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テニスはしてないのにテニス肘と診断された肘痛、頭痛、めまい

テニスはしてないのにテニス肘と診断された肘痛、頭痛、めまい

原因不明の肘痛と頭痛が改善

20代女性
主訴
肘痛、頭痛、めまい
来院に至った経緯

2ヶ月ほど前から右肘に違和感を感じるようになった。最初は軽い痛みだったが、次第に物を持つのも辛くなり、日常の動作がどんどん不自由になっていった。1ヶ月前に病院を受診し、「骨には異常なし、テニス肘ですね」と診断され、バンドを巻いて安静にするよう指示を受けた。

「テニス肘…? でも、自分はテニスなんてしていないのに…?」

そう思いながらも、1〜2週間で落ち着くと言われたため、しばらく様子を見ることに。しかし、実際には痛みは一向に良くならない。腕を動かすたびに痛みが走るだけでなく、天気が崩れるたびにズキズキと痛みが増す。「気圧の変化まで関係するなんて…」と思いながらも、どうすることもできなかった。

さらに、1週間ほど前からひどい後頭部やこめかみの頭痛とめまいに悩まされるようになった。腕の痛みだけでも辛いのに、今度は頭までズキズキと締めつけられるような感覚。気づけば、痛みをかばうような動きが増え、肩や首のこりもひどくなっていた。

「この状態が少しでも落ち着けば…」

病院では「時間が経てば良くなる」と言われたものの、すでに1ヶ月以上経っても大きな変化は感じられない。そもそも、自分の痛みの本当の原因は何なのか? もっと根本的に改善できる方法はないのか? そう考えるようになった。

「他のアプローチも試してみよう」

そう思い、ネットで色々と対処法を検索しているとカイロプラクティックを見つけ、施術を受けてみることを決意。普段の生活を取り戻したいという思いで来院されました。

初診の状態
  • 01

    仙骨および右仙腸関節の浮腫が強い

  • 02

    脊柱起立筋の過緊張

  • 03

    下部頚椎の浮腫が強い

  • 04

    右肘の痛みが強い

経過と内容

頚椎、腰椎ともに椎間板のレベルD2であるため、慢性化しているわけではないが神経圧迫は顕著に見られるため、初期集中期は週1回のケアを推奨した。
また頭痛の特徴やめまいのことを考えると副交感神経に絞ってケアを開始した。のちに、アトラスは第一胸椎に移行する。

3回目のケアの時点で頭痛が起こりにくくなり、めまいは完全に消失すつこととなった。肘は残存。ただ、第一頚椎のブレイクはまだ残っているため、アトラスの経過は追う。

6回目のケアの時点で、頭痛が起こりにくくなる。胸鎖乳頭突筋の緊張も緩和されてきて、ブレイクもほとんど消えた。そのため胸椎1番へ移行をした。

8回目のケアの時点で、肘の調子がかなり良くなってきた。間に気圧が乱れる気候が多くあったけれども、肘に響くこともなく経過が良い。

現在もケアを継続しており、めまいと肘は再発することがない。頭痛に関しては、デスクワークが多くなるとたまに出る時があるため、メンテナンスをおこなう。


考察

今回の患者様は自律神経の問題と、骨格のバランスの乱れなどが混在していた例だと考えられます。

まず頭痛やめまいに関しては、主に第一頚椎や仙腸関節の副交感神経の神経圧迫(以下サブラクセーション)に由来するものである。
頭痛は副交感神経サブラクセーションにより、交感神経が過剰に働いてしまうことで、末梢の血管が収縮してしまい血流障害が起こってしまうことが考えられます。それによって頭痛が慢性化してしまいました。

また、第一頚椎の神経圧迫が起こること、三半規管の中にあるリンパ液が増加しむくんでいる状態が寛解しないままとして放置されてしまいます。つまりは液体が満杯で正常に働けなくなるのです。
その結果、体が動いていないのにリンパ液が動いてしまい “体が動いている” と勘違いし、めまいのような症状が現れてしまいます。この患者様は実際に横になった時にめまいが強くでたが、このようなめまいは頭の位置が動いた時に発症しやすいと言われています。
そのため第一頚椎の神経圧迫が解消されたことで、自律神経が安定し、内耳の代謝も正常に戻ったと考えられます。

また、肘の原因は、骨格のバランスが乱れたことで頭の重さを支えられず神経に負担が掛からないように、首や肩の筋肉を固めていた結果、神経を圧迫してしまったものだと考えられます。

肘の痛みには通常二種類あり、前記のように骨格のバランスが乱れているケース。もう一つは自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過剰に働いた結果、体が過緊張を起こしたり、末梢への血液循環が低下して肘の痛みが回復しないというものであります。今回の肘痛は前者で筋骨格の乱れが原因だと考えられます。

右肘に伸びる神経は第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経から形成されています。そのため、自律神経が安定したのち、胸椎1番へとアプローチの場所を移行したことで、神経圧迫が解消され、肘痛も緩解へと進んでいったと推察できます。先に自律神経が安定したことにより、血液循環も安定したことで、胸椎に移行してからスムーズに回復していったということも考察できます。

自律神経系と骨格系で問題が混在している場合は、まず何が患者様に取っての一番の問題なのかをしっかりとヒアリングし、ケア方針を説明した上で進行していくと結果的に良い結果を望むことができると思います。アジャストメントに加え、患者様へのご説明やケア計画の重要性を再度認識できる症例でありました。

今は肘痛にも悩まされることがなく、転職をされて知り合いのレストランでウエイターをされています。

関野 貴友

執筆者NEOCHI関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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