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お酒を大量に飲まないと眠れない上に途中で起きてしまう、めまい

お酒を大量に飲まないと眠れない上に途中で起きてしまう、めまい

慢性的な不眠と首凝り、めまいが改善

30代男性
主訴
めまい、頭痛、不眠
来院に至った経緯

半年ほど前から、強い首の張りと後頭部の痛み、そして突然フワッと意識が遠のくようなめまいに悩まされていた。特にひどかったのが夜。布団に入ってもなかなか寝つけず、気づけば朝になっていることも珍しくない。睡眠薬で誤魔化しても眠れても3時間ほどで目が覚めてしまい、そこからは何をしても眠れない。

「これじゃあ体が持たない…」

「こんなに毎日寝れなくてしんどいのに、どこに行っても異常なしって言われる…」

仕事にも集中できず、頭がボーっとしたまま1日が過ぎていく。地域のサッカーのクラブチームでコーチをしているが、指導をしていても、頭の中に霧がかかったような感覚が続き、思うように動けない。

何とかしようと、これまでにマッサージやストレッチを試した。病院にも行って検査を受けたが、結果は「異常なし」でも症状は良くなるどころか、むしろ悪化していく。薬を飲んでも効果を感じられず、眠れない夜を過ごすうちに、お酒の力を借りるようになった。500mlのお酒を5〜6本飲めば、なんとか寝つける。しかし、それでも長く眠れず、翌朝は疲労感が残ったまま。

そんな中、医師に処方された、筋緊張を和らげる薬を服用すると、少しだけ症状が和らぐことに気づいた。「もしかして、これは筋肉の問題なのでは…?」そう思い、色々調べるうちにカイロプラクティックの施術にたどり着く。さらに調べてみると、実はそれは神経の問題が絡んでいるということが判明し、

「根本的に良くなるなら試してみたい」

そう思い、最後の望みをかけて当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    目がうつろな感じでぼーっとしている

  • 02

    脊柱起立筋の緊張が仙骨に向かって走る

  • 03

    仙骨3番を中心とした浮腫

  • 04

    右の胸鎖乳突筋の過緊張

  • 05

    後頭部の筋緊張が著しい

経過と内容

頚椎、腰椎、胸椎ともにD3の椎間板が確認でき、神経の圧迫が慢性化し始めている。初期集中期は週2回のアジャストメントを提案するも、仕事の都合上で週に1回が限度とのことであるためそちらでケアを始めることとする。

2回目のケアの際に、めまいはあまり起こらなくなった。また、アジャストメントの後は少し眠たい感覚があるとのことであった。ただ、これに関しては神経の回復過程で起こることである。実際ナーボスコープで検査をしても、少しブレイクは落ち着いているが、あまり落ち着いていない。

5回目のケアの際に、過去一番体調がいいとのことで、睡眠も取れるようになってきたし、めまいは一才起こらなくなったとのこと。実際、神経圧迫はまだ残存しているものの、首の緊張具合がかなりおさまってきた。骨盤のアジャストメント後は頚椎の緊張が特に抜ける感覚がある。

10回目のケアの際は、出張や会議が重なったこともあり、頸部の緊張は強かった。ただ、神経圧迫の具合は落ち着いているし、緊張は骨盤のアジャストメント後に和らぐ。

現在もメンテナンスでケアを継続中。
めまいは一才出ていない。


考察

本症例は、神経圧迫によって自律神経の乱れが発生したことにより、めまいや不眠が発症してしまったと考えられます。

今回で言えば、頚椎1番と仙骨にサブラクセーション(以下神経圧迫)が確認できました。ここは副交感神経のエリアと深い関係があります。副交感神経サブラクセーションが発生すると、相対的に交感神経が過剰に働くようになり、末梢の血管の血流が低下したり、後頭部の筋肉に緊張が出たりします。

この患者様の場合、後頭部の緊張が調子のバロメーターとして機能しており、緊張が緩んでいる際は、めまいなども落ち着いていた上に睡眠の質も良かったです。つまりは交感神経が過剰に働かない環境であれば、問題は解決し得るということが考察できます。

実際、骨盤のアジャストメントをおこなうと第一頚椎周囲の神経圧迫も薄まり、また緊張も弱まるため、土台である骨盤がいかに全身に関与するかがよくわかりますし、自律神経を意識することは重要です。

そして、副交感神経の圧迫が起こると体内時計に異常が発生します。本来、朝日が昇ると交感神経が活発になり、セロトニンというホルモンの分泌が促進されます。夕方になると、副交感神経が働き、セロトニンの分泌が減少し、その結、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌され、深い眠りが得られます。

メラトニンは通常、朝起きて日光を浴びることで分泌が停止し、その約14~16時間後に再び分泌が始まるように、体内時計によって調整されています。副交感神経にサブラクセーションが発生すると、メラトニンが分泌されにくく体内時計が調整しづらくなり不眠症となりやすいのです。

また交感神経が過剰になるとコルチゾールという、日中に活発に動くためのホルモンが分泌され続けてしまうため、途中で目が覚めてしまうということも起こります。

まためまいも同様で、第一頚椎などの上部頸椎にサブラクセーションが起こると、内耳という耳の奥にある三半規管に深く影響を及ぼします。三半規管内にある、リンパ液が過剰に分泌されてしまい、情報がうまく脳に伝わらなくなってしまいます。本来サブラクセーションがなければ、リンパ液は分泌と吸収を繰り返し、代謝されていくが、満杯になってしまうことで、正確に位置感覚が脳に伝わらなくなるため、めまいが発生してしまうのです。

本症例は副交感神経サブラクセーションによって、睡眠に関係するホルモンの分泌や、平衡感覚に重要な三半規管の情報の伝達がうまく脳と連携できなかったために起こった問題でありました。

このように、不眠やめまいなど一見関係のないような症状が重なったとしても、自律神経の問題に着目し、エリアを絞ってサブラクセーションを取り除くことで寛解へと向かっていった良い例でありました。

現在は通常通り仕事もできており、サッカーのコーチも問題なくおこなえています。

関野 貴友

執筆者NEOCHI関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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