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仕事に集中できなくなるほどの肩こり

仕事に集中できなくなるほどの肩こり

20代女性
主訴
肩こり
来院に至った経緯

保育士として日々子どもたちと接している中で、抱っこやおんぶを繰り返すたびに肩こりを感じるとのことでした。実際にお話を伺っていても、表情に疲れがにじんでおり、「肩が重くなると、気持ちも落ちてしまうんです」と打ち明けてくださいました。

保育の現場では、子どもたちの様子をパソコンで記録する作業も多く、画面に向かっているうちに肩から首にかけて重だるさや痛み、不快感が強くなってきて、作業に集中できない日も多かったようです。問診中も、首を少し動かすだけで不快そうな仕草が見られ、慢性的な負担が積み重なっている印象を受けました。

また、PMSの症状として「つい人に強く当たってしまうことがある」「感情の起伏が激しくなる」といった悩みも抱えており、そうした自分自身の変化に対しても苦しさを感じているようでした。「もしカイロプラクティックで少しでも整えば助かります」と、前向きな気持ちも伝えてくださいました。

実は、お母様が当院に通われており、「今は特に不調はないけれど、病気になりにくい体を維持したい」と、予防のためにケアを続けていらっしゃいます。今回の来院はそのお母様からの紹介で、信頼のうえで足を運んでくださいました。

初診の状態
  • 01

    首から肩にかけての強い筋肉のこわばり

  • 02

    首、肩の痛み、重だるさ

  • 03

    PMS

経過と内容

腰のレントゲン(横からの画像)を確認したところ、腰の5番目と4番目の骨の間にあるクッション(椎間板)がすり減っている状態(L5=D3、L4=D2)でした。本来であれば週に1〜2回のペースで来院していただきたいところでしたが、お仕事の都合で帰宅時間が不規則とのことで、「来られる時に無理なく通ってください」とお伝えし、施術をスタートしました。

6週目、5回目のアジャストメント(調整)時点では、首の後ろ(後頭部)のむくみが軽くなってきており、患者さんご本人も「なんだか少し楽になってきた感じがします」と話されていました。ただ、骨盤の奥(仙骨)あたりのむくみはまだあまり変化が見られませんでした。

その後もケアを続け、14週目(10回目のアジャストメント)には、仙骨まわりのむくみも減ってきており、後頭部の状態もかなりスッキリしてきました。「最近は肩こりもほとんど感じないです」と嬉しそうに話してくれたのが印象的です。

また、悩まれていたPMS(月経前のイライラや情緒不安定など)についても「ちょっと良くなってきたかも」とのことでした。肩こりについてははっきりと改善が見られていますが、PMSに関してはまだ様子を見ながら継続して経過を追っていきたいと考えています。


考察

肩こりに悩んでいる方はとても多く、病院では一般的に、痛みをやわらげる鎮痛薬や、筋肉のこわばりをゆるめて血流をよくする薬、神経の働きを助けるビタミン剤などが処方されます。湿布や塗り薬が使われることもありますが、こうした対処はあくまで「その場しのぎ」であり、根本的な解決にはつながりません。

肩こりの原因としてよく挙げられるのは、冷え性や血行不良、長時間のデスクワークや家事など、同じ姿勢を続けること、目の疲れ、ホルモンバランスの乱れ、ストレスや運動不足、さらには生活リズムの乱れなど、外側からくる様々な要因です。

しかし、肩こりを本当に予防・改善していくには、体の外側だけでなく「内側」にも目を向けることが大切です。肩こりは単なる疲れではなく、体が「今ちょっと無理をしているよ」と知らせてくれる大事なサインでもあります。

実際、肩こりで悩んでいる多くの人は、筋肉がガチガチに固まっています。その原因の一つが「ストレス」です。人はストレスを感じると、それに対抗するために交感神経が働きます。交感神経が活発になると血管が縮み、血の流れが悪くなってしまいます。血流が悪くなると、疲労物質がたまり、筋肉が硬くこわばり、「コリ」や「重だるさ」といった症状へとつながっていくのです。

これは体が発している「初期のSOSサイン」です。この段階でしっかり休んだり、軽く体を動かしたりすれば、自然と回復することもあります。しかし多くの方はこのサインを見逃し、無理を続けてしまいます。すると肩こりは慢性化し、なかなか治らない状態に。

さらに慢性化が進むと、体は今度は“回復しよう”と別の反応を起こします。副交感神経というもう一つの自律神経が働きはじめ、血流を無理に促そうとして「炎症」を起こします。そのときに痛みをともなうのです。つまり、肩の重さや痛みは「体が自分を修復しようとしている」サインでもあるのです。痛みやコリには、必ず意味があります。

たとえば、頭を支えるために首や肩の筋肉をカチッと固めて“コルセット”のように防御しようとするのも、体が自分を守るための自然な反応です。
このような「体の賢い防御反応」がうまく働くためには、脳と神経と体が正しくつながっていることが重要です。

ところが、背骨や骨盤などにズレやゆがみが生じて神経の伝達がうまく働かない状態(=サブラクセーション)があると、脳が体の状態を正しく把握できなくなり、的確な回復指令が出せなくなってしまいます。生活習慣を見直したり、肩をもんだりしても、神経の流れが妨げられている限り、根本から肩こりを改善することは難しいのです。

逆に、神経の流れが整い、脳と体の神経の伝達が正常に行われていれば、脳は正確に異常を察知し、適切に回復・修復を進めていくことができます。
つまり、自分の体が本来持っている“治す力”を引き出すことが、肩こりの根本改善につながるのです。

細井 康隆

執筆者細井カイロプラクティック細井 康隆

埼玉県さいたま市出身。2011年にスポーツトレーナーとメディカルトレーナーの資格を取得後、2014年に国家資格の柔道整復師資格を取得。接骨院・整体院での臨床と経営経験から多くのセミナー講師を務め、その参加人数は延べ2,000人以上を数える。その後カイロプラクティックと出会い、日本カイロプラクティックのパイオニアである塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.が主宰である塩川スクールで学ぶ。2025年に卒業し、埼玉県さいたま市大宮区にて細井カイロプラクティックを開業。現在は本物の技術を提供するカイロプラクターとして、臨床で多くの患者様と真摯に向き合い施術を行う傍ら、塩川スクールでインストラクターとして後進の指導を行っている。

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