
”健康の大切さに改めて気がつきました”
2024年3月、突然大きなめまいに襲われた。それまでの生活では、残業が多くてパソコンの画面を長時間見続ける仕事だったため、眼精疲労や軽い体の疲れを感じることはあったが、こんな大きなめまいを経験するのは初めてだった。その時、立っているのが難しくなるほどのめまいに見舞われ、体がふらつく感覚に驚き、恐怖さえ感じた。正直、まさか自分がこんなことになるなんて思ってもみなかった。これまでも疲れたと感じたことはあったが、これほど強烈な症状を実際に体験するのは初めてで、いわゆる「体調の異変」に対する実感が一気に押し寄せた。
それ以降、めまいは小さなものから、最初のような大きなめまいまで様々な形で繰り返し起きるようになった。首を少し回したり、体を少し動かしただけでめまいがひどくなることが増え、今までにない感覚だった。これまでの体調の変化に対してはある程度自分で対応してきたものの、このめまいの原因や対処法が全く分からず、体調に大きなギャップを感じていた。
さらに、1年前から耳鳴りにも悩まされていたことを思い出す。最初は軽いもので気にすることもなかったが、めまいを伴うようになってから、耳鳴りも気になり始めた。最初は放置していたものの、耳鳴りがめまいとセットになっていることで、この症状がどんどん深刻化しているのではないかと心配になった。特に、めまいと耳鳴りがセットで起きると、体調に対する不安が増し、日常生活が困難になり始めた。
ネットで治療法を調べてみると、めまいや耳鳴りに効果的な治療法がいくつか紹介されていたが、どれが自分に合っているのか確信が持てなかった。必死に情報を集め続けていく中で、カイロプラクティックがめまいや耳鳴りに効果的だという記事を目にした。これまでカイロプラクティックについて深く考えたことはなかったが、ふと「これが自分にとっての解決策になるかもしれない」と感じ、思い切ってカイロプラクティックを試してみる決心をした。
インターネットで調べた結果、カイロプラクティックに特化した治療院を見つけ、その中で当院が気になり、来院を決意した。自分の体の不調がどこから来ているのか、その原因をしっかりと解明し、改善できるのではないかと思い、すぐにでも治療を受けるべきだと感じた。そして、当院に通うことで、少しでも自分の体調が改善されることを願っている。
仕事への支障が少しでも減ってくれればを藁をも座る思いで来院を決心する。
仙骨3番を中心としたスポンジ状の浮腫
右後頭部周囲のスポンジ状の浮腫
主に左耳に高い音の耳鳴り
頚椎、腰椎ともに椎間板はD3を確認することができ、神経圧迫の慢性化が進行している状態である。初期集中期として週2回の提案をするも、テレビ業界で編集に追われており、なるべく週1度はお越しいただけるよにケアを開始した。
2週目(2回目のアジャストメント)では、アジャスト後めまいが強くなった感覚があるとのこと。ブレイク自体は大きくなっているわけでもないため、神経の回復過程だと推察できる
3週目(3回目のアジャストメント)では、めまいの数が減ったと報告してくださった。ブレイク自体は変化していないが、後頭部の浮腫が少し減少している感覚がある。
12週目(10回目のアジャストメント)では、めまいは相当おさまってきたという感覚があるそう。ブレイクに関しては小さくなってきており、後頭部の浮腫感は右の後頭部に限極化されてきている。
13週目(11回目のアジャストメント)では、めまいがないことは継続できており、耳鳴りが大きな音から奥の方に移動してきている感覚がある。
16週目(16回目のアジャストメント)では、めまいは消失しており、耳鳴りも音は小さいが、まだしているため現在もケアを続けている。また、めまいが無い生活によって健康の大切さに気がつき、転職を決意された。
本症例は副交感神経サブラクセーション(神経圧迫)によってめまいが発生してしまい、サブラクセーションによって慢性化してしまった例であります。
今回の患者様で言えば、パソコン作業に熱中した際に頭部が前方に変位したり、そこから急に振り向いたりと、頭部の移動によってめまいが発症しており、それは”内耳神経”という神経がが大きく関与していると考えられます。
内耳神経は体における平衡感覚を司っており、副交感神経支配の神経にサブラクセーションが発生することでめまいが発症してしまうと言われています。本来、三半規管内にある内リンパ液が移動することで、頭部の傾きを神経を通じて脳が認知するという仕組みがあり、そこに視覚や筋反射などで補正することで、適切な姿勢を取り平衡感覚が機能していきます。
ところが、今回のような頚椎1番をはじめとした副交感神経サブラクセーションが発生すると、リンパ液の吸収がスムーズに行われず、内耳が浮腫んだ状態となってしまいます。また、内耳と脳がうまく連携を取れないことから、小さな揺れを過剰に大きな揺れと誤って認知してしまうことで、めまい様の症状が発生してしまうのです。
また土台である仙骨のサブラクセーションにおいても、副交感神経に機能低下が発生しており、土台の部分からも診ていく必要がありました。
今回のような、頭部の傾きなどによってめまいが発症するような場合は、まず内リンパの代謝異常を考え、副交感神経エリアのサブラクセーションに注目することで、結果に結びつきやすくなると考察できます。
土台である仙骨をアトラスの副交感神経領域に絞ってアジャストメントを実施することで寛解へと進んでいった良い例でありました。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友
1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。