
社会人になってから首や肩の痛みが出るようになった。特に1年前の異動をきっかけにストレスが増え、3か月間休職していた。復帰したものの精神的な負担を感じやすく、体のさまざまな部分に痛みが現れるようになった。
仕事はデスクワークと立ち仕事を両立し、夜勤もあり仕事時間帯も様々で長時間同じ姿勢を続けることが多く負担は感じていた。
長時間のモニター作業で目の奥に痛みが出ることが多く、夕方以降になると後頭部にずんずんとした頭痛を感じます。月に5回ほど市販の頭痛薬を服用していますが、根本的な改善には至ってない。
最近ではぐるぐる回るようなめまいを感じることがあり、風邪を引きやすかったり、風邪が長引いたりと日常生活にも支障をきたしていた。1カ月前くらいから睡眠中、2時間ごとに目が覚めるようになり、何度も目が覚めることで眠りが浅く、朝起きても疲れが取れていない感覚もある。
高校時代に部活動をしていた頃から腰痛が続いている。疲労がたまると年に1回ほどぎっくり腰を発症し、整形外科では異常なしなしといわれたものの、椅子から立ち上がるだけでも痛みを感じることがある。
長年の不調とどのように向き合い、改善に向けたアプローチを考えていく中で 高校生の頃からカイロプラクティックを受けていたことを思い出し、インターネットで検索していたところ塩川満章D.C.のSNSに辿り着き来院に至る。
右仙腸関節の可動域制限
仙骨全体の浮腫感
頚部、特に上部頚椎の過緊張
初診時の状態では、上部頚椎と骨盤には明らかな可動域制限と強い浮腫感、体表温度検査では明らかに左右の温度の誤差が確認された。
初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係ため週に1回、それ以上の間隔になってしまうこともあった。
4週目(4回目のアジャストメント)には、 肩こりは改善、さらに薬を飲むほどの頭痛は発症しなかった。日によるが寝入りに時間はかかるが慢性的な疲労感は初回よりも改善されてきた。
8週目(6回目のアジャストメント)には、入眠に1時間ほどかかることがあったが、この頃は寝入りに時間がかかることもあるが以前よりよく寝られるようになったと、睡眠の改善がみられた。頭痛も明らかに回数は減り、頭痛薬を服用しなくなった。
17週目(8回目のアジャストメント)には、仕事が忙しく30日ぶりに来院された。5日前くらいから左背中に違和感があり、徐々に痛みが強くなり連絡を頂き来院。 痛みで体を動かすことが困難。
17週目(9回目のアジャストメント)には、前回のアジャストメントから3日後に来院。左背部の痛みはほぼ改善されていた。
現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。
今回の頭痛の根本的な原因は、自律神経のバランスの乱れが原因と考えられた。
特に骨盤部と上部頚椎において浮腫感と体表温度の左右の誤差が確認され、レントゲン検査では、腰部椎間板の状態が慢性的にD5レベルに達していた。
骨盤部や上部頚椎は、副交感神経が支配する重要な領域である。しかし、これらの部位にサブラクセーションが生じることで、副交感神経の働きが抑制され、交感神経が過剰に働いてしまう。この自律神経の乱れにより、頭痛、めまい、不眠など、全身に影響を及ぼす症状が次々と現れていたと考えられる。
頭痛も勤務時間帯は決まっていなかったが、頭痛が出る時間帯は決まって午後かたらみられた。日中から夕方以降出る頭痛は交感神経が過剰に働きている時の特徴でもある。さらに、頚部全体の筋肉が過度に緊張し後頭部の硬直がみられたことで、上部頚椎にも大きな負担がかかっていたと考えられる。この状態が続くと体と脳への神経伝達が阻害されるため、神経の機能が低下し様々な症状を引き起こす可能性がある。
慢性的な腰痛は、骨盤の可動域が制限されたことにより腰椎の正常な配列に影響を与える。その結果、腰部の神経に過剰な圧力がかかり痛みや不調が引き起こしたと考える。
アジャストメントによりサブラクセーションが取り除かれ、体の情報が脳へ届いたため自律神経のバランスが整った結果、腰痛だけではなくさまざまな自律神経症状の改善に繋がったと考えられる。
慢性的な腰痛、様々な自律神経症状が出てしまっていたが、サブラクセーションを取り除き体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。