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元々あった首肩こりと便秘

元々あった首肩こりと便秘

40代女性
主訴
首肩こり、頭痛、末端冷え性(足だけ)、便秘、生理痛、腰痛
来院に至った経緯

仕事は内科医をしていて、朝から晩まで座りっぱなしだった。そのため、臨床現場に出てから初めて腰が重いなと感じるようになった。また、座っている影響か、便秘が酷くなり1週間出ないようなこともあった。

出産を機に育児休暇をもらえることになった。赤ちゃんのお世話をしていると、首肩のコリを強く感じるようになった。これまで臨床で座りっぱなしの姿勢でいても肩こりはそれほど感じたことがなかったが、赤ちゃんのお世話で下を向きっぱなしの姿勢で負担が掛かっただけかと思ったが、臨床現場に復帰してからも首と肩の異常なコリを感じるようになった。

仕事に復帰してからは、以前からあった腰痛や便秘をより顕著に感じるようになった。お昼休憩でイスから立ち上がろうとした瞬間に、腰回りにビリっと電気が走るようなこともあり、腰の後ろにクッションを入れていないと丸一日診療するのがきつかった。

便秘も顕著に酷くなり、元々1週間に一度程度しか出なかったものが、酷いと2週間出なくなってしまうこともあった。お腹が張って苦しかったので、仕方なく便秘薬を飲んで対処していたが、便秘薬を飲んでも3~4日間に一度出れば良い方だった。

仕事に復帰してから3か月ほど経つと、これまで感じたことがなかった寝起きに頭痛を感じるようになった。幸いなことに子供は夜泣きをほとんどしなかったので、夜はぐっすり眠らせてくれたが、決まって寝起きは頭痛を感じていた。午前中の診療が終わり間際になると頭痛は治まってくるが、朝一の診療は頭痛がして集中できないこともあった。

出産後、なぜか下半身の冷えと生理痛を強く感じるようになった。これまで冷え性や生理痛を感じたことはなかったが、診療中に足先が冷たいなと感じたり、座っていられないほどの下腹部痛を感じるようになった。また、生理期間中は腰痛も強くなり、我慢できずに知り合いの産婦人科医に診てもらうと子宮内膜症と診断された。

内科医になってから体に負担が掛かっていると自覚はあったが、出産から子育てとさらに負担が掛かったから、ちゃんと体のメンテナンスをしなきゃダメだと思い、どこか良いところはないかなと探すことにした。

怖がりな性格だったので整体のようなところは怖くて避けてきたが、同じ病院で働いていた看護師から、「体調悪いんだったら、私が通っているカイロプラクティックの先生すごいから行ってみてください!優しい先生なので大丈夫ですよ!」と紹介してもらった。

知っている看護師からの「優しい先生」という言葉に少しだけ安心して、紹介という形で当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    腰部起立筋の過緊張

  • 02

    下部腰椎にスポンジ状の浮腫

  • 03

    頸部から肩にかけての過緊張

経過と内容

初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、下部腰椎と骨盤部、下部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また下部腰椎と右仙骨翼、隆椎周辺に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頚部から肩にかけては過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや腰部前弯カーブが消失していた。首の椎間板の段階は慢性的なD6レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事と子育ての関係で週1回のケアから開始した。

6週目(6回目のアジャストメント)には、腰痛がかなり楽になり、お昼休みに立ち上がるときに出ていた腰痛は気にならなくなった。

17週目(12回目のアジャストメント)には、診療中の腰痛はほとんど感じなくなり、寝起きの頭痛が少し楽になってきた。この頃には生理痛がすっかりなくなった。また、便秘薬を飲まなくても3~4日に一度は便が出るようになった。

27週目(17回目のアジャストメント)には、寝起きの頭痛はすっかりなくなった。便秘もかなり改善されて2日に一度は出るようになった。

36週目(21回目のアジャストメント)には、この頃には便秘も解消されて、毎日1回は出るようになった。また診療中に感じていた足の冷えもほとんど気にならなくなっていた。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回のケースでは、元々あった首肩こりと便秘以外に、出産後からの寝起きの頭痛や末端冷え性(足だけ)、生理痛、便秘がさらに酷くなったなど多岐にわたっていた。

首肩こりは2種類考えられる。一つは、骨格の乱れから神経に負担が掛かり、頭の重さを支えられなくなって首肩の筋肉を固めるケース。もう一つは、自律神経のバランスを乱して交感神経が過剰になり体が過緊張を起こしているケース。

今回の首肩こりは前者であったと考えられる。レントゲン評価でも、首の椎間板は6段階中6段階目で、激しい椎骨の変性や首の中でS字カーブができているなど、本当に慢性的な段階であった。このような状態で頭の重さを支えるために首肩の筋肉を固めていたと考えられる。

検査では下部頸椎と下部腰椎という交感神経部位に強い反応がみられたが、下部頸椎や下部腰椎は、どちらも交感神経支配の部位となる。

胃腸の動きは副交感神経が優位な時に活発となるが、元々あった便秘が出産後さらに酷くなったことを考えると、自律神経バランスが乱れ交感神経機能が低下したことで、人間が本来持っている排出機能が低下してしまい便秘を発症していたものと考えらえる。

寝起きの頭痛などは、交感神経機能が低下している典型例である。特に下部頸椎は人間の代謝を司っている甲状腺と密接な関係があるため、甲状腺機能低下が体に毒素を溜める要因となり、その結果寝起きの頭痛を発症していたと考えられる。

末端冷え性も発症していたが、手足の末端冷え性の場足は交感神経が過剰に働いたときに起こりうる。今回のケースのように、足だけが冷たい冷え性の場合には腰や骨盤の神経の問題であったと考えられる。腰や骨盤の神経機能に異常をきたしたことで、下半身の血流異常を起こしていたのだろう。

生理痛はプロスタグランジンという物質が関係している。プロスタグランジンの役割として、不要になった子宮内膜や経血を体外へ押し出す働きがあるが、このときにプロスタグランジンの分泌量が多いと、子宮は過剰な収縮を起こしてしまい、それが生理痛の原因となる。

生理は女性にとって、月に一度の体のお掃除となるが、交感神経機能が低下していたことで、体の代謝が低下して多くの毒素を蓄積していたため、プロスタグランジンを大量に分泌させて一気に体の毒素を体外へ出そうとした結果、強い生理痛を引き起こしていたと考えられる。

腰痛もあったが、下部腰椎の椎間板は6段階中5段階目であった。座っている姿勢では腰部への圧力は、立っているときが「1」だとすると、座っているときには「1.4~1.7倍」もの負荷が掛かってしまう。

その状態で診療中に前屈みになったり、パソコン作業をしていれば、上半身が前に行けば行くほど腰への負荷も2倍、3倍となってしまうため、長年にわたって腰部の神経に強い負荷が掛かっていたと考えられる。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。首肩こりや腰痛以外にも、さまざまな自律神経症状が出てしまっていたが、あらためて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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