経の問題に由来するかを絞って的確に判断することの重要性を再認識した症例である。

髙村 悠二

執筆者OKAカイロプラクティック髙村 悠二

東京都出身。理系大学を卒業後、ミュージシャン・音楽講師として活動を始める。活動の中で解剖学や身体の使い方という視点からの上達法をSNSで見て、「体の仕組み」に興味を深め、整体の専門学校に入学。専門学校卒業後、整体師としても働き始め、勤務先でカイロプラクティックに出会う。より本格的な技術と理論を学ぶため、シオカワスクールに入学を決意し、CSセミナーCLセミナーを修了する。勉強していく中で、自分が音楽家として活動するのではなく、カイロプラクティックでサポートしていきたい気持ちが強くなり、音楽講師をやめ、OKAカイロプラクティックに入社。カイロプラクティックの素晴らしさを普及するため日々施術に臨む。シオカワスクールで後進の育成にも携わっている。

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