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ふくらはぎの筋力が落ち、爪先立ちができず歩行が困難な腰部脊柱管狭窄症

ふくらはぎの筋力が落ち、爪先立ちができず歩行が困難な腰部脊柱管狭窄症

70代男性
主訴
腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行
来院に至った経緯

20代の頃から腰痛を発症し、たびたび接骨院などで治療を受けていた。
現役時はそこまで悪化することもなく特に気に留めていなかったが、10年前に会社を定年退職してからというもの腰痛が急激に悪化し始めた。最初は同じ姿勢を続けているのが困難になり、病院に行くと腰部脊柱管狭窄症と診断を受けた。
病院では手術以外の方法はないと言われ、手術を回避すべく様々な治療法を試したが効果はなく、ついには足先まで続く痺れと間欠性跛行が出始めた。
間欠性跛行自体は15分ほど歩くと発症する程度だったが、徐々に時間が短くなり最終的には5分歩くのがやっとの状態で、またふくらはぎの筋力も落ち周囲からは「その足どうしたの?」と驚かれるほど足が細くなり半ズボンを履くのがトラウマになってしまっていた。
その影響で足の親指にも力が入らなくなり、爪先立ちはもちろん歩行も左右にゆらゆら揺れながらでしかできなくなってきていたところ、奥様のすすめで当院を知り、来院を決意した。

初診の状態
  • 01

    仙骨を中心とする明らかな浮腫

  • 02

    下腿三頭筋の筋力低下

  • 03

    つま先立ちができない

  • 04

    歩行時のふらつきと間欠性跛行

経過と内容

脊柱管狭窄症と診断され、間欠性跛行、下肢の筋力低下、足先まで伸びる痺れなど、日常生活にかなり支障が出ている状態だった。
また、レントゲン側面像での椎間板レベルはD4と徐々に慢性度合いも高まってきている状況だったため、初期集中期として週2回のケアを提案したが、遠方からの来院ということもありまずは最低週1回のペースでケアを続けて行くということになった。

9月まではなかなか週1回のペースが難しいとのことで9月から本格的に集中してケアを行なっていくことになったが、6回目のアジャストメント時までは目立った変化は現れなかった。患者様も諦めそうに見えたが、こちらの検査上では仙腸関節が明らかに動きが出てきていて、浮腫も減ってきているため経過は悪いものではなかった。
そのため、こちらの経過を伝えた上で「神経の回復サイクルである3ヶ月だけでも集中して頑張ってみませんか」と提案させていただき、了承を受けた。

9回目のアジャストメント時には、徐々に身体に変化が現れ始めた。
間欠性跛行によって5分しか歩けなかったのが、10分歩けるようになった。また、痺れの程度も変わってきた。
依然として下肢の筋力低下などには変化がないものの、徐々に変化が出ていて本人も安心した様子だった。

13回目のアジャストメント時には、15分ほど歩いても問題ない状態まで回復してきた。痺れは右足親指だけ残るものの、坐骨神経痛は軽減し睡眠も楽にとれるようになってきた。
また、手をつけばつま先立ちも一瞬だけできるようになり、この頃から下肢の筋力エクササイズのようなものも日々のケアで行うようになった。趣味のゴルフも土日と2日連続でできるようになった。

17回目のアジャストメント時には、30分以上歩けるようになってきた。痺れは若干残るものの徐々に気にならなくなってきており、坐骨神経痛はあまり感じなくなっている。
下肢の筋力エクササイズの効果もあってか、筋力を失い痩せ細ったふくらはぎにハリが出てきて、筋力も少しずつ回復してきているようだった。つま先立ちはまだ困難だが、ゴルフ時も爪先に重心を乗せられるようになり少しずつ筋力が戻っているのを実感できている。
また70代にしてゴルフのヘッドスピードが上がり、下半身が安定してきたおかげとのことだった。

現在も週1回のペースで来院を続け、さらなる回復に向けてケアを続けている。


考察

脊柱管狭窄症による馬尾神経障害でまず考えられる症状として、腰痛、下肢の痺れ、下肢の運動機能低下、間欠性跛行、膀胱直腸障害などがあげられる。
また、腰椎5番の神経根は前脛骨筋や中殿筋を支配しており、腰椎5番の神経根障害では下垂足に伴う股関節外転筋力の低下が歩行に影響したり、足関節や母趾の底背屈筋力の低下がみられるケースがある。腰椎4番のの神経根は長母趾伸筋にも影響があり、足指の背屈にも影響する。
今回は下腿三頭筋の著しい筋力低下と母趾のMMT低下や知覚異常は見られ、腰痛以外に右親指の常にある痺れやつま先立ちが困難、間欠性跛行がみられるなど馬尾神経障害が確認できた。

今回のケースでは体表温度検査で腰仙関節に神経伝達異常が見られ、左仙腸関節の動きの悪さがあり左仙腸関節上端の浮腫や筋緊張が見られたことから、左腸骨のアジャストメントを始めた。2回目にレントゲンを確認した際も、腰椎カーブはやや増大傾向で左仙腸関節の問題で間違いなさそうだった。
経過で左腸骨の動きはかなり良くなってきていて、緊張や浮腫・体表温度検査などにも変化が見られた。レントゲン側面像では腰椎5番も慢性度合いが高い状態だったため、左腸骨のサブラクセーションがなくなったタイミングで腰椎5番に移行した。

アジャストメントを続けていく中でサブラクセーションが取り除かれ、神経と脳が正常にやり取りできるようになったことで患者様の本来持っている自然治癒力が最大限発揮され、今回のような脊柱管狭窄症と診断を受けた症状などの改善につながったと考えられる。

高島 克哉

執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉

神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。

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