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原因不明の右下腹部痛

原因不明の右下腹部痛

20代女性
主訴
原因不明の腹痛
来院に至った経緯

元々学生の頃から指定難病である潰瘍性大腸炎を患っており、お腹にガスが溜まりやすい体質ではあったが、潰瘍性大腸炎の症状が出ることはなく生活を続けていた。
しかし、ある日突然夜中に右下腹部の痛みで目が覚めた。痛みは恐ろしいほど激しく、普段おとなしく物静かな性格の女性が呻き声を上げながら痛みに耐えるため自分のお腹を必死につねっていた。その後6時間ほどで痛みはおさまったが、強い力でつねりすぎたためお腹は真っ赤に腫れ上がり内出血していた。また、血尿が出たこともありおかしいということで近所の病院に行くと、ここではわからないからと大きな病院への紹介状を書いてくれた。大きな病院へ行きいくつもの精密検査を受けるも原因はわからず、経過観察となった。
その約1ヶ月後、また同じ症状が発症した。夜中に激しい腹痛が発生し、約6時間でおさまりまた血尿が出た。
次はさらに別の大学病院でいくつもの検査を受けるも原因はわからず、痛み止めを処方された。
しかしその後も約2週間〜1ヶ月の間隔で同じような症状に悩まされた。決まって夜中に激しい右下腹部痛に襲われ、痛みを耐えるためにつねることでお腹は真っ赤に腫れ上がり、その後血尿が出るというサイクルを繰り返しては大きい病院でいくつもの検査を受けた。
最終的に7つの大きな病院を回り、わかったことは「生理痛ではない」ということだけだった。

医学的に原因はわからないが、このままではいつか娘が死んでしまうのではないかと悩む日々が続いた。
しかしお母さまの体の不調がカイロプラクティックにより劇的に回復し、カイロプラクティックが神経と脳の専門家だと知ったことで藁にもすがる思いで来院を決め、泣きながら娘様をつれてこられた。

初診の状態
  • 01

    激しい腹部痛

  • 02

    仙骨の浮腫

  • 03

    右仙腸関節の可動制限

経過と内容

2回目と3回目のアジャストメントの間の期間がちょうど腹痛のタイミングだった。
3回目のアジャストメント時にお話を聞いたところ以前よりは弱い痛みだったとのことだったが、変わらず血尿は出たとのことだった。
こちらの検査では右仙腸関節の可動制限はだ変化してきており、上部頸椎の緊張も徐々に緩んできていた。
4回目のアジャストメント時にも仙骨の浮腫は強く残るものの右仙腸関節の可動制限は抜けていたため、このタイミングから仙腸関節ではなく仙骨S3Pに切り替えてアジャストメントを続けていくことにした。

6回目のアジャストメント時までには周期的に2回ほど腹痛が起こるタイミングがあったが、腹痛がなかったと報告を受けた。
検査では仙骨の浮腫が徐々に1カ所に集まってきており、大きくふっくらしたものから小さく浅めの浮腫に変化してきていた。
また、上部頸椎の緊張も以前よりだいぶ抜けている状態だった・

その後約7ヶ月の期間が空き、久しぶりに来院された。
その間も腹痛が来ることはなく、もう症状のこともほとんど忘れており腹痛で悩まされることはなくなっていた。
血尿もそれ以来出ることはなく、社会人になったタイミングだったためたまに肩が凝るくらいと話していた。

現在は1~2ヶ月に1回のペースで定期的にケアを続け、再発予防に努めている。


考察

今回の下腹部痛は医学的に原因不明とされるケースだった。
通常腹痛の場合、生理痛や子宮内膜症などの婦人科系の疾患の問題や便秘や下痢、食中毒、腸閉塞などの消化器系の問題などが考えられる。
特に右下腹部の痛みの場合、婦人科疾患や憩室炎、虫垂炎、尿管結石などが疑われることが多い。
今回の患者様は潰瘍性大腸炎を患っておりそれによる腹痛も考えられたが、様々な病院に行って数多くの検査を受けても原因はわからない状態だった。
また、血尿は基本的にストレスなどで起こる可能性は極めて低く、病理的な問題で発症するケースがほとんどだとされているがそれに関しても原因がわからないとのことだった。

激しい痛みを伴う腹痛の場合は副交感神経のサブラクセーションが考えられる。
また、激しい腹部痛などは大腸などが起因している可能性もある。
特に子宮・卵巣や大腸などを支配している下部胸椎から腰椎エリアでの問題は腹部痛に関連するものであるが、骨盤サブラクセーションの補正によって問題が発生しているものもある。今回の患者様は実際に下部胸椎から腰椎にかけての動きは過剰になっており、骨盤部の問題からの補正によって過剰な負担がかかっていることが考えられた。

今回のケースでは、骨盤部と上部頸椎の副交感神経エリアのサブラクセーションが取り除かれたことによって体と脳が神経によって正常につながり、自然治癒力が最大限発揮されたことに加えて補正していた箇所の負担も軽減されたことで症状の改善に至ったと考えられる。

高島 克哉

執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉

神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。

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