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ガス溜まり

ガス溜まり

長年あったお腹の張り感がなくなった!

30代女性
主訴
ガス溜まり、頻繁な風邪、末端冷え性、下痢、眼精疲労、頭痛、不整脈、頻尿、膀胱炎
来院に至った経緯

子供の頃から体が弱く、頻繁に風邪を引いていた。年に何度も高熱を出しては学校を休むということを繰り返していた。子供ながらに手足が冷たいなと感じており、お腹も弱くすぐに下痢になってしまうが、なぜか出ているのにガスが異常に溜まって何度かお腹が痛くて病院へ運ばれたこともあった。

社会人になってからは興行の仕事に携わっていたが、コロナの影響で仕事が激減した影響で、昼はデスクワーク、夜は居酒屋でバイトというハードなダブルワークをするようになった。朝も夜も週末もないハードな生活をした影響か、体調が本格的に悪くなった。

デスクワークでパソコン作業が増えたからか、目の奥が痛くなり、夕方になるとほど毎日のように頭痛がしてきた。頭痛が出た状態で、そのまま夜の居酒屋のバイトに行くことが多かった。

デスクワークのオフィスが冷房で冷え切っていて、冷え性の自分にはとても辛く、真夏でもオフィス内では真冬の格好をしていたが、お腹も下すし、ガス溜まりも酷くなった。この頃から、やたらトイレが近いなと感じるようになった。休憩時間に厳しい職場だったため、頻繁な尿意にトイレに行くことを我慢していた。

ある日、今日はなにか息切れするなと思ってバイトをしていると、急に胸が苦しくなってきた。翌日になっても息切れや胸の苦しさがあったため、さすがに無理をしすぎたかと思い病院で検査を受けることになった。

病院では不整脈の気があると言われた。どうせならいろいろ調べてもらおうと思い、泌尿器科も受診すると頻尿や膀胱炎と言われた。ガス溜まりのことも相談すると、わずか数日で大量の薬を処方されてしまった。

これはさすがに体に悪いなと思い、仕事の量も少しだけ減らし、体のケアをしようと決意した。そんなとき興行仲間が通っているカイロプラクティックの話を聞き、ご紹介で来院された。

初診の状態
  • 01

    正中仙骨稜に強い浮腫感

  • 02

    頚部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

経過と内容

腰部の椎間板にD4レベルと慢性的な段階が確認されたため、週2回のケアを提示。仕事がダブルワークで、シフト制で変則だったため週1回のケアからスタートすることにした。

4週目(4回目のアジャストメント)には、夕方以降になると感じていた頭痛はそれほど気にならなくなった。

8週目(7回目のアジャストメント)には、そういえば息切れや胸の苦しさを感じないなと本人も忘れているほどだった。

17週目(12回目のアジャストメント)には、デスクワーク中に尿意が明らかに減り、それほど頻繁にトイレのことを気にしなくなった。また最近手足が温かいなと感じるようになった。

21週目(15回目のアジャストメント)には、そういえば最近風邪を引かないなと感じるようになった。お腹を下すことも目減りし、体調が全体的に良いと感じるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回のガス溜まりの原因は、自律神経のバランスが乱れたことで腸の蠕動運動に異常をきたした結果、ガス溜まりとなっていたと考えられる。

検査では骨盤部と上部頸椎に反応が見られたが、どちらも副交感神経支配の部位となる。通常、腸の蠕動運動は副交感神経が優位なときに活発になるが、今回のケースでは交感神経が過剰となることで、人間の排泄機能が亢進した結果、下痢となっていたと考えられる。また腸内は自律神経の影響を大きく受けてしまう。自律神経のバランスが乱れたことで腸内環境のバランスも乱れ、ガス溜まりも助長していたのだろう。

子供の頃からの頻繁な風邪も自律神経が関係していると考えられる。交感神経が優位になると顆粒球(好酸球・好中球・好塩基球)の比率が上昇する。副交感神経が優位になるとリンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞、B細胞、NK細胞)の比率が上昇する。

つまり自律神経の乱れは、免疫力に関係する顆粒球やリンパ球の比率を乱す原因となり、免疫力の低下から頻繁な風邪となっていたと考えられる。また交感神経の作用として末梢の血管を閉じてしまうが、その過剰な状態が長く続くことによって末梢の血管が閉じたままとなり末端冷え性になっていたと考えられる。

夕方以降に感じる頭痛は緊張性の頭痛であり、こちらも末端冷え性同様に交感神経が過剰になっている人の特徴となる。また交感神経が過剰になると、膀胱周りの筋肉が収縮してしまい、膀胱のタンクが小さくなった状態となり、頻尿となってしまうケースがある。頻繁に感じる尿意を我慢していることで膀胱炎となってしまっていたのだろう。

息切れや胸の苦しさから不整脈も出ていたが、心臓などに異常がなかった場合、迷走神経の問題である可能性が高くなる。上部頸椎の問題は迷走神経と密接な関係があるが、自律神経のバランスの乱れがさまざまな症状を引き起こしていたことは明白であると考える。

今回のケースのように自律神経症状が多く出ている場合、必ず神経系を絞ってアプローチする必要がある。検査によって問題個所を特定し、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が分かる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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