
”仕事が満足にできるまで改善できてありがたいです”
年初めから続いた体調不良は、眠れない夜、倦怠感、こめかみの寒気、四肢の冷えたような感覚、息苦しさ、足に力が入らない感じ、下痢気味、そして右耳の耳鳴りといった様々な症状が重なり、日常生活に支障をきたしていました。これらの症状は突然現れ、日々悪化していくばかりで、身体的な不調と精神的な不安が共に増し続けました。あらゆる病院を渡り歩き、血液検査、MRI、CTスキャン、コロナやインフルエンザの検査を受けましたが、すべて異常なしと診断され、最終的には自律神経失調症やうつ病の疑いをかけられました。けれども、それでも自分の体調不良に対する納得できる答えが見つからず、心の中に不安が広がり続けました。
本業が人前での仕事ということもあり、仕事中に息苦しさや体調不良を感じることは非常に困り、思うように進まない日々に悩まされていました。特に出張中、飛行機内で突然倒れてしまった経験があり、その出来事がきっかけで今後の仕事に対する不安は一層強くなりました。それまでできていた外食やウォーキングもできず、心身ともに疲弊し、日常生活すら楽しめなくなっていったのです。身体の不調が進行するにつれて、精神的なストレスもどんどん蓄積され、どこに行っても、何をしても改善が見られない状況が続いていました。
以前なら、無理をしてでも気持ちで乗り越えられたはずのことも、今はそれすらできない自分に対して無力感を感じる日々が続いていました。仕事に対する意欲や力が湧かず、どうしても乗り越える力が湧いてこないことに焦りを感じ、自己嫌悪に陥ることが増えました。そして、原因が分からないままでいることが一番の不安で、どこに行けば良いのか、何をすれば良いのかも分からず、ただ立ちすくんでいるだけでした。
仕事が続けられないという恐怖や、収入が途絶えてしまう不安は日々増していき、最終的には「仕事を失うこと」が最も辛く、恐ろしい現実に感じるようになりました。上京して必死に働き、日々の努力を重ねてきたはずなのに、今はその努力が何の結果にも繋がっていないように感じ、過去の自分とのギャップに苦しみました。仕事を通じて感じていた充実感や生きがいが失われ、喪失感にどう対処すれば良いのかも分からなくなっていました。その中で、どうにか状況を改善したい一心で鍼灸や漢方を試してみましたが、効果を実感するには時間がかかり、その間に不安と闘いながら過ごす日々が続きました。
そんな時、偶然塩川満章先生の動画を見つけ、少しでもこの状態が改善できればという思いから、思い切って当院に来院することを決心しました。希望を捨てずに、少しでも前に進みたいという気持ちが強くなり、この新たな一歩を踏み出すことを決めました。
仙骨を中心としたブヨブヨした浮腫
右の胸鎖乳突筋の過緊張
右後頭部の浮腫
第7頚椎を中心とした浮腫
背中の皮膚荒れ(ニキビや乾燥)
腰部や頸部の椎間板がD2~3へ移行している段階が確認されたため、週1回のケアを提案し、仕事の合間でお越しになれる際にできるだけ、ご来院いただくようにケアを始めた。
2回目(2週目のアジャストメント)の際には、今まで感じていなかった疲労感を自覚できるようになった。重だるい感覚があり、良い意味で体の状態が把握できるようになった。今までは疲れているのかどうかも麻痺してわからない状態であった。
3回目(3週目のアジャストメント)の際には、手足の温度感覚の異常があまり気にならなくなる。また、首や腰の調子はアジャストメント後5日間はよかったが、天気が悪くなった際にまた辛くなった。
5回目(5週目のアジャストメント)の際には、今までで1番体調が良く仕事をすることができた。手足の感覚の違和感はほとんど消失した。
6回目(6週目のアジャストメント)の際には、体調は全体的に問題ない。術者目線で言えば、背中の皮膚荒れが非常に和らいでいた。神経の状態がかなり変わってきた証拠だと考えられる。残るは睡眠がしっかり取れて気持ちよく起きれたら最高というような状況になってきている。ここから仙骨のアジャストメントをしたら、上部頸椎のブレイクや可動域制限が消失したため、メジャーを仙骨とし、仙骨のみのアジャストメントとした。
15回目(16週目のアジャストメント)までの間に体調が悪化していく感覚はなくなり、睡眠も全快とまではいかずとも、十分に取れている。また、実際に術者が患者の仕事姿を見る機会をいただいたが、側から見る雰囲気としては、他の方と同様のパフォーマンスを出せており、安心して見ることができた。だが、仕事後は反動が少しあるらしく、しっかりとした休息を取らなければ無理はできない。とのことである。現在も、仕事と休息のパフォーマンスを向上させるためにメンテナンスを継続中。
この患者様は、複数の体の問題を同時にたくさん訴えていらっしゃいました。1番のお悩みはなんでしょうか?とお聞きしたとしても、絞り切ることはできずとにかくお辛い状態です。
それらに対して、1つ1つ追求していくことも非常に重要ではありますが、複数の問題が積み重なる時というのは、原因はシンプルであるケースが非常に多いです。
今回の場合は、すべて副交感神経領域の神経の圧迫が原因として考えられます。副交感神経というのは、自律神経という神経の1種で、主にリラックスする時に必要になってきます。車で言えばブレーキのようなものです。
この副交感神経がうまく働かない状態が起こってしまうと、睡眠が十分に取れなくなってしまったり、それによって身体の回復も遅れることから、倦怠感が出てきたりもします。また、血管の拡張や収縮がうまく行えないので、妙な寒気や真反対の火照る感覚など温度調整機能にも影響を及ぼしてしまうのです。
また過去に上京をしてきて、必死で仕事をしていた時代に、自分の体のことは後に回して、睡眠を削り続けたという経歴があることも考慮する必要があります。
今回のような様々な症状が訴えられるような場合に、まずそれらの問題はどのような神経と関係があるのかというところに着目すると、原因を特定することが可能になります。そして、神経の働きが正常になれば、自然治癒力が十分に発揮されて、回復に至るのです。
多くのお悩みを抱えていらっしゃる患者様におかれましても、それらの問題をピックアップしてこれは、普段リラックスできていないから起こっているのか。または、活発に活動できていないから起こっている問題なのか。ということを整理してみると解決の糸口が見つかるかもしれません。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友
1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。