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動くことに不安を抱える慢性的な腰痛と左脚の痺れ

動くことに不安を抱える慢性的な腰痛と左脚の痺れ

毎日の腰の重さや不安が軽減し、安心して身体を動かせるようになりました!

カテゴリ: 腰痛前田 一真
60代女性
主訴
慢性的な腰痛、坐骨神経痛、左脚の痺れ
来院に至った経緯

小学生の頃からクラシックバレエを続けており、現在も週に2回はレッスンを行い、長年身体を動かし続けてきた。60代になった今も「まだまだバレエを続けたい」という思いは強く、身体の不調があってもできる限り動き続ける生活を送っていた。

腰の違和感を最初に覚えたのは、今から10年以上前のことだった。はじめは疲れが溜まった時に重く感じる程度で、少し休めば治まっていたため、深く気にすることはなかった。しかし3〜4年前頃から腰の痛みがはっきりと強くなり、寝返りを打つことがつらくなったため整形外科を受診した。レントゲン検査の結果、背骨が下にいくにつれて左側に傾いていることを指摘され、同時に左側のお尻から脚にかけて坐骨神経痛が出ていると説明を受けた。

その頃から、左の太ももの前側や外側にしびれを感じるようになり、立ち上がる動作や歩き始めに違和感が強く出るようになった。特に急に立ち上がろうとすると腰がすぐに伸びず、身体を起こすまでに一呼吸置かないと動けない感覚があった。ぎっくり腰のような強い痛みを経験したことは一度もなかったが、慢性的な腰の重さとしびれが続き、「このまま悪化していくのではないか」という不安を感じるようになっていた。

症状を和らげるため、筋膜リリースを行う整体にも定期的に通い、身体のケアを続けていた。施術直後は楽になるものの、数日経つと腰の重さや左脚のしびれは元に戻ってしまい、根本的に変わったという実感は得られなかった。

身体の状態を振り返ると、15年前に整形外科で股関節の臼蓋形成不全と診断されたことがあり、その後、右脚を痛めた時期があった。無意識のうちに右側をかばう動きが続いたことで、次第に左側へ負担が集中していったように感じていた。実際、右脚を痛めて以降、左足首に違和感や痛みが出るようになり、身体の左右差を自覚する場面が増えていった。

これまでカイロプラクティックを受けた経験はほとんどなく、「昔に一度行ったことがあるかもしれない」という程度だったが、年齢を重ねてもクラシックバレエを続けていくためには、痛みやしびれを我慢するだけでは限界があると感じるようになった。腰痛や坐骨神経痛、左脚のしびれをこの先も抱えたままでは、思うように身体を動かせなくなるのではないかという不安が強くなり、「今のうちに身体をしっかり見直したい」という思いから、当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の可動域制限

  • 02

    左仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容

初診時の状態では、左仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左仙骨翼と第一頸椎左横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事やバレエのスケジュール、また遠方からの通院だったことを考慮し、無理のない範囲で可能な限り週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、朝起きた際の腰のこわばりがやや軽減し、立ち上がるまでに要していた時間が短くなっていた。左脚に広がっていたしびれは完全には消失していなかったものの、常に感じていた重だるさが弱まり、「動き出してしまえば少し楽」という感覚が出始めていた。バレエのレッスン後の腰の張りも、以前より回復が早くなっていることを自覚していた。

11週目(6回目のアジャストメント)には、左のお尻から太ももにかけてのしびれが出る頻度が明らかに減少していた。長時間立った後やレッスン後でも、脚の違和感が強く残ることは少なくなり、急に立ち上がった際に腰が伸びない感覚も徐々に改善していた。本人からは「腰を気にしながら動かなくても済む時間が増えてきた」との報告があった。

24週目(10回目のアジャストメント)には、日常生活での腰痛は大きく軽減し、歩行時の不安感も少なくなっていた。以前は少し無理をするとすぐに左脚にしびれが出ていたが、その症状はレッスンが重なった時に軽く感じる程度まで落ち着いていた。バレエの動きにおいても、左右差を強く意識する場面が減り、身体を預ける動作に対する恐怖心が薄れてきていた。

42週目(14回目のアジャストメント)には、腰の痛みや左脚のしびれは日常生活ではほとんど気にならない状態となっていた。朝の動き出しもスムーズになり、以前のように腰が伸びるまで待つ必要はなくなっていた。バレエの練習後も、翌日まで痛みを引きずることはなく、「まだ続けられる」という実感が本人の中で明確になっていた。

現在は、慢性的に続いていた腰痛や左側の坐骨神経痛、脚のしびれは大幅に軽減し、日常生活およびクラシックバレエの継続に支障のない状態が保たれている。今後も身体のバランスを維持し、再発を防ぎながら長くバレエを続けていくために、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを継続している。


考察

今回の慢性的な腰痛および左側の坐骨神経痛、左脚の痺れは、左仙腸関節の機能低下によって骨盤の安定性が失われ、腰部から下肢へ向かう神経に長期間にわたり過剰な負荷がかかっていたことが主な要因であったと考えられる。

仙腸関節は骨盤の左右に一つずつ存在し、上半身の荷重を支えながら下肢へと力を伝達する重要な関節である。片側の仙腸関節に可動域制限が生じると、反対側がその動きを補おうとして過剰に働き、骨盤全体の左右バランスが崩れてしまう。この状態が続くと、骨盤の安定性は著しく低下する。

骨盤の不安定さは、腰部にねじれや偏った圧力を生じさせる。特に椎間板や靭帯、深層筋といった組織は、こうした左右差を伴うストレスに弱く、慢性的な負担を受けやすい構造となっている。その結果、腰部を走行する神経が持続的に刺激され、腰痛だけでなく、坐骨神経領域に沿ったしびれや違和感が出現しやすい状態が形成される。

本症例では、初診時より左仙腸関節の明らかな可動域制限が確認されており、この左右差が長期間にわたり存在していたことが、左側優位の症状として現れていたと考えられる。腰部の神経への負荷が慢性化することで、痛みやしびれは単発的なものではなく、日常的に続く症状へと移行していった。

骨盤部は副交感神経の支配領域に属しており、この機能が低下すると交感神経が過剰に優位となる。交感神経が優位な状態では、筋肉は常に緊張しやすく、血流が低下し、神経の回復環境が整いにくくなる。腰のこわばり、動き出しの強い痛み、しびれが持続する状態は、この神経バランスの乱れを反映しているケースが多い。

アジャストメントによって骨盤部の神経への負担が軽減され、仙腸関節の動きが回復していくと、骨盤の安定性が徐々に取り戻される。それに伴い、腰部および坐骨神経への刺激が減少し、過剰に高まっていた筋緊張が自然に緩和されていく。血流や代謝が改善することで、神経の回復環境が整い、痛みやしびれは段階的に軽減していったと考えられる。

症状が急激に消失するのではなく、時間をかけて変化していった経過は、神経回復の順序を反映したものである。神経機能の回復には一定の時間が必要であり、その回復過程に応じて、痛みやしびれの範囲や強さが変化していく。本症例でみられた経過は、この生理的な回復プロセスと一致している。

本症例は、左仙腸関節を起点とした神経機能の低下が、腰痛および坐骨神経症状を慢性化させていた典型例である。アジャストメントによって神経への負担が軽減され、本来の神経調整機能が回復することで、長期間続いていた症状が改善へと向かった背景には、骨盤部に存在していたサブラクセーション(根本原因)が関与していたと考えられる。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティックにて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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