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気力の低下(無気力)

気力の低下(無気力)

30代男性
主訴
気力の低下(無気力)、便秘、体重増加、腰痛、手の痺れ
来院に至った経緯

仕事は営業職で、日中は多いと2万歩以上歩くこともあった。夕方以降は会社に戻って終電近くまでデスクワークが続いていた。

7~8年前から腰痛を感じるようになったが、これだけハードに仕事をしていれば当然かと思い、休日はマッサージ巡りをするようになっていた。腰痛は寝起きが一番辛くて強い痛みがあったが、日中歩いていると少し楽に感じた。ただし歩きすぎるとまた痛みが出てくるので、仕事中は休憩を取りながら対処していた。

社会人になってから便秘に悩まされていた。子供の頃はどちらかというと快便な方で、小学生の頃はむしろ出すぎて授業中に学校のトイレにこもるほどだった。それが社会人になって以降、どんどん便秘が酷くなり、ここ3~4年は5日に一度しか出ないということもあった。酷いと1週間以上出なくなるので、便秘薬を常用するようになった。便秘薬を飲めば2~3日に一度は出るようになった。

半年前から夕方会社に戻ってパソコン作業をしていると、右手の親指から人差し指にかけて痺れを感じるようになった。タイピングをしていても何か指先の感覚が鈍く感じて、集中できないなと感じるようになった。

手の痺れが気になった同時期ころから、仕事に気力が湧かないと感じるようになった。やる気がないわけではないが、何かが気になって仕事に集中できなくなった。特に悩みもストレスもなく、仕事はハードだったが給料に不満があるわけではないが、日中ボーっとするようになり当然のように営業成績が落ちてきた。

この頃から体重増加も気になってきた。日中は営業で2万歩以上歩くことも頻繁にあったが、日中こんなに歩いているのに太ってくるのは年齢の問題なのかと思った。特に食べる量が増えた自覚もなく、こんなものかと気にしていなかったが、さすがにこれだけ動いていて8㎏も太るのはおかしいと思い始めた。

手の痺れも日増しに気になるようになって病院を受診した。整形外科でレントゲンを撮ると、首の5番の骨が変形していると診断されたが、特に何か処置してくれるわけではなく薬を処方されただけで終わった。職場の同僚に相談すると、通っているカイロプラクティックの先生が凄腕だからそこへ行って相談してみたらと紹介されて当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    頸部全体の過緊張

  • 02

    隆椎付近の強い浮腫感

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容

腰部の椎間板にD4レベル、頸部の椎間板にD5レベルと慢性的な段階が確認されたため、週2回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアからスタートすることにした。

4週目(4回目のアジャストメント)には、寝起きの腰痛があまり気にならなくなった。営業で歩きすぎた日の夜は腰が張っていたが、痛みが出るということはなくなった。

7週目(7回目のアジャストメント)には、手の痺れは感じなくなり、腕全体が重だるく感じるようになった。便通もよくなり、便秘薬を飲まなくても最低でも2日に一度は出るようになった。また日中歩きすぎた日でも腰の張り感も感じなくなった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

17週目(12回目のアジャストメント)には、気力が戻ってきて日中の気だるさは感じなくなった。また睡眠の質が良くなったのか寝起きがスッキリと起きられるようになった。手の痺れはまったく感じなくなり、腕全体の重だるさもまったく感じなくなった。便秘はまったく感じなくなり、薬に頼らなくても毎日排便するようになった。この段階でケアのペースを3週間に一度にひろげることができた。

29週目(15回目のアジャストメント)には、体重も徐々に減ってきて体全体が軽いと感じるようになった。気力も充実して、仕事中の集中力も増して、疲れたという感じはまったくしなくなった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の気力の低下(無気力)の原因は、甲状腺の機能低下が原因だったと考えられる。検査で反応が強く出ていた下部頸椎は甲状腺と密接な関係がある。

甲状腺機能が低下すると、甲状腺ホルモンの分泌も低下する。甲状腺ホルモンの分泌低下は、「元気がなくなる」、「疲れやすくなる」、「寒がる」、「肌がカサカサする」などの問題に繋がってしまう。甲状腺と脳を繋ぐ神経機能に異常をきたした結果、気力の低下(無気力)となっていたのだろう。

甲状腺は体の代謝を司る臓器である。甲状腺機能の低下は体重増加にも繋がってしまう。今回の症例では、特に食べる量が増えたわけでもなく、日に2万歩も歩くほど体を動かしていたにも関わらず、ジリジリと体重が増加してしまったことは、甲状腺機能低下によって体全体の代謝異常が起きていたと考えられる。

甲状腺と密接な関係がある下部頸椎から伸びる神経は腕にも繋がっている神経である。人間の痛みの感覚は「正常→痛み→痺れ→麻痺」の順番で進行してしまう。親指や人差し指など指先に感じていた痺れが徐々に腕全体が重だるく感じるような変化は、神経が治癒していく過程で必ず起こるものである。

酷い便秘も発症していたが、腰部の神経は大腸にも繋がっている。便秘の問題は、肝臓から分泌される胆液の問題、すい臓から分泌される膵液の問題、全体的な自律神経のバランスの乱れなどさまざまなことが考えられる。腸の蠕動運動は副交感神経が優位になることで活発になる。

活発になりすぎたことで便の通り道が細くなり便秘になるケースがあるが、今回の便秘はまさにその状態であったと考えられる。また腰部の神経に過剰な負担が掛かっていたことで寝起きの腰痛や、歩きすぎると出る腰痛に繋がっていたと考えられる。

どのような症状であったとしても、問題の原因を検査によって特定し、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けてあげることの重要性が分かる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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