頻繁に起こるめまいや神経痛が改善
20代前半でめまいを発症した。メリーゴーランドに乗っているときのようなふわふわした感覚で、半年前くらいから毎日のようにめまいが出るようになり病院を受診するも検査では異常はみられなかった。めまい体操をしてめまいの頻度は減ってきていたが、耳かきをしてからまためまいが出るようになってしまう。美容室で仰向けでシャンプーをしてもらう体勢でもめまいが出てしまい悩んでいた。
めまいを発症したのと同じ頃に帯状疱疹を発症してる。それ以降、疲れやストレスが溜まると腹部や背中、肩部、股関節、大腿部など様々な部位でピリピリとした神経痛のような痛みが出るようになった。痛みが出ると市販の鎮痛薬を服用し症状が治まるまでは安静にするよう繰り返していた。
10代の頃から左膝蓋骨が外れるようになになり整形外整形外科を受診した。レントゲン、MRI検査でも異常なしといわれた。それから、年に何度か膝が崩れるような感じになる。
腰痛は、以前からあったり当たり前のことだと思っていたためいつから気になっていたか覚えていないくらいだった。半年前くらいから坂道を上っているときに急に抜けるような痛みが出るときもあり、駆け足や早く歩くことを控えていた。
神経痛も日によって痛みの強さや痛いことろが違い、めまいでも洗濯や家事も庭のお手入れなども体調がすぐれない中で行っていて、横になっていることも増えていた。原因が分からず自律神経の乱れが関係しているとは感じてはいたが、どうしていいか分からなかった。そんな中、ご家族の方がインターネットで調べてカイロプラクティックを知り、当院に来院された。
右頚部から後頭部にかけての過緊張
左仙腸関節の可動域制限
仙骨全体の浮腫感
初診時の状態では、左仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、仙骨部と上部頚椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また骨盤と上部頚椎に強い浮腫が確認された。
初期集中期の段階では週1~2回のペースでケアを開始した。
3週目(4回目のアジャストメント)には、アジャストメント翌日の午後からめまいが落ち着いてきたが、まだ急に振り向いたりすることは怖さはある。腰の歩いていて抜ける感覚は回数が減ってきたが、検査では仙骨部の浮腫感は強くみられた。
6週目(8回目のアジャストメント)には、長時間座っていることが多かったからか腰の痛みがあったが、歩いていて抜けるような症状は出なかった。めまい症状が落ち着いてきて、普段横になることが減ってきた。
25週目(20回目のアジャストメント)には、半年前くらいはめまいや体の腹部や肩の痛みは安定したり痛くなったりを繰り返していたが、この頃から体の痛み 、めまいとも感じにくくなってきているとおっ話されていた。
27週目(21回目のアジャストメント)には、週1回のペースでジムに通い始めた。めまいや体の痛みは感じずに不安なく出来ている。
現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。
今回のめまい、体のさまざま部位での神経痛や多くの症状がみられたが、自律神経のバランスが乱れが原因であったと考えられる。
体のあちこちに出る痛みは、ホルモンバランスが乱れたことによって起こる症状の特徴の一つでもある。ホルモンは微量でも強い効果を発揮するため、それによるバランスの乱れによってさまざまな症状に出ることが多い。
女性の場合、女性ホルモンの分泌量の変化によってライフステージで様々な体調の変化が起こりやすくなる。 問診では婦人科系の症状はなく、以前にも生理痛や生理不順などの悩みもみられなかったが、自律神経のバランスが乱れることで脳が卵巣の状態を正しく把握できなくなってしまう。その結果、エストロゲンやプロゲステロンの急激な変動に繋がったと考えられた。
女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは副交感神経の働きにも関係していてる。検査では骨盤と上部頚椎での明らかな体表温度の誤差と浮腫感、過緊張を確認した。骨盤と上部頚椎は副交感神経支配の部位であるため、副交感神経の働きが低下し、交感神経の働きが過剰となっていたと考えられた。
抜けるような腰の痛みも骨盤のバランスの乱れによって長期的に神経に負担がかかったことが原因と考えられた。歩行中に左右の骨盤のバランスが乱れると骨盤や腰椎部分での神経には影響がある。
膝の膝蓋骨の外れる感覚はレントゲンやMRI検査では問題はみられなかった。股関節や膝関節、足関節はその部位への直接的な外傷がない場合、ほとんどが骨盤での負担によるものが多い。今回の症状も骨盤での負担と腰椎の椎間板がD5レベルと慢性的であったため下肢に繋がる神経には長期的に負担がかかり膝のアライメントや関節の運動機能に影響を与えたものと考えられた。
めまいや神経痛は慢性的である程度の時間を伴たったが、アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、脳と体の情報伝達である神経のサイクルが正常に働いた結果、症状の改善に繋がったと考えられる。神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。