うつ病

睡眠も取れるようになり不安感もなくなった！

来院に至った経緯

仕事は理髪店、ペットトリマー店を自営で30年以上続けてきた。60歳を過ぎたころから急に得も言われぬ不安感に襲われ、病院ではうつ病だと診断された。うつ病と診断されてからは、さらに考え込むようになり不眠症になってしまった。これまで、どれほど体調が悪くなっても眠れないということは一度もなかったため、どのように対処したらいいのか分からず、考え込んでは不安になり、また眠れなくなりと悪循環に陥っていた。

20年ほど前から、仕事が忙しくなると目が疲れやすくなり頭痛を伴ったりしていたが、頭痛薬を飲めば治まっていたので特に気にしていなかった。血圧も上140下110という数値が高いと病院で言われ、降圧剤を処方され何年も薬を服用していた。

これまでは職業柄、中腰の姿勢になることが多いので多少腰痛があるかなくらいで、普段は体のメンテナンスはまったくしてこなかった。今回、うつ病と診断されてからは、整体、接骨院、針鍼灸院などさまざまな治療を受けてきたがまったく変化がなかった。

何かいい治療法はないかと探していたところ、親戚がカイロプラクティックで体の調子が良くなったと聞いた。カイロプラクティックはそういえば受けたことがないなと思い、一度受けてみようと決意して来院された。

初診の状態

• 01

  右仙腸関節の可動域制限

• 02

  腰部起立筋の過緊張

• 03

  左後頭部にしこりのような浮腫感

経過と内容

腰部の椎間板が全体的にD3、頸部の椎間板はD6レベルと慢性的だったため、週3回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアからスタートすることにした。

3週目(4回目のアジャストメント)には、血圧の値が上138下90と下の数値が落ち着いてきた。また左後頭部にあったしこりのような浮腫感は顕著に減ってきた。

6週目(7回目のアジャストメント)には、睡眠の質が良くなった。寝入りがスムーズになり、夜中に起きる回数も明らかに減った。また、目の疲れもあまり感じなくなり、頭痛の頻度も明らかに減った。

10週目(11回目のアジャストメント)には、睡眠は以前と変わらず眠れるようになり、寝起きに体が回復しているのが分かるようになった。また、得も言われぬような不安感もあまり感じなくなった。

現在は、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

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考察

今回のうつ病、不安感、不眠症、眼精疲労、頭痛、高血圧(上140下110)の原因は、骨盤部と上部頸椎という副交感神経部位にサブラクセーションがあったことで、交感神経が過剰に働き自律神経のバランスが乱れた結果と考えられる。

人間の精神状態はホルモンバランスに左右されるが、特にうつ病や不安感などはセロトニンが関係している。セロトニンの分泌は、その総量の90％以上が腸から分泌されるが、腸は自律神経の影響を大きく受けてしまう臓器の一つでもある。またセロトニン総量の2％ほどが脳から分泌されているが、このたった2％のセロトニンが人間の精神面に大きく関係していることが、近年分かっている。脳にとって一番のストレスは体の情報が脳へ届かないことだが、サブラクセーションによって脳へストレスがかかり、セロトニンの分泌に何か影響していたのかもしれない。

不眠症や下だけ高い高血圧などは、交感神経が優位になっている人の特徴でもある。交感神経が過剰に働くことで、副交感神経のスイッチが入らない状態となり不眠症となっていたのだろう。交感神経系の働きが過剰になり、機能が亢進状態となることで拡張期高血圧(下の値が高い)になったと考えられる。

うつ病、不眠症、不安感、眼精疲労、高血圧(上140下110)など明らかに自律神経症状があったこと、また骨盤部と上部頸椎に明らかな反応があったことから副交感神経に絞ってアプローチをし続けたことが、結果につながったと考えられる。あちこち触らずに神経系を絞ってアプローチすることの重要性が分かる症例である。