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寝ていても目覚めてしまう動悸

寝ていても目覚めてしまう動悸

50代女性
主訴
めまい、動悸、首こり・肩こり、腰痛
来院に至った経緯

現在、荷物の持ち運びを伴う重労働の仕事をしていて首から肩にかけて張りやすく、慢性的な腰痛も抱えている。何年も前から感じてはいたが、仰向けで寝ると骨盤周辺に違和感を覚えるため、常に横向きで寝る習慣がついていた。

半年前からストレスを感じると動悸やめまいが発症するようになる。症状の出る時間帯には特徴があり、朝の通勤時に始まり仕事中に症状が悪化し、夕方には落ち着くというパターンが続いていた。その後、職場を変えたことでめまいや動悸の頻度は徐々に減少したが完全には治まっていない。現在は、就寝中にも動悸で目が覚めてしまい睡眠の質にも悪影響が出ている状態。

また、新型コロナウイルスの流行を機にマスクの着用が習慣化してから、息苦しさや酸欠のような症状を感じるようになる。

子どもの頃から消化機能が弱く、毎朝3回ほどお通じがあるほど敏感な腸の状態だった。冷えや刺激物の摂取によってすぐにお腹を下し、常にお腹の張り感が続く状態が続いていた。乳酸菌飲料を試すなど、腸の調子を整える努力をしてきたが思うような改善には至っていない。

これまでに整体やリンパマッサージなどを定期的に受け、施術後は一時的に楽になるものの根本的な解決には至らず。そんな中、知人の紹介を受け、根本原因を改善するために来院された。

初診の状態
  • 01

    頚椎から背中、腰部にかけて過緊張

  • 02

    右仙腸関節の可動域制限

  • 03

    仙骨全体の浮腫感

  • 04

    右アトラス、後頭部の浮腫感、過緊張

経過と内容

腰部の椎間板がD5からD6レベルと確認されたため、週2~3回のケアが理想的ではあったが、仕事の都合上、週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、首や肩の筋肉の緊張が軽減、張り感が楽になった感覚があった。

5週目(4回目のアジャストメント)には、仕事が続いても腰痛が気にならなくなった。

10週目(8回目のアジャストメント) には、朝3回もお通じが出ていたのが1回になった。

17週目(10回目のアジャストメント)には、めまい、動悸の症状はほどでなくなり、ケアペースを3週間まで広げることができた。

来院した時から、動悸めまいの症状は落ち着き始めていたが、より症状が出る回数が減って安定しするようになった。


考察

今回のケースでは、長期間のストレスにより自律神経が乱れ、めまい・動悸・睡眠の質の低下といった症状が主訴としてみられた。さらに、骨盤および上部頚椎の可動域制限と体表温度検査における顕著な反応が確認されたことから、この部位での神経に負担がかかっていることが強く疑われたため、副交感神経に絞ってアプローチを開始した。

自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスによって調節されている。上部頚椎、特に第1頚椎は、副交感神経の重要な経路である迷走神経に大きな影響を与える。迷走神経は、心拍数の調整、血圧(特に拡張期血圧)の安定、消化機能の促進などを担っており、この神経の働きが阻害されると、動悸や血圧の変動、消化不良、さらには睡眠障害といった症状を引き起こすことにも繋がる。

また、平衡感覚を司る内耳神経(前庭神経)も上部頚椎の影響を受けやすく、頚椎での神経の働きが低下することで、めまいの発生要因となる可能性がある。今回のケースにおいてもストレスによる交感神経の過活動が続いた結果、長期間にわたる神経系への負担がめまいや動悸の原因となったと考えられる。

さらに下痢の症状もみられた。消化管の運動は副交感神経によって促進される一方で、交感神経が優位になると腸の蠕動運動が抑制され、消化・吸収機能が低下する。その結果、大腸での水分吸収が不十分になり、下痢を引き起こしやすくなる。長期間のストレスによって交感神経が過剰に働き続けたことが消化機能の乱れにも影響を及ぼしていたと推測される。

アジャストメントによって、サブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、症状の改善に繋がった考えられる。 

長年、動悸やめまいに悩んでいたが、神経の流れを整え、回復力を高めることの重要性が確認できる症例である。

中島 恵

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。

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