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しゃがむことのできない膝痛

しゃがむことのできない膝痛

”掃除をする時にしゃがめるようになりました!”

カテゴリ: 関野 貴友膝の問題
60代女性
主訴
膝痛、腰痛、手足首の痛み
来院に至った経緯

腰から下の痛みが続き、日常的にしゃがんだり立ち上がったりする動作がスムーズにできなくなっている。清掃の仕事をしており、腰や膝、股関節の痛みがつらく、仕事の中でそれらの痛みを感じることが増えてきた。特に、膝や股関節の痛みが慢性化しており、病院や整体に通っても痛みが完全に取れることはなく、日々の仕事や生活に支障をきたしている。

また、しゃがむ動作や前屈みになると痛みがひどくなり、仕事中にもその痛みを避けるために気を使うことが多くなっている。作業中に腰や膝、股関節に違和感を感じることが多く、常に不安を抱えながらの仕事となっている。痛みを軽減する方法を探しているものの、なかなか改善する兆しが見られず、心身ともに疲れを感じている。

さらに、朝起きた時には手足のしびれを感じることがあり、その症状が一向に改善しないことが不安要素になっている。特に寝起きに感じる手足のしびれがひどく、起きてから数分間は動きづらく、しびれが解消されるまでに時間がかかる。そのため、朝の活動を始めるのが難しく、日常生活のリズムを崩しているように感じることが多い。これらの症状が長期間続いており、改善できる方法を見つけたいという思いが強くなっている。

東京の大島に住んでいるため、島から出て治療を受けることに対しては不安があった。しかし、痛みが続く中で、自分の体調をなんとかしたいという強い気持ちから思い切って治療を受けに行く決心をした。島外での治療に不安を感じるものの、状況を改善するためには行動しなければならないと感じ、ついに治療のために島を出る決断をした。

初診の状態
  • 01

    左右の膝内側に腫れ感

  • 02

    左の脊柱起立筋の過緊張

  • 03

    膝を庇うような歩行

経過と内容

腰椎、頚椎側面像において、椎間板はD3~4とサブラクセーションが慢性化していることが確認できるため、本来は週に1〜2回のケアをすることができればベストである。しかしお住まいが、大島であるため気軽に当院にお越しになれない。そのため、月に1回でも良いので、お越しになった際には1日に2回アジャストをすることとしてケアをスタートする。

2週目(2回目のアジャストメント)では、しびれは無くなった感じはあるものの膝を曲げて清掃の仕事をするのは難しかったとのこと。膝の腫れ感は現存。神経圧迫も残存している。

6週目(4回目のアジャストメント)では、前回のアジャストメント後しゃがんで清掃をすることができたと大変喜ばれていた。現に左の仙腸関節の動きは綺麗に出始めている。神経圧迫はまだ目立つが、初診より減少傾向にある。

20週目(6回目のアジャストメント)では、膝の腫れ感も以前よりは大変落ち着いており、歩行もスムーズになる。左の仙腸関節の動きは申し分なく出ており、神経圧迫もかなり取り除かれている。そのため腰椎5番に移行した。

32週目(8回目のアジャストメント)では、膝による歩行困難や、しゃがんでの姿勢で清掃などは問題なくできている。手足の痺れも再発することなく、発生していない。

ただ、寝起きに腰に痛みが出たりすることがいまだに気になるとのことで現在も、メンテナンスを続けている。


考察

この症例では、膝の痛みがあるからといって膝だけに原因があるわけではありませんでした。実は、骨盤や腰のバランスの崩れが、膝に大きな負担をかけていたと考えられます。

骨盤が左右どちらかに傾いたり、ねじれたりしていると、股関節の動きが悪くなります。そうなると、体重がまっすぐ足に伝わらず、片方の膝にだけ無理な力がかかってしまうのです。あるいは、地面から伝わる衝撃が骨盤で吸収されず、直接膝に負担として加わっていた可能性もあります。

さらに、骨盤や腰のあたりから出ている神経は、膝の動きや感覚にも関係しています。この神経の流れがうまくいかないと、体が自分で回復する力(自然治癒力)が働きにくくなり、痛みや腫れがなかなか治まらない原因になります。

たとえば膝が腫れている状態は、体が傷んだ部分を治そうとしている証拠です。これは自然な反応なので、ただ腫れを取り除くだけでは根本的な解決にはなりません。体の中では、治すために必要な物質(プロスタグランジンなど)が出ていて、神経の働きが整っていればその量も適切にコントロールされるようになっています。

今回のケースでは、カイロプラクティックの調整(アジャストメント)を通して、骨盤や腰のサブラクセーションを取り除き、神経の流れを改善することで、体が本来持っている「治る力」がしっかり働くようになりました。その結果、膝の痛みや手足のしびれも大きく改善しました。

このように、痛みがある場所だけを見るのではなく、体全体のバランスや神経の働きを見直すことが、根本的な回復につながることを改めて実感したケースでした。

関野 貴友

執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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