

学生時代から社会人にかけて、約20年以上テニスに打ち込み、その間に腰痛を感じることが度々あった。当時は少し休めば自然と回復する程度で、特に深刻に考えたことはなかったが、30代に入った頃からは、以前のように休むだけでは痛みやだるさが抜けず、慢性的に腰の重みを感じるようになってしまっていた。
また、この数年で仕事がデスクワーク中心になったことで、長時間座りっぱなしの日々が続いている。パソコン作業が多く、画面を見つめ続けることで目が疲れやすく、そこから首や肩へ負担がかかっているのを自覚していた。特に左の首の付け根辺りにだるさが残るようになり、ひどいときには頭痛を伴うまでに至っていた。こうした不調は、仕事中の集中力にも影響を及ぼし、業務の効率が下がることもしばしばあった。以前は、少し動くだけで回復していた体のコンディションが、気を抜くとすぐに不調を感じるようになっていた。
腰に関しては、もともと軽い腰痛持ちだったものの、テニス経験からくる負担の蓄積が大きな要因だと思っていたが、30代になると、その痛みや張りが長引いてしまい、座りっぱなしの作業が続くと特に強く感じるようになってきていた。重い物を持ち上げる際にも、腰に鋭い負担がかかるときがあり、日常生活のちょっとした動作にも支障をきたすようになってしまった。
こうした首・肩・腰の不調を放っておくと、今後さらに悪化してしまうのではないかと不安に感じるようになってきていた。また、仕事のパフォーマンスの低下も大きな悩みだった。そこで、単に休養を取るだけではなく、根本的な改善を目指すべきだと考え、友人から勧められたカイロプラクティックの施術を受けることに決めた。姿勢の乱れや骨格の歪みを整えることで、首・肩・腰にかかる負担を軽減し、長時間のデスクワークや日常生活でも疲れにくい身体を取り戻せるのではないかと期待して来院。
今回の来院の目的は、慢性的な肩こりや腰痛を改善し、頭痛や首のだるさから解放されること。そして、それによって仕事やテニスなど、これからのアクティブな生活をさらに充実させること。いままで何とかやり過ごしてきた不調を本格的に解消し、思いきり動ける身体づくりを目指したいと思って来院された。
左仙腸関節の可動域制限
腰部起立筋の過緊張
初診時のケア計画として、腰部の椎間板評価はL5 D3レベル、頸部はストレートネックの状態であり、慢性的な筋緊張と自律神経の乱れがみられたため、週1〜2回の施術を推奨した。しかし、仕事のスケジュールにより週1回の施術からスタートすることとなった。初期の施術では骨盤(左PIEX)の矯正を優先し、仙腸関節の可動域改善を目指し、同時にアトラス(ASL)の調整で交感神経過緊張の緩和を図った。
2週目(3回目のアジャストメント)には症状の自覚的な変化は少ないものの、睡眠の質が向上し、夜間に途中で目が覚めることが減少した。また日中の眠気も減り、仕事の集中力が改善傾向にあった。仙腸関節の可動性が向上してきたため、骨盤リスティング(左PIEX)を継続しつつ、上部頸椎(ASL)への調整を強化した。
4週目(5回目のアジャストメント)には腰の張りが継続しているものの、テニス後の腰痛は以前に比べて軽減していた。一方で左胸鎖乳突筋の緊張が強く、眼精疲労の影響が疑われた。パソコン作業後の首のだるさは以前より軽減したが、長時間の作業では右肩の疲労感が強く出るとの訴えがあったため、S2に浮腫や可動制限、圧痛が残存していることを考慮し、S2Pのアジャストメントを開始した。
6週目(7回目のアジャストメント)には腰部の筋緊張が大幅に減少し、仙腸関節の動きが安定してきた。睡眠の質が明らかに向上し、朝の寝起きのスッキリ感が増し、頭痛の頻度も減少傾向にあり、眼精疲労も以前より軽減した。
9週目(9回目のアジャストメント)にはテニスやゴルフ後の腰痛が大幅に減少し、日常生活での動作もスムーズになった。パソコン作業時の右肩の疲労感は続いているものの、以前ほどの負担感はなくなった。S2のブレイクはわずかに残っているが、仙腸関節の動きは良好であった。ただし、左胸鎖乳突筋の緊張が継続しているため、頸椎へのアプローチを継続することとした。
本症例では、長年のテニスによって腰部へ蓄積した負荷に加え、デスクワーク中心の生活へ移行したことで首や肩、特に左首付け根部分にかけて慢性的なだるさ・頭痛が生じ、さらに腰痛の慢性化も認められている。
さらに眼精疲労が強く、日中の眠気や中途覚醒といった自律神経系の乱れからくる症状が確認された。
腰の常にある緊張、眼精疲労、中途覚醒、締め付けられる頭痛など交感神経の過活動による血管収縮や筋緊張が起きていたと考えられる。
交感神経を優位にしてしまう理由として副交感神経領域におけるサブラクセーション「左PIEX」「ASL」「S2P」による神経伝達の障害が考えられる。
が影響を受け、結果的に交感神経が優位に働き過ぎている状態だったことが考えられる。
交感神経が過剰になると血管収縮が続き、首や肩、腰部を中心とした筋緊張が起こりやすくなるほか、睡眠の質やホルモンバランスへの影響がでやすくなる。特に目の奥の疲労感や頭痛は、眼精疲労を引き金として交感神経の興奮をさらに高め、結果として頭部〜首肩周囲のだるさ、集中力低下、頭痛へとつながるケースも多い。こうした自律神経の乱れは、日常生活や仕事のパフォーマンス低下にも直結し、さらなるストレス・疲労を蓄積させてしまうという悪循環にもつながりやすい。
施術を開始してからパソコン使用後の眼精疲労が軽減しているため、副交感神経サブラクセーション(後頭骨~C5、仙骨、腸骨、尾骨)を整えていくことで、夜間の睡眠状態や消化・循環といった全身的な回復モードが十分に働く下地がつくられ、交感神経優位による慢性的な首・肩・腰の筋緊張が改善したことが考えられる。
さらに、骨盤リスティング(左PIEX)による骨盤帯の歪みが腰椎・仙骨に負担をかけ、立位・座位などでの負荷や重心バランスを乱している可能性があったため、仙腸関節に対するアジャストメントを行い、腰痛の減少につなげた。
本症例は、まず骨盤部の副交感神経のサブラクセーションに対するアプローチを優先し、自律神経のバランスを回復させたうえで、腰部への施術を組み合わせる方針で施術を進めた。
神経の流れが整い、身体が本来の治癒力や機能を最大限に発揮できるようにアプローチすることで回復の下地をつくることが改善への近道であることがわかる典型的な症例である。


執筆者塩川カイロプラクティック・埼玉カイロプラクティック 大宮Kソレイユ菊地 雄介
埼玉県熊谷市出身。スポーツインストラクターを専門的に学び、大手整体サロンに就職。副店長として施術と人材育成にも携わるが、本格的な施術で多くの方を健康に導きたいと思い独立。様々なセミナーを通じ探求する中で塩川カイロプラクティックに出会う。身体が劇的に変化していくのを目の当たりにし、この道を極めたいと考えてシオカワスクールに入校。本物のカイロプラクティックの可能性と奥深さに感動し「本物の技術を学び、より多くの人に伝えたい」という想いが強くなり、塩川カイロプラクティックでの勤務をきめた。カイロプラクティックの力で皆様の健康を全力でサポートします。