仕事に集中できないほどの腰痛が改善
10年前より腰に違和感や痛みを常に感じるようになっていた。普段は中腰が多く、常に立ち仕事であった。痛みを抱えながらなんとか仕事をこなしていたところ、5年前より腰痛が悪化。右足の内ももから、すねにかけて足も痺れるようになってしまった。それでも我慢を続けながら、仕事を変えることに。転職した後は、前職のような中腰は少なくなり飲食店ということもあり立ち仕事は続行。そんな中、久しぶりに中腰をすると腰の激痛に襲われ、さすがに限界を感じる。職場の上司から、すごい治療を受けられるところがあるらしいと、当院の噂を耳にし、当院に通院することを決意された。
腰が曲がっているままが望ましい体勢
左右の脊柱起立筋の緊張が顕著
右の胸鎖乳突筋の緊張が強い
腰椎4番の椎間板を確認するとD6であり、ほとんど厚さが確認できない。極端に慢性化しているため、初期集中期は週3回でケアを進行したいところではあるが、どうしても転職したばかりということもあり現実的に厳しいとのこと。そのため、まずは週1回のケアで進行し、お越しになれそうな際は回数を増やしていけるように提案した。
2回目のケア(2週目)では、アジャストメント後にだるさが一時的に出るが、それが過ぎると腰がかなり動く気がするとのことであった。
4回目のケア(7週目)では、腰の違和感が薄れてきている。仕事柄、中腰になることが多いが、自分の姿勢の悪さに気がつき修正するように試みるようになったとのこと。また、重たい荷物を持って移動できるようになった。左の仙腸関節の可動性が出始めている。
5回目のケア(9週目)では、腰はだいぶ落ち着いたとのこと。右足の痺れも消失した。また、カイロを受けた後は睡魔にとても襲われ、当日は深く眠れるようになったとのこと。
7回目(11週目)では、腰に関しては言及することがなく、寒いから肩こりがちょっと気になるなといった形で、当初の腰痛は気になられたいない様子だった。現に、仙腸関節はかなりキレイに動いている。しかし、腰部の乾燥した皮膚に関しては大きく変化が見られないので、慢性化した時間からすると全く完治はしていないと判断できる。今後もケアを続けていくことを互いに目標としている。
本症例は土台の骨盤にサブラクセーションがあることによって、腰部の椎間板に負担がかかった症例でありました。
もともとこの患者様は、鮮魚店で勤務をされており、常に中腰で作業をしたり、たくさんの魚介類を運搬することによって腰に負担がかかっていました。中腰で力を入れると、腰の椎間板の圧力が高まることから、神経圧迫がより過剰になり強い痛みを伴うことがあります。これは腰に負担がかかることもさることながら、骨盤にサブラクセーションがある状態で放置をしていたことにも由来すると考えられます。土台のトラブルを無視し続けていたということに原因があるのです。
また中腰があまりにも多かったことが、レントゲンを見ると判明します。左右の骨盤に負担がかかっていますが、特に左側の骨盤により負担がかかっており、その影響で、腰部の椎間板の摩耗も進行してしまったと考えられます。それにより痺れも発生してしまったと考察できます。
また神経圧迫があることで、脳が腰部の状態を把握することができず、自然に回復することが叶いませんでした。
本症例のように、発症している症状が腰椎の問題だとしても、腰椎を最初からアジャストメントするということはせず、土台である骨盤の安定を図ることで結果的に寛解していくことが往々にして存在します。目の前の症状に振り回されず、全体の神経圧迫を把握し、そして土台からケアしていくことの重要性を再認識した症例でありました。
現在進行形でこの患者様はケアをされており、これまで酷使してきたお体を労っている最中でいらっしゃいます。
執筆者NEOCHI関野 貴友
1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。