朝まで寝付けないこともあった不眠症
IT系のデスクワークを長年続けており、20代から不眠症に悩まされていた。仕事は朝から始まり0時を過ぎることもある多忙な生活の中で、長時間のデスクワークに加えて、資格取得のため夜遅くまで勉強を続けており、その影響で不眠症が悪化していた。
資格試験のプレッシャーや勉強による脳の興奮が、睡眠の質を著しく低下させている状態だった。
次第に資格勉強のストレスが加わり、夜中に心臓がバクバクするような感覚や大量の汗をかくことが増えた。
日中も集中力が欠け、上部頸椎の過緊張が始まり体全体が固まるようになり、体調が崩れ急に仕事を休むことも増え始めた。
病院で検査を受けると、血圧、心臓や血管に特に異常はないと言われた。
その後は処方された睡眠薬や抗うつ薬を試し、睡眠薬を飲むと寝付けるため、毎日睡眠薬を飲む生活が始まった。
しかし多忙な中での資格勉強のストレスが続く中で、同じ姿勢が続きすぎたからか足の痺れが出るようになり、眼精疲労による頭痛が出始め、睡眠の問題はさらに悪化し、日常生活に支障をきたすようになった。
顔は青白くなり、目のクマもひどい状態で藁にもすがる思いでインターネットで情報を探していたところ、YouTubeで塩川満章先生の動画を見つけた。
そこでカイロプラクティックが自律神経に対してアプローチを行なっている本質的な治療法だと感じ、何か改善策が見つかるのではないかと思い来院された。
仙骨に浅い浮腫
右起立筋の緊張
顔が青白く疲れているように見える
初診時は顔が真っ青で疲れており、睡眠時間が足りなく生活に支障が出ている状態だったことに加え、副訴として立位での右股関節から右足全体のしびれ、上部頸椎の過緊張から体全体の緊張が抜けない、目の奥〜前頭部にかけての頭痛などもあったため、まずは週に1回、可能であれば2回のケアを提案した。自律神経はゆっくりと回復していくためまずは神経の回復サイクルである3ヶ月、その後も長期的に見て行きましょうとあらかじめ伝えた上でケアをスタートした。
4回目のアジャストメント時には、1週間に2回くらいはしっかり寝れる日が出てきた。また、首全体の緊張も減ってきて、身体が楽になってきたとのこと。まだ足の痺れや頭痛は残るが、短時間の入浴でリラックスができるようになってきている、
7回目のアジャストメント時には、ガチガチに固まっていた右仙腸関節の動きが安定してきていた。
足の痺れも落ち着いており、若干肩こりを感じ始めてきたが症状として不眠以外の主だった症状はほとんどなくなってきているとのことだった。顔色はまだ悪い日と元気な日があるが、明らかに過緊張によるガチガチな感じはなくなっている。
13回目のアジャストメント時には、不眠も2週間に1回出るか出ないかという感じになってきており、体全体の調子も良くなってきていた。
肩こりを感じる日もあるが、そこまで気になるほどではなく足の痺れや頭痛も落ち着いている。触診でも、右仙腸関節や上部頸椎の緊張はかなり変化しており、身体全体の過緊張も今は感じないとのことだった。
顔色も良く、仕事も集中できるようになったことで資格勉強もはかどり無事合格できた。
現在もこの状態を維持するために、2~3週に1回のケアを続けている。
初診時は顔が真っ青で疲れきっており、睡眠時間が足りなく生活に支障が出ている状態だったことに加え、目の下のクマも酷い状態だった。また副訴として立位での右股関節から右足全体のしびれ、頭の付け根の過緊張から体全体の緊張が抜けない、目の奥〜前頭部にかけての頭痛などもあった。
睡眠では基本的にベッドに入っても3-4時間は寝ることができず、朝まで寝ることができずに仕事に行くということも頻繁にあったり、資格試験に向けて勉強も重ねていたことで交感神経が過剰に働きすぎていたため、副交感神経に絞ってアプローチを始めることにした。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つに分けることができる。これは車でいうアクセルとブレーキの役割を果たす。
日中に体を活発にしたり、ストレスに対抗したりする時は交感神経(アクセル)を優位にさせ、睡眠時や入浴時にリラックスする時は副交感神経(ブレーキ)を優位にさせることで体のバランスを保っている。
今回のケースにおける不眠や頭の付け根・体全体の過緊張では、交感神経が過剰になったことで筋肉が過緊張してしまったり、睡眠中も体が活発な状態が続いてしまっていたことが推測される。
痺れに関しては、腰椎5番の椎間板レベルがD3だったことに加え骨盤のサブラクセーションも見つかったことから、骨盤のサブラクセーションにより腰椎にも負担がかかっていたことで痺れが出てきたと考えられる。
自律神経の回復はゆっくりとした経過を経ることが多く、神経の回復サイクルは3ヶ月周期と言われている。
今回は副交感神経領域である骨盤と上部頸椎に絞ってアジャストメントを続けたことで徐々に自律神経のバランスが正常になり、1~2ヶ月で頭と首の付け根・体全体の過緊張の、3ヶ月で不眠の解消につながったと考えられる。
また、骨盤部のサブラクセーションが取り除かれた結果、腰椎にかかる負担が軽減されたことで痺れの解消にもつながった。
今回のように自律神経の症状がはっきりとあるケースでは、経過を長期的に追いがらしっかりと自律神経系にアプローチを絞ってアジャストメントを続けていく必要性を再認識することができた症例だった。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉
神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。