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デスクワークで午後から発症する頭痛

デスクワークで午後から発症する頭痛

50代男性
主訴
頭痛、下腿の浮腫みとだるさ
来院に至った経緯

デスクワークを中心とした生活を続ける中で、約5年前から左の首に痛みから頭痛を感じるようになってきた。

最初は軽い違和感程度だったものの、次第に頻度が増し、朝起きたときにこわばったような感覚があり、特に仕事中お昼過ぎから徐々に痛みが強くなり仕事の終わる頃には疲労感と共に痛みが残るようになった。

姿勢を意識したり、ストレッチを取り入れたりしてみても大きな改善はみられず、痛みがひどい日は頭痛薬を服用してなんとか乗り切ることが増える。しかし、一時的に症状を和らげるだけで根本的な改善には至っていない。

1年ほど前からは両下腿のだるさやむくみが気になるようになる。特にデスクワークで長時間座りっぱなしの状態が続いた日には症状が悪化し、夕方になると靴がきつく感じるほどむくんでいることもある。

週の初めよりも週末にかけて症状が強まる傾向があり、入浴やマッサージで一時的に和らぐものの、また同じ生活を繰り返すことで症状が戻ってしまい完全に解消しきれていなかった。

ご近所の方が当院に通院されていたため、相談したところ紹介され来院された。

初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の可動域制限

  • 02

    腰部脊柱起立筋の緊張

  • 03

    頚部から肩のかけての筋緊張。特に左側

経過と内容
初診時の状態では、上部頚椎と骨盤には明らかな可動域制限と強い浮腫感、体表温度検査では明らかに左右の温度の誤差が確認された。

初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、腰部脊柱起立筋の筋緊張の緩和、骨盤部の浮腫感軽減。慢性腰痛が緩和し、両下腿の浮腫みは週末になるとより強く感じられたが浮腫みが改善されてきた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、1週間は疲労が溜まると頚部痛みはあるが回数と痛む時間も減り、頭痛薬を服用せずに過ごしている。

9週目(7回目のアジャストメント)には、仕事が忙しく長時間座っていることが多かったため腰痛はあったが、両下腿の浮腫みは気にならなくなった。首こりのような症状はあるが痛み、頭痛は発症していない。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の頚部の痛みは、自律神経のバランスの乱れが大きく関与していると考えられる。

問診では、下部頚椎や骨盤において顕著な体表温度の違いや浮腫、筋緊張がみられた。今回のケースでは交感神経の過剰な働きがみられたが、特に下部頚椎のサブラクセーションによる上部頚椎への負担が関与していたと考えられ、土台となる骨盤の調整を優先し筋骨格系へのアプローチを行うことから開始した。

頚部の痛みの主な原因は2つ考えられる。1つ目は自律神経のバランスが乱れることで筋肉が過剰に緊張し、痛みを引き起こしているケース。2つ目は骨格のバランスが崩れることで頭部の重みを適切に支えられず、筋肉が負担を強いられているケースである。

また、骨盤のバランスの乱れは背骨の配列に影響を与え、今回のケースでは長期間にわたる骨盤のサブラクセーションが自律神経の乱れを引き起こし、その結果、頚部に慢性的な負担がかかっていた可能性が高いと考えられる。

さらに、下腿のむくみについても、自律神経の影響が大きい。下半身の血流やリンパの循環は神経によって調整されており、特に腰部や骨盤から伸びる神経がその役割を担っている。この神経に過度な負担がかかると、血管の拡張・収縮がスムーズに行われず、血液やリンパの流れが滞り、むくみや冷えの原因となる。今回のケースでは、慢性的な腰痛も確認されており、腰部や骨盤の神経圧迫が下半身の循環不良を引き起こしていた可能性が高い。

また、浮腫の発生には自律神経のバランスも深く関係している。心臓、腎臓、肝臓、甲状腺など、体液調節に関わる臓器の機能は自律神経によってコントロールされており、このバランスが崩れることで水分代謝が乱れ、むくみを引き起こしやすくなる。

仕事の後半や夕方にかけて発生する頭痛も交感神経の過活動が要因となっている可能性がある。デスクワークで長時間同じ姿勢を続けると、筋緊張が蓄積し、PC作業によるブルーライトの影響で交感神経が刺激される。この結果、眼精疲労が進行し、緊張性頭痛を誘発することがある。交感神経が優位な状態が続くと、末梢の血管が収縮し、血流が悪化するため、老廃物や疲労物質が蓄積しやすくなり、頭痛の発生リスクが高まる。

アジャストメントによってサブラクセーション(神経機能の障害)を取り除き、神経の流れが正常に戻ったことで、頚部の痛みや下腿のむくみが改善へと向かったと考えられる。

長年にわたり悩まされていた症状が、神経の流れを適切に整え、脳と体の情報伝達をスムーズにすることの重要性を示す貴重な症例である。

中島 恵

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。

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