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一晩に5回は目覚める夜間頻尿

一晩に5回は目覚める夜間頻尿

カイロで頻尿が良くなるなんてびっくりしました!

70代男性
主訴
夜間頻尿
来院に至った経緯

患者はおよそ50年にわたり腰痛を抱えて生活してきた。
若い頃から腰の不調は常にそばにあり、歩き始めに痛みが走ることも多かった。年齢を重ねるごとにその痛みは生活の一部として染み込み、諦めにも似た感情とともに、いつも腰を気にしながら日々を送ってきたのである。

日常的な歩行は、犬の散歩程度であれば問題ない。しかし、ハイキングで荷物を背負うような場面では腰に重さがのしかかり、歩くほどに「また痛みが出てきた」という不安が湧き上がる。
剣道や水泳を経験し、もともと身体を動かすことを好むタイプであったにもかかわらず、ここ数年は自由に動けない感覚が強まり、「仕方がないのかもしれない」と自分に言い聞かせながらも、本心ではまだ諦めきれない気持ちがあった。

これまでに鼠径ヘルニア、白内障、盲腸の手術、さらには親指の腱断裂など、いくつもの症状を乗り越えてきた。しかし、腰の痛みだけは頑固に残り続け、長年の悩みとなっていた。

そんな中で、今回「どうにかしたい」と強い気持ちが芽生えた最大の理由は、腰痛に伴う“夜間頻尿”であった。
夜に3〜4回も起きてしまい、熟睡ができない。眠りについてもすぐに目が覚めてしまうため、朝は疲労が抜けきらない。
「今日も眠れないのだろうか」という不安が毎晩続き、身体だけでなく心にも大きな負担をかけていた。

そのような状況の中で、来院を後押ししたのは妹の存在である。
すでに妹は当院に通院しており、通うたびに姿勢が整い、表情が明るくなり、明らかに体調が変化していく様子を目の前で見ていた。

「どこに行っても良くならなかった症状が良くなってきた」
「歩くのが楽になった」

妹の言葉を聞くたびに、
自分にもまだ変われる可能性があるのではないか。
この長い悩みから抜け出す道があるのではないか。

その考えが少しずつ確信に変わっていった。

長年続く腰痛、歩くと痛みが出る不安、荷物を背負うと増す負担、そして夜間頻尿による深刻な睡眠障害。
それらに向き合いながらも、「本当はもっと自由に歩きたい」「年齢に関係なく、まだやりたいことがある」という思いが消えることはなかった。

そしてついに、これを最後の挑戦にしたいという強い覚悟を持って、当院への来院を決意された。

初診の状態
  • 01

    腰部皮膚が乾燥している

  • 02

    腰が曲がった姿勢

  • 03

    夜間に4~5回は起きてしまう頻尿

  • 04

    座位から立ち上がる際の腰痛

経過と内容

初診時には腰が曲がった姿勢が顕著にみられ、歩行時もよたよたと歩きにくい印象であった。検査をすると、腰部皮膚が乾燥している上に、右の脊柱起立筋の緊張が過剰にみられる。夜間には、4~5回はトイレで起きてしまうとのことである。実際にレントゲンを確認すると、腰部側面像において、L5の椎間板はD6と15年異常の歳月をかけて神経の負担がかかっており、慢性化していることが確認できる。腰椎の前弯のカーブは消失し、中部胸椎まで影響が及んでいる。

これらの状況を鑑みて、初期集中期は週に3回のぺースで進めていくことを提案。しかし、家庭の事情や家から出ること自体が億劫なこともあり、週に1回が最大値だということで、ケアを開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)では、前回のケア後に腰がスムーズに動く感覚があったとのこと。

4週目(5回目のアジャストメント)では、腰はスムーズに動けるようになり立ち上がりにあった痛みも気にならなくなった。この時点で夜間に起こる頻尿は一夜で2回程度まで落ち着いた。

15週目(14回目のアジャストメント)では、頻尿は一晩で1回あるかない時もあると大きな変化が見られた。腰部に関しても不安なく過ごすことができている。腰部の皮膚の質感は初診時よりも、非常になめらかになっており、神経の回復が進んでいることを示唆している。

現在は腰部や頻尿、睡眠の質をより良い状態にするために。また、お孫さんと元気に遊ぶためにもメンテナンスを続けている。

週目(回目のアジャストメント)では、

週目(回目のアジャストメント)では、


考察

今回の患者は、長年の腰痛とともに悩んでいた「夜に何度も起きてしまう頻尿」が、カイロプラクティックケアによって改善していった例である。

初診時、患者の腰まわりの皮膚は強く乾燥しており、レントゲンからも長い年月にわたって神経に負担がかかっていたことが推測できた。腰の痛みは常に感じていたが、本人が最も困っていたのは「夜に4〜5回もトイレで目覚めてしまうこと」であった。

夜に何度も起きてしまう頻尿には、膀胱そのものだけでなく「自律神経の乱れ」が深く関係している。自律神経とは、身体を無意識に調整する仕組みで、昼は活動モード、夜は休息モードへと切り替えてくれる。通常なら夜は身体がしっかり休めるように働き、膀胱も「尿をためやすい状態」になる。

しかし、自律神経が乱れるとこの切り替えがうまくいかず、夜でも膀胱が敏感に反応してしまう。少ししか尿がたまっていなくても「トイレに行きたい」という反応が起こり、何度も目が覚めるようになる。ストレスや疲れ、睡眠の質の低下などもこの乱れを助長するため、さらに悪循環が生じる。

つまり夜間頻尿は、膀胱だけの問題ではなく、身体全体のバランスが崩れているサインでもある。

今回の患者の場合、カイロプラクティックケアを進めることで骨盤まわりの神経の流れが整い、夜間の排尿パターンが正常に戻っていったと考えられる。また、骨盤が安定したことで、長年苦しんでいた腰痛も自然と軽減へ向かった。

骨盤のゆがみやそれによる神経機能の低下は、ただ腰が痛くなるだけではなく、自律神経や内臓の働きにも影響を及ぼす。頻尿だからといって水を控えたり薬を使ったりする「外側からの調整」だけでは根本の改善にはつながりにくい。

必要なのは、身体の内側に目を向けること。神経のはたらきそのものを整えることだと示してくれた症例である。

関野 貴友

執筆者塩川カイロプラクティック関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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