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更年期障害

更年期障害

日常生活にも支障をきたしていた更年期障害が楽になった!

50代女性
主訴
更年期障害による諸症状(顔のほてり、多汗、手汗、不眠症、不安感(気分の滅入り)、便秘、食欲低下、口の渇き、頭痛、動悸、めまい、吐き気)
来院に至った経緯

これまで50年以上、体に不調という不調を感じたことがなく、小学生の頃から学校生活も一度も休んだことがないほど、昔から体が強かった。大人になり、社会人になっても体の不調はそれほどなく、疲れた時はたまにマッサージに行く程度だった。

1年ほど前から、口の中がやたら渇くなと感じることが増えてきた。特に気にしていなかったが、半年くらい前に上半身を中心に暑いなと感じるようになり、大量の汗をかくようになった。顔、脇、手のひらに特に汗をかくようになり、デスクワークの仕事だったため、オフィス内で周囲の人の目が気になるようになった。

それからというものわずか1か月くらいの間に、さまざまな症状が現れた。眠れなくなったり、食欲が無くなったり、便秘になったり、頭痛、動悸、めまい、吐き気と、これまでほとんど風邪すら引いてこなかった自分の体に何かが起きていると恐怖を感じるほどだった。

口腔外科内科、耳鼻科、心臓血管外科、消化器内科など、ありとあらゆる病院で精密検査を受けたが異常なしと言われ、心療内科を紹介されたが、心療内科に通うと気持ちが滅入りようになり、私は心の病気ではありませんと断り通わなくなった。最後に行った婦人科の先生からは更年期障害だと言われた。

当時、58歳だったので更年期障害にしては症状が出るのが遅くないですか?と聞いたが、婦人科の先生からは症状は完全に更年期障害によるものなので、しばらく様子を見ましょうと言われただけだった。自分なりに規則正しい生活や適度な運動もしてみたが、日に日に体調が悪化していき、日常生活にも支障をきたすようになった。

日によっては仕事にも行けないほどで、整体院や針治療など代替医療も通ってみたが、まったく変化がなかった。そんなとき、知人からカイロプラクティックで更年期障害が楽になったという話を聞き、ご紹介で来院された。

初診の状態
  • 01

    左後頭部の過緊張

  • 02

    左第一頸椎横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容

腰部の椎間板にD3レベルと慢性的な段階が確認されたため、週2回のケアを提示したが仕事の関係上週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、睡眠の質が明らかに良くなり、めまいや動悸はまったく出なくなった。

6週目(6回目のアジャストメント)には、頭痛や吐き気もまったくしなくなり、便秘もほとんど気にならなくなった。

8週目(8回目のアジャストメント)には、そういえば口の渇きは気にならないと本人も忘れているほどだった。食欲も戻ってきて、食べることが苦痛ではなくなった。

16週目(16回目のアジャストメント)には、顔のほてりや汗が明らかに楽になり脇汗もかかなくなった。手汗が少し気になるが、それ以外は快適に生活できるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の更年期障害の原因は、自律神経の乱れが最大の原因だと考えられる。

いわゆる更年期障害は急激なホルモン分泌の低下が関係している。更年期を呼ばれる年代になると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量は40%にまで低下し、プロゲステロンの分泌量に関しては0%とほとんど分泌されなくなる。

女性であれば誰しも訪れることだが、更年期と呼ばれる年代の人全員に更年期障害が出るわけではない。脳と卵巣を繋いでいる神経機能に異常があると、役目を終えて女性ホルモンを分泌しなくなった卵巣の状態を脳が正しく把握できなくなる。

脳はなんとか女性ホルモンを分泌させようとして卵巣に対して指令を出し続けるが、役目を終えた卵巣が女性ホルモンを分泌することはない。このとき脳から出され続ける指令に対して、刺激され続けるのが交感神経となる。

交感神経を刺激され続けた結果、自律神経のバランスが乱れ、さまざまな更年期障害へと繋がってしまう。

人間の体温調節は血管の拡張/収縮によって保たれているが、血管の拡張/収縮をコントロールしているのが自律神経である。顔のほてり、多汗、手汗など更年期障害の代表ともいえるホットフラッシュのような症状も出ていたが、自律神経のバランスが乱れたことで環境の変化に適応することができない状態となっていたのだろう。

唾液を分泌する唾液腺も自律神経によってコントロールされている。交感神経が優位になると口の渇きやネバネバした唾液が分泌され、副交感神経が優位になるとサラサラした唾液が分泌される。口の渇きはまさに交感神経が過剰に働いていたことを意味している。

同様に不眠症も交感神経が過剰に働くことで、休息のスイッチが入らず、体が常に緊張状態となっていたと考えられる。また急激なホルモン分泌の低下は、人間のメンタルにも大きな影響を及ぼしてしまう。不安感(気持ちの滅入り)にはセロトニンというホルモンの関係も考えられるが、セロトニンは分泌される総量の90%以上を腸から分泌している。

腸の蠕動運動は副交感神経が優位な状態で、腸の動きが活発になるが、交感神経が過剰に働くことで腸の蠕動運動が低下して、セロトニンの分泌量低下、食欲低下、便秘などの症状が出ていたと考えられる。

頭痛、動悸、めまい、吐き気などの症状も自律神経のバランスが乱れたことでのホルモンバランス異常が原因だろう。動機は交感神経過剰なことの特徴でもあり、胃酸が逆流してくるのも交感神経が過剰になり食道が上がってしまったことによる問題である可能性が高い。

めまいも自律神経のバランスが乱れることでリンパ液の急激な増減によって出ていたものと考えられる。日によって痛む場所が変わる頭痛はホルモンバランス異常の特徴でもある。

神経の流れを整えて、卵巣の状態を脳が正しく把握することができるようになった結果、不要な指令を出す必要がなくなり徐々に自律神経が安定していったものと考えられる。改めて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けてあげることの重要性が分かる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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