
一度ひどいめまいが起きると、起きていることもできないくらい寝込んでしまう
1年前にメニエール病と診断され、それ以降、常時めまいが起こるようになった。もともとめまいを感じることはあったが、1年前からはその頻度が増し、日常生活に支障をきたすほどの症状となっていた。特に気圧の変化に対して非常に敏感になり、天候の影響を強く受けるようになった。特に低気圧から急に高気圧へと移行する際にめまいや耳鳴りが生じることが多く、このような気象条件の変化がある日は、朝起きた時点で頭が重く、ふらつきを感じることが増えた。症状が軽い時はなんとか日常生活を送ることができるものの、一度ひどいめまいが発生すると、立ち上がることも困難になり、起き上がることすらできずに寝込んでしまうことがあった。そのため、仕事や日常の予定もめまいの影響を受けることが多く、体調によっては予定をキャンセルせざるを得ない状況が続いていた。
診断を受けた後、めまい専門医のもとで診療を受けることになり、定期的に通院しながら治療を継続している。医師の指導のもとで、めまいの症状を和らげるための薬の処方を受けたり、生活習慣の見直しを行ったりすることで、以前に比べてめまいの頻度は減少し、症状が出た際の回復までの時間も短縮されるようになってきた。しかしながら、完全に治癒するには至らず、根本的な改善を感じられないまま時間が経過していた。症状が落ち着いている期間でも、常に「またいつひどいめまいが起こるかわからない」という不安がつきまとい、日常生活を送る上で大きなストレスとなっていた。特に仕事や外出の予定を立てる際には、体調の変化に常に気を配らなければならず、以前のように自由に行動することが難しくなっていた。
そうした中、患者の奥様が当院のことを知っており、「ここならばめまいの原因をより深く探り、身体のバランスを整えることで改善の可能性があるのではないか」と考え、紹介を受ける形で来院に至った。これまで病院での診療を受けながらも根本的な解決には至らなかったことから、患者自身も別のアプローチを試してみたいと考えていた。また、めまいの原因が必ずしも耳だけにあるとは限らず、神経の働きや身体の歪みが影響している可能性もあることを知り、当院の施術がそれらの調整を行うものであることに興味を持った。こうして、めまいを少しでも軽減し、今後の生活の質を向上させることを目的として、当院での施術を受けることを決意した。
右上部頚椎付近のしこりと硬直
頚部全体の体表温度の乱れ
頭部の前方移動
レントゲン評価では、慢性的な椎間板は見当たらなかったが、頚部の体表温度の乱れと、症状の状態を考慮したうえで、初期集中ケアでは、週2回から始めることとなった。
1回目のアジャストメント後、めまいの症状が軽減し、耳鳴りも右から左に移動する変化が見られた。ケアを始めて2週後(4回目のアジャスト)には、天候の変化による低気圧が症状の悪化を促すものの、薬を服用しなくても耐えることができるようになった。
その後も週2回を3ヶ月間(合計20回のアジャスト)継続してケアを行った結果、天候の変化でめまいや耳鳴りが悪化することはなくなった。その後は、週1回のケアに移行し、半年後には、めまいや耳鳴りは完全に解消した。現在も月に数回のケアを継続している
レントゲン評価で慢性的な状態な椎間板は見つからなかったが、重度のめまいによって日常生活に支障をきたしていたために、早期の改善を目標にしてケアを開始した。特に初診日に様々な検査の結果、右上部頚椎付近(頚椎2番)に体表温度の乱れや可動域制限が確認された。
頚椎2番へのアジャストメントを行ったことによって、神経伝達が改善されたと同時に右上部頚椎付近の硬直やしこりも軽減していった。
めまいの原因として考えられるのが、自律神経が乱れ、すなわち交感神経と副交感神経のスイッチのオンとオフがうまくできない事によって、三半規管の中のリンパ液が必要以上に生産されていることや、吸収が必要以上に阻害され、リンパ液が増加し、むくんでいる状態になります。その結果、体が動いていないのにリンパ液が動いてしまい“体が動いている”と勘違いし、めまいのような症状が現れることがあります。
サブラクセーションが取り除かれ、脳と身体の神経サイクルが正常になり、そして自律神経のバランスが正常になり改善に向かったと考えられる。今回のケースでは、1年前からメニエール病と診断され、めまいや耳鳴りで専門の病院でケアを受けていたことで、定期的な運動や禁酒などの生活習慣を徹底していたこともいい結果につながったと考えられる。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室塩川 雅士D.C.
1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。