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一番強い睡眠剤を毎日服用しないといけないほどの不眠症

一番強い睡眠剤を毎日服用しないといけないほどの不眠症

60代男性
主訴
不眠症 腕の痺れ
来院に至った経緯

定年まではIT関係の仕事に従事しており、デスクワークを続けていた。

30代ごろから慢性的に腰痛に悩まされていたが、大きく悪化することはなく、騙し騙し仕事を続けていた。しかし、40代でぎっくり腰になってからというもの、3年に1回のペースでぎっくり腰を繰り返していた。

それからは腰の不安を抱えながら仕事を続けており、昇進したこともあってストレスも多くなった。その頃からストレスの影響もあってか不眠に悩まされるようになり、寝付きの悪さや中途覚醒、それによる睡眠不足での日中の眠気など明らかに仕事中のパフォーマンスが落ちていた。病院ではうつかもしれないと言われ、睡眠剤をもらって毎日服用するようになった。その生活を続けていたが50代になってからはさらに眠ることができなくなり、より強い薬に変えてもらっていた。医師からは「これ以上強い薬を出すことはできない」とまで言われる状態だった。

50代からは仕事中に腕の痺れが出るようになり、パソコン作業は難航した。病院へ行っても「椎間板が薄くなっているが、手術するほどではない」と末梢神経に効果のある薬を処方してもらうだけで、根本解決には程遠く、1日に何回も薬を飲まなければならなかった。

ついに定年を迎えてからは奥様の実家での農作業の手伝いなどをしてストレスフリーな生活を心がけていたが、不眠や腰痛、腕の痺れなどは改善することなく薬を飲む毎日だった。

そんな生活に嫌気がさしていた頃、かつての同僚と会った際に当院の名前を聞き、ここなら良くなるかもしれないと思い来院を決めた。

初診の状態
  • 01

    下部頸椎に大きめ音浮腫

  • 02

    仙骨に大きめの浮腫

  • 03

    上部頸椎の過緊張

経過と内容

レントゲン評価では

また、主訴である不眠や腕の痺れなどで日常生活に支障が出ており、農作業で遠方と行き来しながらだったということでまずは週1回のペースでケアを始めることにした。

3回目の来院時には不眠に変化が出始めた。睡眠剤を飲んでも途中で起きてしまっていたのが、奥様から「最近はぐっすり寝てるね」と言われるようになった。ご自身の体感としても睡眠が良くなっている感覚があったとのこと。

7回目の来院時には、腕の痺れにも変化が見られた。ずっとパソコン作業中は痺れがあった症状が、ほとんど気にならなくなっていた。痺れが完全に消えたわけではなくまだ寝起きに手の甲に痺れを感じるが、その痺れも以前よりだいぶ落ちついてきている。

11回目の来院時には、睡眠剤を半分以下にしているようだった。半分以下でも十分寝れていて、もっと減らそうか迷っているとのこと。痺れも日常生活でほとんど感じることはなくなり、農作業も慣れてきてハードな生活を送っているようだった。

現在も更なる向上を目指し、1ヶ月に1回のペースでケアを続けている。

 


考察

不眠と腕の痺れなど、神経系の症状がミックスしていたためヒアリングしたところ、特に一番解消したい問題は不眠だった。

検査では骨盤部や上部頸椎などの副交感神経神経エリアにサブラクセーションがはっきりと確認できたことに加え、胸椎や下部頸椎などの交感神経エリアにも確認できた。

そのため、最初からアジャストメント部位を分けるのではなく優先順位をつける必要があったが、患者様と相談したところ一番解消したい悩みは不眠だったことに加え、検査で顕著にサブラクセーションを確認できるのは副交感神経エリアだったためまずは副交感神経に絞ってアプローチを続けることにした。

アジャストメントを続けていく中で上部頸椎の緊張が徐々に変化し始め、不眠の症状にも変化が見られた。不眠は副交感神経サブラクセーションによって交感神経が過剰になり、睡眠中も身体の緊張状態が続くことによって起こる。

副交感神経エリアのアジャストメントを続けたことによって、サブラクセーションが取り除かれ、脳と神経が正常につながったことにより不眠の改善に至ったと考えられる。

5回目からは副交感神経エリアが落ち着いてきたことで、交感神経に切り替えた。腕の痺れは頸椎とのつながりが深い。特にカイロプラクティックでは手のひら・甲の痺れは頸椎や胸椎のサブラクセーションが関係していることが多い。

今回のケースでは上部頸椎と下部頸椎でのサブラクセーションが顕著だったが、下部頸椎のサブラクセーションの影響で上位セグメントの可動性が過剰になっていた。レントゲン側面像で慢性度合いが高い椎骨も、その椎骨が原因ではなく下位セグメントの補正により可動性が過剰になり、椎間板に負担がかかっていたケースが考えられる。今回は下部頸椎のサブラクセーションが取り除かれたことで、上位セグメントの安定性につながったと考えられる。

このように様々な神経系の症状が入り混じっている場合、優先順位をつけてアジャストメントを行なっていくことで最高の結果を得られやすい。今回は副交感神経のアジャストメントから始め、交感神経に切り替えたが、それによってしっかりと経過を追いながらアジャストメントを続けることができた。

改めてサブラクセーションを特定することの重要性と、優先順位をつけて神経系を分けることの大切さを認識できた症例だった。

 

 

 

 

 

高島 克哉

執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉

神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。

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