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何度も繰り返すぎっくり腰で歩行もできなくなった慢性腰痛

何度も繰り返すぎっくり腰で歩行もできなくなった慢性腰痛

動くたびに怖かった腰の痛みがなくなり、安心して日常を送れるようになりました!

 

カテゴリ: 腰痛前田 一真
40代男性
主訴
腰痛(繰り返すぎっくり腰)
来院に至った経緯

社会人になってから長時間のデスクワークが続くようになり、慢性的な腰の重さやだるさを感じるようになった。最初のうちは軽い腰痛程度で、ストレッチや湿布で何とかごまかしていたが、10年前に初めてぎっくり腰を起こした。

病院でレントゲンを撮ったが「骨には異常ありません」と言われ、痛み止めと湿布を出されただけだった。数日で痛みは落ち着いたものの、腰の違和感は完全には消えず、疲れが溜まると再び腰が重だるくなる状態を繰り返していた。

その後も年に数回、腰にピキッとした痛みが走るようなことがあり、そのたびに「またぎっくり腰になりそうだ」と不安を抱えながら生活していた。5年前には2回目のぎっくり腰を経験し、数日間動けないほどの痛みに襲われた。湿布と安静でなんとか回復したが、それ以降は常に腰に不安を抱えるようになった。

2週間前、ベビーカーを持ち上げた瞬間に再び激痛が走った。これまでのぎっくり腰よりも明らかに痛みが強く、腰をまっすぐに伸ばすことができず、お年寄りのように腰を丸めながら歩く状態になった。3日前にも腰に強い違和感を覚え、数分後には歩けないほどの痛みが出てしまった。

家族に支えてもらいながら、なんとか近所の整体院にたどり着き、筋膜リリースやストレッチを受けた。その場では多少腰痛がマシになった気がしたが、翌朝にはベッドから起き上がれないほどの激痛が出てしまい、むしろ痛みを感じる範囲が広がってしまった。

仕事では座ることが難しくなり、棚の上にノートパソコンを置いて立ったまま作業をしていた。午後になると腰の痛みが増し、上司からは「そんな所で立って仕事されたら目障りだ」と強く叱責され、在宅ワークに切り替えてもらった。

家でも椅子に座ることが難しく、厚めのクッションを使ってなんとか座って作業をしていたが、今度は立ち上がることさえ困難になってしまった。夜には、ベッドで横に慣れないほどの激痛に襲われ、眠れないまま朝を迎えてしまった。

ぎっくり腰を何度も繰り返すことで、腰の痛みは年々悪化していき、「一生このままだったらどうしよう。根本的に治してもらえるところを探そう」と思うようになった。インターネットで「ぎっくり腰を繰り返す原因」「腰痛 根本改善」などを検索しているうちに当院のホームページにたどり着いた。

カイロプラクティックを受けるのは初めてだったが、Google口コミで多くの利用者が前向きな変化を実感していることを知った。「ここなら任せられるかもしれない」と思い、痛みを繰り返す生活から抜け出したい一心で、家族に支えられながら当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容

初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と下部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左上後腸骨棘上端内縁と下部腰椎に強い浮腫が確認され、腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きが確認された。首の椎間板の段階は6段階中2段階のD2レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事を休んでいる状態で「これ以上仕事を休むわけにはいかない」とのことであった。そのため無理のない範囲で、できる限り通院間隔を詰めてケアを開始した。

1週目(初回のアジャストメント)には、ケア直後から腰の可動性がわずかに改善し、立ち上がりや歩行の動作がスムーズになった。来院時には左腰部に鋭い痛みが走り、腰をまっすぐに伸ばすことができなかったが、アジャストメント後は少しずつ背筋を伸ばせるようになり、動くたびにピキッとくる痛みが減少した。

2週目(3回目のアジャストメント)には、朝起き上がるときの痛みが軽減し、寝返りもスムーズになってきた。これまで痛みで前傾姿勢のまま生活していたが、腰を真っすぐに伸ばして歩ける時間が増えていた。腰部の張りは残っていたものの、鋭い痛みの頻度は減少し、「痛みのピークが過ぎた感じがする」と表情にも余裕が見られた。

3週目(5回目のアジャストメント)には、長時間の座位でも痛みを感じにくくなり、仕事中も立ち上がって体勢を変える回数が減った。椅子から立ち上がるような動き出しの動作も以前ほど怖くなくなり、「腰が支えられているような安定感が出てきた」と話していた。

16週目(11回目のアジャストメント)には、ぎっくり腰の再発を恐れていた動作(前かがみでの物の持ち上げや床掃除など)も問題なく行えるようになった。腰の可動域は全方向で改善し、痛みを感じる場面がなくなった。夜間の寝返りもスムーズで、朝の起床時にも違和感はなかった。「久しぶりに何も気にせずに動けた」と笑顔を見せていた。

現在は、日常生活の腰痛やぎっくり腰の不安は解消されたが、再発防止と身体のメンテナンスのため定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の腰痛および何度も繰り返すぎっくり腰は、左仙腸関節の機能低下により骨盤の安定性が失われ、腰部の神経に多大な負荷が掛かっていたことが原因であったと考えられる。

仙腸関節は骨盤の左右に一つずつ存在し、上半身の重さを支えながら下肢へと荷重を伝える極めて重要な関節である。片側の仙腸関節に可動制限が生じると、反対側がそれを補うように過剰に動き、骨盤全体のバランスが崩れてしまう。

その結果、腰部の椎間板や靭帯、深層筋にまで過剰な負担が加わり、腰部の神経が慢性的に刺激されやすい状態となる。椎間板は構造上、ねじれや偏った圧力に弱く、仙腸関節の動きに左右差があると、腰椎にはねじれを伴うストレスが持続する。

これにより腰の支持機能が低下し、わずかな動作でも神経への負荷が生じやすくなる。そのような不安定な状態が続くことで、腰痛が慢性化し、負荷が限界を超えたときに「ぎっくり腰」として再発を繰り返すようになる。

骨盤部は副交感神経の支配領域に属しており、この機能が低下すると交感神経が過剰に優位となり、身体は常に緊張状態に置かれる。鋭い痛みや短時間の座位姿勢、横になる姿勢も維持できないなどは副交感神経である骨盤部の問題であるケースが多い。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、仙腸関節の動きが回復すると、骨盤のバランスが整い腰部の神経への負担が軽減された。これにより筋緊張が自然に緩和され、血流と代謝が改善した結果、慢性的な腰痛が鎮静化しただけでなく、再発を繰り返していたぎっくり腰の悪循環からも脱することができたと考えられる。

一言に腰痛といっても、その背景には構造的な問題だけでなく、神経の働きや体の回復機能といった生理学的要因が深く関係している。痛みが出る姿勢や時間帯、動作の種類を丁寧に観察することで、どの神経領域が適切に機能していないかを見極めることができる。

本症例は、骨盤部の副交感神経機能の低下と、それに伴う神経・筋・循環系のバランス不全が腰痛を慢性化させていたことを示す典型的な症例であった。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティックにて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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