

“喘息による強い発作が起きなくなり、風邪から悪化させることすら一切なくなりました”
6歳の男児。
生育歴としては、胎児期に軽度水腎症の可能性を指摘された経緯がある。
0〜1歳時には卵アレルギーおよびアトピー性皮膚炎との診断を受けた。
また、言語の発育や伝い歩き・歩行の開始時期が通常より遅めであった。
3歳を迎えた頃に小児喘息を発症。同時期に幼稚園側からも言語面やコミュニケーション面での発達の遅れについて指摘を受ける。
来院時における最大の悩みは喘息症状。かぜ症状に端を発する激しい咳込みから高頻度で喘息発作へと繋がり、救急搬送を余儀なくされる状態が数年にわたり継続していた。
そうした状況下にあったため、休日の外出や家族旅行などの予定を立てることも叶わず、ご家族全体が深い疲労感を抱えていた。
これまで食生活の改善や運動面の工夫なども模索・実践してきたが、目立った好転は見られなかった。
さらに、住環境の整備や睡眠の質向上にも徹底して取り組んだものの、いずれも十分な変化を得るには至らなかった。
そのような折に当院の存在を知り、受診に至った。
後頭部領域における著しい筋緊張
仙骨部における強い浮腫(むくみ)感
初診時の皮膚表面温度検査において、神経の機能異常が疑われるポイント(ブレイク)が「第1頚椎」および「仙骨」の位置に確認された。
通常、神経機能に問題が生じている場合には背部皮膚表面に特有の反応が現れることが多いが、本例ではそうした反応は見られなかった。
しかしながら、仙骨周囲には著しい体液循環の停滞を示す浮腫が広範囲に観察された。これは神経機能の乱れが存在する際に捉えられる典型的な所見の一つである。
さらに後頭部の筋肉に強い緊張が認められたことを踏まえ、介入ポイントを「第1頚椎」と「仙骨」の2箇所に絞り込んでケアを開始した。
4週目(3回目のアジャストメント)
後頭周辺の筋緊張が緩み始め、仙骨付近の浮腫も減少傾向を示し始めた。また、同年代と比較して食が細いことをご両親が懸念されていたが、徐々に食欲が増し食事量が増えてきたとの報告があった。
7週目(5回目のアジャストメント)
後頭部の筋硬結はほぼ消失し、喘息の発作自体が誘発されにくくなってきたことで、ご両親も大きな安堵感を示されていた。
お子様本人も以前と比べて明らかに活気が増し、表情が明るくなっていた。
12週目(10回目のアジャストメント)
第1頚椎ならびに仙骨エリアのブレイク(神経異常反応)を再度温度計測器にて測定したところ、異常数値の大幅な低下が確認された。
7週目(5回目の介入)以降、一度も喘息発作を起こしていないとのことで、非常に喜ばれていた。
仙骨部の浮腫についても大部分が消失していた。
加えて、体調を崩して風邪を引く頻度が激減した点や、この期間に身長が著しく伸びたことに対しても驚きの声が寄せられた。
※主要な症状および神経の異常所見は著しく改善したが、今後の再発防止ならびにさらなる健康増進・維持を目的に、施術間隔をあけながら継続的なカイロプラクティックケアを希望されている。
今回の小児喘息は、第1頚椎(首の一番上の骨)と仙骨(骨盤中央の骨)に見られた「骨の歪みによる神経の不調」が、心臓・血管や呼吸器に関わる自律神経の働きを低下させ、無数に存在するウイルスや細菌に対する免疫力を下げてしまったことが主な原因だったと考えられます。
本症例では第1頚椎と第3仙骨に手技(アプローチ)を行っているため、体を休ませる神経である「副交感神経」の働きを整えた形となります。
喘息発作を引き起こす要因の一つとして、迷走神経という神経を介して気道(空気の通り道)がぎゅっと縮んでしまうことが挙げられますが、首の一番上の骨がずれることで、この迷走神経に物理的な圧迫や負担を与えてしまうことも分かっています。
つまり本症例では、副交感神経の働きそのものが落ちていたことと、迷走神経に常に物理的なストレスがかかり続けていたことの、両方が影響していたと考えられます。
骨の歪み(神経の不調の原因)が存在する場所には、必ず「関節のひっかかり(動きの固まり)」が生じます。 つまり、迷走神経への物理的なストレスがずっと続いていたのも、この関節の固まりによるものと考えられます。
本来であればしなやかに動くはずの首の骨が固まってしまっていたため、近くを通る迷走神経が常に引っ張られて刺激を受けていたと考えるのが自然です。
喘息発作によって入院に至るほど重い症状が出ていたのも、このように「神経の働きの低下」と「物理的な圧迫」という二重のストレスが重なっていたことが影響していたと考えられます。
しかしながら小児期であっても、正確なカイロプラクティックの検査と優しい手技によって骨の歪みや引っかかりが取り除かれ、入院や救急車で運ばれるほどの喘息が回復したという本症例は、今後の小児向けカイロプラクティックの発展に向けた大きな一歩と言えるでしょう。
参考文献
Connett GJ. Asthma, classical conditioning, and the autonomic nervous system – a hypothesis for why children wheeze. Arch Dis Child. 2024 May 17;109(6):462-467. doi: 10.1136/archdischild-2023-325441. PMID: 37648401; PMCID: PMC11103287.
Hauser RA, Matias D, Rawlings BR. Cervicovagopathy: ligamentous cervical instability and dysstructure as a potential etiology for vagus nerve dysfunction in the cause of human symptoms and diseases. Front Neurol. 2025 Jul 2;16:1572863. doi: 10.3389/fneur.2025.1572863. PMID: 40672458; PMCID: PMC12263383.


執筆者細井カイロプラクティック細井 康隆
埼玉県さいたま市出身。2011年にスポーツトレーナーとメディカルトレーナーの資格を取得後、2014年に国家資格の柔道整復師資格を取得。接骨院・整体院での臨床と経営経験から多くのセミナー講師を務め、その参加人数は延べ2,000人以上を数える。その後カイロプラクティックと出会い、日本カイロプラクティックのパイオニアである塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.が主宰である塩川スクールで学ぶ。2025年に卒業し、埼玉県さいたま市大宮区にて細井カイロプラクティックを開業。現在は本物の技術を提供するカイロプラクターとして、臨床で多くの患者様と真摯に向き合い施術を行う傍ら、塩川スクールでインストラクターとして後進の指導を行っている。