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ヨガのポーズがまったくできない腰痛

ヨガのポーズがまったくできない腰痛

どこに行っても改善しなかった腰痛が解消されて、大好きなヨガができるようになった!

50代女性
主訴
腰痛、坐骨神経痛、顎関節症、頭痛、末端冷え性、バセドウ病
来院に至った経緯

数年前にぎっくり腰をしてから、ずっと腰痛が続いていた。元々はデスクワークの仕事をしていて、そのときから腰痛はあったが、30歳のときにヨガのインストラクターになって転職してからは、腰痛はそれほど感じなくなっていた。

20数年ぶりに腰を痛めてヨガのポーズもできなくなった。クライアントの前で見本のポーズができないと仕事にならなかったので、整体や針治療に通ったが、あまり良くならなかった。

腰痛は次第に酷くなり、最初は左腰の辺りだけが痛かったのが、いつの間にか左臀部に強い張り感とギューッと締め付けられるような痛みが出た。整体や針治療の先生からは坐骨神経痛だと言われ、通う頻度を上げないと治らないと言われて週3回通ったが、まったく変化しなかった。

腰を痛めてから半年が経った頃、手足が異常に冷えていると感じるようになった。元々、ヨガを始めたきっかけが末端冷え性を改善したかったという理由があったが、ヨガをやるようになってからは手足の冷えはそれほど感じていなかった。

結局、腰痛が良くならずにヨガのインストラクターの仕事ができなくなり、ヨガスタジオで裏方のスタッフとして働くことになった。元々、デスクワークをしていて腰痛や末端冷え性が辛くてヨガで改善したのに、結局デスクワークに戻ってしまい腰痛も悪化していった。

20数年ぶりのデスクワークでパソコン作業をしている影響か、午後になると頭痛が頻発するようになった。また、この頃から左顎がガクガク鳴るようになった。歯医者で口を開けている時間が長かったときは、歯の治療後に口が閉じなくなってしまったことがあった。

ヨガをできなくなってから体の調子が悪く、次第に動悸がするようになった。手が震えたり、運動していないのに汗をかいたり、疲れやすいと感じたりしていた。更年期障害かなと思ったが手の震えは怖かったので病院で検査を受けるとバセドウ病と診断された。

ヨガはおろか、このままだと日常生活も送れなくなるかもと恐怖を感じた。ヨガをできなくなってから症状が酷くなったと思い、まずは腰痛をなんとかしてヨガに復帰するしかないと思った。

そんなとき、自分が担当していた時のヨガのクライアントから、「先生、腰が悪いなら絶対にここに行った方がいいよ!」と強く勧められ、紹介という形で当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    頸部胸鎖乳突筋(特に左側)の過緊張

  • 02

    第一頸椎左横突起のスポンジ状の浮腫感

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容

初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左上後腸骨棘上端と内縁に強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD6レベルで重度の骨盤の傾きが確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD5レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事が多忙で週1回のケアも難しく、可能な限り詰めてケアを開始した。

13週目(6回目のアジャストメント)には、デスクワーク中の腰痛はそれほど感じなくなっていたが、試しに軽くだけヨガのポーズをしてみたが、簡単なポーズでもまだ痛みは出ていた。

22週目(10回目のアジャストメント)には、この頃には日常生活では腰痛はほとんど感じなくなっていた。この頃から、簡単なヨガのポーズならできるようになっていた。また、顎のガクガクはまったく鳴らなくなった。手足の冷えも以前ほど感じなくなった。

30週目(13回目のアジャストメント)には、腰痛はすっかり解消し、ヨガのインストラクターに復帰することができた。この頃には、頭痛、動悸、発汗異常、手の震えも「そういえば出ていない」と本人も忘れているほどだった。

47週目(15回目のアジャストメント)には、ヨガのインストラクターの仕事に復帰してからも腰痛は出なくなり、体全体の調子も良くなった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の腰痛の原因は、左の仙腸関節の可動域制限が原因であったと考えられる。

レントゲン評価では腰の椎間板は、6段階中6段階目と最終段階で慢性的な段階であった。甘く見ても20年以上は腰部の椎間板に負担が掛かっていたと考えられるが、骨盤部の傾きや左右差がかなり強く出ていた。

骨盤部には左右に一つずつ仙腸関節問ものが存在しているが、人間には補正作用があるため、どちらかの仙腸関節の動きが制限されると反対側の仙腸関節の動きが過剰になってしまう。

すると日常生活において、歩くたびに腰部が捻じられるような状態となる。椎間板は捻じる動作に弱くできているため、長年の骨盤部の制限が、腰部の神経に強い負荷を掛けていたと考えられる。

検査では骨盤部だけではなく、上部頸椎にも強い反応がみられたが、骨盤部と上部頸椎はどちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経支配の部位にサブラクセーション(根本原因)があったことで、交感神経が過剰に働いてしまい、自律神経のバランスも乱していたのだろう。

末端冷え性などは、その典型例である。交感神経の作用として末梢の血管を閉じる役割がある。これ自体は交感神経の普通の作用だが、その状態が長期間続くことで末梢の血管が閉じたままとなり、末端冷え性を引き起こしていたと考えられる。

午後になると出ていた頭痛は緊張性の頭痛であり、これも交感神経が過剰に働いている人の特徴となる。

顎関節症もあったが、顎関節に直接的な外傷がないケースでは、ほとんどの場合は頚部のバランスの乱れが影響してしまう。特に上部頸椎と顎関節は密接な関係があるため、上部頸椎が安定することで顎関節への負荷も減り、結果として顎がガクガク鳴るような症状も改善したと考えられる。

病院では、バセドウ病と診断されていたが、バセドウ病とはいわゆる甲状腺機能が亢進している状態であり、車でいえばアクセルを踏みっぱなしの状態となる。交感神経が過剰になっていたことで、甲状腺機能が暴走するような形となり、動悸や発汗異常、手の震えに繋がっていたのだろう。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。あらためて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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