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デスクワークで座っていられない腰痛

デスクワークで座っていられない腰痛

30代男性
主訴
腰痛、下痢
来院に至った経緯

10月3日の昼頃から腰に違和感が出始めて、短時間でも座っていられないほどの痛みになって仕事を早退した。その日はそのまま帰ったが、寝てても痛みは続き、夜はなかなか寝ることができなかった。

歩いても痛みが緩和される様子はないが、立っているだけでは痛みは少ない。また、痛みの場所は右の骨盤あたりで、それ以外の部位に痛みや痺れが放散することはないということだった。

きっかけはなく、特に何かをした覚えはない。けれども、仕事は事務職で座っている時間がほとんどで、ずっと同じ姿勢でいるとのことだった。また、休みの日の過ごし方に関しても、予定がなければ家でゲームをして過ごすことが多く、ごろごろしていることが多い生活だった。

ぎっくり腰は年に1回のペースでやっているが、今回はその痛みとは違う感覚で、人生で初めての痛み。腰痛以外には、お腹の調子も下しやすく、下痢をよくするとのこと。

ドライブが好きで、高速道路を使って遠くに行きたいが、症状が悪くなってしまうと遠出のドライブができなくなってしまう事が心配。また、事務の仕事も親族の紹介で、やっと就けた職なのでずっと続けていきたいと思っており、痛みが取れてくれないと困るとの事。

お母様も当院に通院されており、カイロプラクティック・ケアの強い勧めを受けて、ご来院を決意された。

初診の状態
  • 01

    右上後腸骨棘に窪んだ浮腫

  • 02

    右腰部起立筋の過緊張

経過と内容

1週目(1回目のアジャストメント)では、患部の熱感があったためポンピング程度に留め、座っているだけでも痛みが強いことから週2回からのケア計画を提案しスタートした。

初回では、熱感もあることからアイシングを伝え、2回目以降では骨盤部、特に仙腸関節を動かすために1時間に1度立ったり、ウォーキングをするようお伝えして、実践いただいた。

3週目(5回目のアジャストメント)では、腰痛がほぼなくなりデスクワーク中に気になることがほとんどなくなった。

6週目(8回目のアジャストメント)では、お腹の調子が良く、下痢を全然しておらず固形で出てくるようになった。

10週目(13回目のアジャストメント)では、長時間のデスクワークをしても腰痛が出る不安もなくなり、痛みが出やすく苦手だった電車移動や遠出のドライブでも問題なくお出かけを楽しめるようになった。触診による皮膚の状態や仙腸関節の可動性も良い状態でキープできているため10日から2週間に間隔を延ばした。

22週目(19回目のアジャストメント)では、相変わらずデスクワークで座り姿勢は多いが、腰の緊張を強く感じることは少なくなった。その後は中国地方や北陸への旅行を楽しむことができたと報告を受け、現在も4週間に間隔を延ばしカイロプラクティック・ケアを続けている。


考察

本症例は、骨盤部のサブラクセーションによる右仙腸関節の可動制限を原因とした急性の炎症反応であったと思われる。また、骨盤部のサブラクセーションが自然治癒力の妨げとなっていたことでぎっくり腰を繰り返すなどの慢性的な状態になっていたと考える。

ガンステッド・カイロプラクティックでは後頭骨から頚椎5番までが副交感神経、頚椎6番から腰椎5番までが交感神経の支配領域であるとされている。

副交感神経サブラクセーションが起きると、交感神経は優位になり、筋肉の過緊張・血流低下・下痢の兆候がみられる。

サブラクセーションが体に起きる3つの要素として、身体的ストレス・精神的ストレス・毒素の蓄積がある。身体的ストレスとは腰を強打したり、むち打ちのような大きな衝撃以外にも、長時間のデスクワーク、ゲーム中の不良姿勢、運動不足による筋力低下なども該当する。

これらの身体的ストレスは、本人が気がついていないうちに常に体に負荷をかけていることが多く、小さなストレスがやがて大きくなってサブラクセーションが発生すると言われている。

今回のケースでは、患者はデスクワークで日中ほとんど座っていることが確認できている。休日は運動をあまりせず、ゲームをするという生活習慣であることから、普段から小さな身体的ストレスが多い状態であり、まさに骨盤部への負担が強い状態であると推察した。

身体にとって最も重要なことは、アジャストメントによってサブラクセーションを取り除き、神経の流れを整えることである。その結果、「脳と神経」は正確に“連携”を取れる。脳から全身へ正しい指令が届くようになると、内臓の働き・筋肉の伸縮・関節可動性・ホルモンバランス・循環器系の機能向上など、運動神経・自律神経・感覚神経の機能に変化が現れる。

アジャストメントによる「脳と神経」の連携が取れている状態に加えて、セルフケアとして最低限の運動の実践したことで、血流改善による腰部の緊張緩和や椎間板への栄養供給、仙腸関節の可動性維持に関与し、早期に回復したと考えられる。

以上より、神経の流れを妨げていたサブラクセーションを取り除き、「脳と神経」の“連携”がしっかり取れる状態に整えれば、身体の損傷具合や機能不全に陥っている器官の状態を脳が正確に把握できるようになり、体に本来備わっている自然治癒力は必ず発揮されることがわかる素晴らしい症例であった。

髙村 悠二

執筆者OKAカイロプラクティック髙村 悠二

東京都出身。理系大学を卒業後、ミュージシャン・音楽講師として活動を始める。活動の中で解剖学や身体の使い方という視点からの上達法をSNSで見て、「体の仕組み」に興味を深め、整体の専門学校に入学。専門学校卒業後、整体師としても働き始め、勤務先でカイロプラクティックに出会う。より本格的な技術と理論を学ぶため、シオカワスクールに入学を決意し、CSセミナーCLセミナーを修了する。勉強していく中で、自分が音楽家として活動するのではなく、カイロプラクティックでサポートしていきたい気持ちが強くなり、音楽講師をやめ、OKAカイロプラクティックに入社。カイロプラクティックの素晴らしさを普及するため日々施術に臨む。シオカワスクールで後進の育成にも携わっている。

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