シオカワグループ シオカワグループ

生活リズムが狂うと湿疹が出るアトピー

生活リズムが狂うと湿疹が出るアトピー

腰痛と火照りも落ち着いた

50代男性
主訴
肌の湿疹とかゆみ
来院に至った経緯

20年以上にわたりデスクワークをしてきた。日頃から運動習慣を持ち、週に3回はジムでトレーニングを行い、年に1回はマラソン大会にも参加するなど、健康管理には比較的気を配っている。しかしながら、幼少期からアトピー性皮膚炎を抱えており、現在もその影響を受けながら生活している。

幼少期はステロイドの塗り薬を使用していたが、成長とともに症状が落ち着き、現在は特に薬を使わずに過ごしている。ただし、完全に症状が消えたわけではなく、季節の変わり目や生活リズムの乱れによって湿疹が出やすくなる。特に、仕事が夜遅くなったり、会食が続いたりすると、肌の状態が悪化しやすく、赤みやかゆみが強くなる傾向がある。また、身体が急に火照るような感覚に襲われることもあり、そうした症状が出ると仕事や日常生活に支障をきたすこともあった。

さらに、長年デスクワークを続けている影響もあり、慢性的な首や肩のこりに悩まされていた。運動をすることである程度のリフレッシュはできていたものの、根本的な解決には至らず、特に疲れが溜まるとこりがひどくなることがあった。また、最近では右腰にも慢性的な痛みを感じるようになり、2~3日前にはその痛みが強まる場面もあった。

アトピーの症状に関しても、湿疹が出るたびに保湿や食事に気をつけるなどの対策を講じていたが、「なぜ繰り返し湿疹が出るのか」「根本的な原因は何なのか」といった疑問を抱えるようになった。また、肩こりや腰痛などの身体の不調が、アトピーの症状と関連している可能性があるのではないかとも考えるようになった。

アトピーに関する情報を調べる中で、身体のバランスや神経の働きが皮膚の状態にも影響を与えることを知り、カイロプラクティックに興味を持つようになった。さらに、当院が身体の根本的な調整を行い、神経系や血流の改善を目指す施術を行っていることを知り、「ここでならアトピーの根本原因を探り、改善につなげることができるのではないか」と考え、来院に至った。

初診の状態
  • 01

    背部と肘・膝の湿疹とかゆみ

  • 02

    中部胸椎部の浮腫

  • 03

    頸胸移行部に可動制限

経過と内容
初診時の状態では、下部頸椎・胸椎・腰椎に明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部胸椎・中部胸椎・腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また頸胸移行部から中部胸椎、腰仙部に強い浮腫が確認された。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の都合で週1回のペースからケアを開始した。

4週目(5回目のアジャストメント)には、湿疹やかゆみに変化はないが仕事中やトレーニング後でも右腰の痛みは落ち着いてきた。

8週目(9回目のアジャストメント)には、背部の湿疹範囲が減ってきた。かゆみも軽減してきたとのこと。また、最近は火照る感覚も気にならない。首・肩こりも以前より軽くなってきた。

13週目(11回目のアジャストメント)には、かゆみは会食でお酒を飲んだ後は出たが、その後は背部と肘・膝のかゆみはほぼ気にならない状態。腰や首・肩も状態良く、残業して疲れても寝るとしっかり回復する。

現在は症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回のケースでは、下部頸椎・胸椎・腰椎に明らかな可動域制限がみられ、体表温度検査では上部胸椎・中部胸椎・腰椎に左右の温度差が確認された。また、頸胸移行部から中部胸椎、腰仙部にかけて強い浮腫も認められた。これらの所見から、神経の働きが適切に機能しておらず、特に甲状腺や副腎の機能低下が影響している可能性が考えられた。

甲状腺は体の代謝を司る重要な臓器であり、その機能が低下すると全身の代謝が落ち、老廃物の排出が滞ることで皮膚の炎症やかゆみが悪化しやすくなる。また、副腎はストレスに対応するホルモンを分泌し、抗炎症作用を担うが、その機能が低下すると炎症の鎮静が追いつかず、湿疹やかゆみが慢性化する要因となる。今回のケースでは、これらの機能低下が自律神経の乱れとともに皮膚症状に影響を与えていたと考えられる。

施術を開始してしばらく経過した時点では、湿疹やかゆみに大きな変化はみられなかったものの、仕事中やトレーニング後の腰の痛みが軽減し、日常生活の中で身体の動きやすさを実感できるようになった。さらに、背部の湿疹の範囲が減少し、かゆみも軽減。以前は感じていた火照る感覚も気にならなくなり、首や肩こりも以前より軽くなった。この時点で、甲状腺の代謝機能や副腎ホルモンの分泌が回復し始め、炎症反応が落ち着いてきた可能性が高いと考えられる。

その後、かゆみは会食でお酒を飲んだ際に一時的に出たものの、その後は背部や肘・膝のかゆみはほぼ気にならない状態にまで改善していた。腰や首・肩の状態も良好で、以前のように不調を感じることがほとんどなくなった。この時点では、神経の働きが十分に回復し、甲状腺の代謝機能や副腎ホルモンの分泌が正常化したことで、体内の老廃物が適切に処理され、皮膚の炎症が抑えられていたと考えられる。

今回は、甲状腺の代謝機能低下や副腎ホルモンの分泌低下が主な要因であった。そのため、カイロプラクティックケアによって脊柱のバランスを整え、神経系の働きを正常化することで、甲状腺・副腎の機能が改善し、最終的に皮膚の炎症やかゆみが落ち着いたと考えられる。特に、甲状腺の代謝機能が回復することで老廃物の排出が促進され、皮膚に不要な物質が蓄積しにくくなった。また、副腎ホルモンの分泌が正常化することで、免疫の過剰反応が抑えられ、炎症が鎮静化した。これにより、長年続いていた湿疹やかゆみの症状が大幅に改善したと考えられる。

現在、症状はほぼ落ち着いているが、今後も身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを継続している。これは、再発防止だけでなく、より健康な状態を維持し、身体の自然治癒力を最大限に活かすために重要である。本症例を通じて、皮膚症状が単なる表面的な問題ではなく、内分泌機能や自律神経のバランスと密接に関係していることを再認識することができた。また、カイロプラクティックが単なる対症療法ではなく、根本的な身体の機能改善に貢献できることを改めて確認できる症例であった。

金城 寿生

執筆者塩川カイロプラクティック治療室金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティック治療室に入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

pagetop