

“楽しく仕事ができるようになりました!!”
60代男性。主訴はめまいと頭痛。
10年ほど前から同じような症状があり、ここ数年で回数が増えてきた。
立ち上がった時や歩行中に「フワッ」と視界が揺れるような感じが出ることがあり、
夕方になると後頭部が重く締めつけられるような頭痛が続く。
デスクワークや前かがみの姿勢が長くなると首肩が張り、症状が強く出ることが多かった。
不安になり脳外科を受診し、MRIとCTを撮影したが結果は異常なし。
ひと安心したものの、症状自体は改善しなかった。
その後、頭痛クリニックで薬を処方され、
薬を飲めば少し楽になる日もあった。
知人の紹介で鍼にも通い、治療後に軽い日もあったが、
翌日にはまためまいや頭痛が出ることがほとんどだった。
「根本的には良くなっていない」という感覚があり、
薬と鍼で誤魔化しながら生活している状態が続いていた。
そうした中で、仕事中にめまいが強く出て、
思わず手を止めて座り込むような日があり、
「そろそろ本気で原因を調べないといけない」と考えるようになった。
インターネットで治療法を調べている中で、
ナーボスコープによる背骨の神経圧迫の検査や立位での骨盤と全ての背骨のレントゲンを見て、原因を特定して施術する当院のことを知り、
「一度しっかり調べてもらおう」と思い来院された。
左頸部のしこり
頚肩部の強い筋緊張
肩甲骨内側部の筋緊張
腰部、頸部ともに椎間板の段階としてはD3~4レベルだったので週に2回からのケアが理想的だったが、遠方だったことと仕事のスケジュール上週に1回からのケアでスタートすることにした。
3週目(3回目のアジャストメント)では左頸部にあったしこりが消失。
仕事中に常に抱えていた悩みとして思考力の低下があったとの事だったがそれも無くなってきたとの事。
11週目(10回目のアジャストメント)では頚肩部の緊張がかなり取れてきてめまいの症状と頭痛の症状はほとんど出ないくらいになっていた。
仕事中もめまいや頭痛がなくなった事によって以前より楽しく仕事ができるようになったとの事。
14週目(12回目のアジャストメント)ではめまい、頭痛は気にならなくなったし、眼瞼下垂も以前ほど気にならなくなったとのこと。
とにかく毎日仕事が楽しくできて嬉しいとの事だった。
体全体の緊張も抜けていた。
今回の患者さんは、上部の首(上部頚椎)と骨盤のいちばん下(仙骨)の両方に神経圧迫(サブラクセーション)が見つかりました。
この2ヵ所サブラクセーションによって、副交感神経の働きがうまく伝わらず、結果として交感神経のスイッチが入りっぱなしになるような状態が続き、自律神経のバランスが大きく乱れていたと考えられます。
上部頚椎のサブラクセーションは、副交感神経の中心となる迷走神経の働きを弱めてしまい、本来ブレーキの役割を果たす副交感神経が十分に働けません。
そのぶんアクセル役の交感神経が強くなり、血管の収縮やうっ血が起こりやすい状態になって、拍動性の頭痛や頭の重さにつながっていたと考えられます。
またこの交感神経の働きすぎは内耳(耳の奥)の血流にも影響し、リンパ液の循環が乱れたり、必要以上に溜まりやすくなったりします。
その結果、体が実際には動いていないのに動いているように感じてしまい、めまいが出ていた可能性があります。
一方で、仙骨のサブラクセーションは骨盤周りの神経や、下部の副交感神経(S2〜S4)の働きを弱めてしまいます。
首と仙骨の両方で副交感神経がうまく働かない状態になると、体はさらに交感神経に偏ってしまい、自律神経の“切り替え”ができなくなります。
その結果、常に体が緊張モードから抜け出せない状態になり、頭痛やめまいが出やすくなります。
これらのサブラクセーションに対してアジャストメントを行い、まず上部頚椎が整うと、副交感神経の働きを邪魔していた要因が取れ、迷走神経が正常に機能できるようになります。
そのことで、強く働きすぎていた交感神経も落ち着き、頭痛の原因となっていた血流の乱れも改善しやすくなります。
同時に仙骨のサブラクセーションを取り除くことで、骨盤側の副交感神経の働きも整い、自律神経の「上(首)」と「下(仙骨)」のバランスが回復します。
この上下が連動して整うことで、自律神経の切り替えがスムーズになり、体の緊張状態が正常に戻っていきます。
結果として、頭の血流・耳のリンパ液の流れ・全身の姿勢やバランス感覚が同時に安定し、
頭痛とめまいの両方が改善したと考えられます。


執筆者細井カイロプラクティック細井 康隆
埼玉県さいたま市出身。2011年にスポーツトレーナーとメディカルトレーナーの資格を取得後、2014年に国家資格の柔道整復師資格を取得。接骨院・整体院での臨床と経営経験から多くのセミナー講師を務め、その参加人数は延べ2,000人以上を数える。その後カイロプラクティックと出会い、日本カイロプラクティックのパイオニアである塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.が主宰である塩川スクールで学ぶ。2025年に卒業し、埼玉県さいたま市大宮区にて細井カイロプラクティックを開業。現在は本物の技術を提供するカイロプラクターとして、臨床で多くの患者様と真摯に向き合い施術を行う傍ら、塩川スクールでインストラクターとして後進の指導を行っている。