シオカワグループ シオカワグループ

目のピントが合わない(老眼とは違う)

目のピントが合わない(老眼とは違う)

“メガネ屋さんに言ったら目が良くなっていると言われました!”

50代男性
主訴
目のピントが合わない(老眼とも違う)
来院に至った経緯

40代に入ったあたりから、細かい文字が見えづらくなり、なんとなく目のピントが合わない感覚があった。老眼かもしれないと思い、眼鏡を新しく作った。けれど、不思議なことに眼鏡をかけても外しても、はっきりと見える感じがしない。むしろ、自分で角度や距離を調整しないと視界がぼやけることが増え、目の疲れがひどくなっていった。

PC作業の時間が長いこともあり、目の奥が重く感じる日が続いた。作業に集中した後は特にひどく、しばらく目を閉じて休まないと視界がぼやけたまま戻らない。最初は気のせいかと思ったが、日常生活にも影響が出始めた。本を読むのが億劫になり、車の運転中も標識の文字が見えにくいと感じることがあった。

気づけば、目の違和感だけでなく、首や肩のコリ、頭痛まで現れるようになっていた。特に右側が重く、肩や首の動きも悪い。顎の違和感もあり、大きなものをかじるときにパキッと音が鳴ることもあった。さらに、長時間の運転やデスクワークの後、動き始めた瞬間にガツンとした頭痛が走ることが増えた。これがすべて目の問題と関係しているのか、自分ではよくわからなかったが、確実に生活の質が落ちているのを感じていた。

何とかしなければと思い、眼科を受診。しかし、検査をしても「特に異常はありません」と言われるだけ。整体やマッサージにも通ったが、その場では少し楽になっても根本的な変化は感じられなかった。「このまま目の違和感と付き合い続けるしかないのか」と思い始めたころ、家族が通っているカイロプラクティックの話を聞いた。

「目のピントの問題も、身体の歪みやバランスが関係していることがあるらしいよ」

その言葉に少し希望を感じた。目の問題が肩や首、さらには全身と関係しているなんて考えたこともなかったが、ここまでいろいろ試して改善しなかったのなら、一度違うアプローチをしてみようと思った。そして、紹介してもらったカイロプラクティックに行くことを決めた。

初診の状態
  • 01

    左後頭部全体にブヨブヨした浮腫感

  • 02

    右短下肢

  • 03

    右目がしょぼしょぼしていて眼精疲労が強い

  • 04

    右の脊柱起立筋の緊張が強い

経過と内容

レントゲン評価において、頸部、腰部共に椎間板はD3,4と慢性化が進んでいることが確認できる。そのため、初期集中期は週に2回のケアを提案することを推奨した。しかし、週に休みを1日しか確保することができないとのことであったたため週に1回のケアで進めることとした。

2週目(2回目のアジャストメント)では、これまで辛かった頭痛は見られなくなったと喜ばれていた。また右に強くあった眼精疲労が左にうつった気がするとのことであった。ただ神経の圧迫自体はまだ取り除かれきれていないため、ケアを続行する。左後頭部の浮腫はかなり強く残っている。

4週目(4回目のアジャストメント)では、眼精疲労がかなり減少した感覚があるとのこと。普段かなり運転を多くしていることからそれをより一層感じる。また、行きつけの眼鏡屋さんへレンズを作り直しに行ったところ、視力とピントが回復していると言われたそう。左の後頭部の浮腫は少し小さくなった。神経圧迫も小さくなったがまだ現存しているためケアも継続する。

8週目(6回目のアジャストメント)では、目のピントはかなり回復した感覚があるそう。元々車のレースに出ていたこともあり、ピントも回復したので出場する予定だそう。今はピントより、首肩と運転中の腰の違和感、そして肩甲骨の凝り感が気になるそう。左後頭部の浮腫はまだ強いが、神経圧迫がかなりおさまった。

20週目(16回目のアジャストメント)では、目のピントは疲労してくると、疲れるが回復は早まっている。現状は運転中の首肩凝り、特に肩甲骨の鈍い重さ


考察

今回は、自律神経のバランスを整えることを目的に、後頭部と骨盤まわりに対してカイロプラクティック的なアプローチを行いました。これらの部位は、リラックスや回復に関わる「副交感神経」と深くつながっています。とくに後頭部(首の一番上)には、全身に影響を与える副交感神経の通り道があり、骨盤にも同じように副交感神経が多く関係しています。

自律神経とは、身体を無意識にコントロールしてくれている神経のことです。この自律神経には、活動モードの「交感神経」と、休息モードの「副交感神経」があり、ふたつのバランスが取れていることが健康にとってとても大切です。交感神経が優位になると身体は緊張しやすくなり、副交感神経が働くとリラックスして回復しやすくなります。

今回の来院者は、長時間の運転やデスクワークなどが続いていたことで、身体がずっと“緊張モード”になっていたと考えられます。その結果、リラックスをつかさどる副交感神経が働きにくくなってしまい、身体全体のバランスが崩れていた可能性があります。また、同じ姿勢やストレスによって、背骨や骨盤まわりの神経の流れがスムーズでなくなり、それがさらに副交感神経の働きを弱めていた可能性が高いです。

こうした神経のアンバランスは、目の疲れやピント調節のしにくさにも関係しています。交感神経が働きすぎると、目はずっと遠くを見ようとする緊張状態になります。このとき、ピントを調節する筋肉(毛様体筋)がうまく働かず、近くのものが見えづらくなったり、目の疲れが取れにくくなったりします。また、目のまわりの血流も悪くなるので、疲れがさらにひどくなることもあります。

今回のアプローチでは、後頭部や骨盤の動きを整えることで、副交感神経が働きやすい状態をつくり、自律神経のバランスが回復したと考えられます。その結果、交感神経の過剰な働きが落ち着き、ピントを調節する筋肉が本来の働きを取り戻してきたことで、目の疲れが軽くなったり、視界が楽になったと考えられます。

このように、神経の働きを整えるカイロプラクティックのアプローチは、単に体のゆがみを整えるだけでなく、目の疲れや見えにくさといった問題解決に関与することができるということが判る症例でありました。

関野 貴友

執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

pagetop