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何度も繰り返す首から背中の痛み    

何度も繰り返す首から背中の痛み    

ゆっくり休めるようになりました

40代男性
主訴
首から背中の痛み
来院に至った経緯

仕事はカメラマン。撮影現場では重たい機材を肩にかける日々が続いていた。以前はゴルフを楽しむなど身体を動かす機会も多かったが、結婚を機に生活スタイルは大きく変化した。運動量は減り日常的な運動といえば犬の散歩程度となっていた。

背中に最初の違和感を覚えたのはそうした生活が続く中でのことだった。強い痛みというよりも「張っている感じが抜けない」「疲れが残る」といった感覚で、当初は大きな問題とは捉えていなかった。

しかし違和感は徐々に存在感を増していった。左の首から肩甲骨の間にかけて、一本筋が通るような鈍い痛みを感じるようになった。整体に通うと施術直後は軽くなり、背中の張りも落ち着く。2週間ほどは比較的安定するもののやがて同じような痛みが戻る。その繰り返しだった。

仕事中撮影の合間にカメラを肩から下ろす瞬間、首や肩に鋭い痛みが走ることもあった。腰に関してもふとした動きの中で“ひやっとする”感覚を覚えることが多くなり、以前整体で「このまま放置すると将来的に問題が大きくなる可能性がある」と言われたことが頭の片隅に浮かぶようになった。

また犬の散歩中両手の小指側にかすかな痺れを感じ、指先に血が通っていないようなだるさを覚えることもあった。強い症状ではないが以前にはなかった変化だった。

動いている間はそれほど気にならない。しかし仕事を終えソファに座ったときや休日に長時間パソコンへ向かったあとなど、静かな時間になると違和感がはっきりと意識に上るようになっていた。

「このままでいいのだろうか」と、ふと思うことが増えていった。

強い痛みで生活が制限されるわけではない。それでも、整体に通っても繰り返す背部の痛みや首の違和感、両手小指側の痺れが続いていることに、どこか引っかかる感覚があった。

一時的に楽になることを繰り返すのではなく、自分の身体が今どのような状態にあるのかをきちんと知りたい。そう考えるようになり身体全体を評価している治療院を探し始めた。

その中で当院の情報に触れ、これまでとは異なる視点で身体を評価してもらいたいと感じ来院を決意された。

初診の状態
  • 01

    左右乳様突起周囲から後頭下筋付近の浮腫

  • 02

    左右板状筋全体にぶよぶよした浮腫

  • 03

    左肩甲骨内側の膨隆と過緊張

経過と内容

初診時には両手小指側の痺れといった神経兆候がみられ、椎間板にもD3レベルの慢性変化が確認された。本来であれば週2回の来院が理想的な状態であったが、仕事のスケジュールが不規則であることを考慮し週1回を基本に可能な範囲で来院してもらう形でケアを開始した。

3週目(2回目のアジャストメント)には、これまで寝つくまでに時間がかかっていた状態に変化が現れ比較的スムーズに眠りに入れるようになったとの報告があった。

4週目(3回目のアジャストメント)には、初診時に強く緊張していた左腰部起立筋に明らかな緩みが感じられるようになりそれに伴い脚長差もほとんど気にならない程度まで改善していた。

5週目(4回目のアジャストメント)には、胸椎周囲の浮腫が減少傾向を示し、以前から感じていた鼻の通りの悪さも改善。「とてもスッキリしている」との実感が得られていた。仕事中にカメラ機材を上げ下ろしする動作でも、背中の痛みを意識することはほぼなくなっていた。

8週目(5回目のアジャストメント)には、頚部後面の浮腫感に明らかな変化がみられ、それに伴い胸鎖乳突筋の緊張も軽減。肩甲骨間の痛みは消失し、仙腸関節の可動差も顕著ではなくなった。中部胸椎周囲の浮腫も質感が変化し、脊柱上での指の滑りが良くなっていることが確認された。股関節の引っかかりについては問われるまで忘れているほどで、犬の散歩中の歩行にも問題はなかった。

12週目(7回目のアジャストメント)には、両手小指に感じていたかすかな痺れや手のだるさも完全に消失しているとの報告があった。

現在は主訴であった背中の痛みは落ち着いており、仕事のない日や休日でも痛みや違和感を感じずに過ごせる状態を維持するため定期的なケアを継続している。


考察

本症例における首から背中にかけての痛みおよび両手小指側のしびれは、上部頚椎の機能不全を起点とし骨盤帯を含む脊柱全体の神経バランスが乱れたことが原因であったと考えられる。

初診時にはC1の可動制限、仙腸関節のFix、さらに頚部後面から後頭下筋群にかけての顕著な浮腫が確認された。上部頚椎は脳幹と近接し、自律神経系の調整に強く関与する領域である。この部位の機能低下は神経系を常に緊張状態にし、身体がリラックスしにくい状態をつくりやすい。その結果として筋肉の力が抜けにくくなり、血流の巡りも滞りやすくなる。さらに老廃物の排出がスムーズに行われにくくなることで、板状筋群や肩甲帯周囲にみられた“ぶよぶよした浮腫”として体表に現れていたと推察される。

また、レントゲン上で確認されたC4/5〜C6/7のD3慢性変化は、下部頚椎における長期的ストレスの存在を示唆する所見であった。撮影現場での前傾姿勢や重量物の片側支持は、頚胸移行部に持続的な剪断力を加える。これにより下部頚椎の可動性低下が進行し、C8〜T1神経根領域に関連する小指側への感覚異常として投影された可能性がある。しかし症状が両側性であった点から単純な神経根圧迫のみではなく、上部頚椎由来の自律神経バランスの乱れが末梢神経の感受性を高めていたことも十分に考えられる。

さらに左仙腸関節の可動制限、左腰部起立筋の膨隆、中部胸椎周囲の顕著な浮腫は骨盤部の機能不全によるものと考察される。

介入初期に睡眠の質が変化したことは、神経系の過緊張が緩和方向へ移行した指標と捉えられる。その後腰部起立筋の膨隆減少、脚長差の安定、胸椎浮腫の質的変化といった所見が段階的に現れた。これは脊柱全体に張り巡らされていた代償的緊張が上位中枢から再統合されていった過程と考えられる。

頚部後面の浮腫が十分に落ち着いた段階で下部頚椎へのアプローチを加えたことで、小指側のしびれは消失へ向かった。構造的慢性変化が存在していても、神経機能の再協調が進めば末梢症状は沈静化し得ることを示す経過であった。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)に変化が生じたことで頚部や腰部の神経環境が整い、結果として症状の現れ方にも変化がみられたと考えられる。症状自体はある日を境に強く意識されることが多いが、その背景では神経への負荷が長い時間をかけて積み重なっている場合が少なくない。本症例は神経の流れを整え、身体からの情報が適切に脳へ伝わる状態をつくることの重要性をあらためて示した症例である。

大木 信之

執筆者塩川カイロプラクティック大木 信之

千葉県成田市出身。初めてのカイロプラクティックを受診後カイロプラクティックの可能性を直感し、長年従事した仕事を辞め4年制の東京カレッジオブカイロプラクティックに入学。様々なテクニックを学ぶ中で最も本質的なガンステッドカイロプラクティックを追求していくことを決意する。卒業後名古屋市内のガンステッドカイロプラクティック専門院を経て塩川カイロプラクティックに勤務。

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