
夜中に発生した肩の痛み
来院の1週間前から右肩に鋭い痛みが走るようになり、夜間に突然痛みが悪化。安静にしていても痛みが治まらず、その日は眠ることができなかった。
翌日、肩を軽く動かしてみたところ、可動域が著しく制限され、80度以上腕を上げることが困難になっていた。痛みは右の首から肩にかけて広がり、特に右肩中央部に強い痛みを感じた。手を後ろに回すことも、前に出すこともできず、洗濯物を干す動作が難しくなったため、低い位置で干すように工夫したが、大きなものが干せずに困っていた。さらに、右手で料理をする際にも痛みが出るようになり、日常生活に支障をきたしていた。
シップを貼ってみるもあまり効き目はなく、また、ストレッチで動かそうとしても痛みのせいで十分に伸ばせずにいた。
また、夜間に痛みが徐々に悪化し、睡眠が妨げられる状態が続いた。このままでは家事への影響が大きくなり、日常生活がさらに困難になると感じたため、根本的な改善を求めて当院を受診した。
頚部の起立筋の筋緊張
右肩の可動制限(外転80度まで)
初診時には、視診にて右肩の可動制限(90度まで)と頚部の起立筋、特に右頸部から肩にかけての筋緊張が確認された。体表温度検査ではS2、C5に反応があった。静的触診では右肩関節部全体に浮腫感と熱感があり、動的触診では右の骨盤(仙腸関節)とC5の可動制限が認められた。レントゲン評価では、C5の椎間板はD4レベル、L5/S1の椎間板はD5レベルと慢性的な段階が確認された。そのため、初期集中期には州2回のペースを提案したが、仕事の都合上、週1回のケアから開始した。
初回のアジャストメントは疼痛が強かったため、右肩へのアプローチはスラストではなくポンピングを実施。それでも疼痛が強くなる可能性があったため、アイシングをアドバイスし、自宅でのケアを促した。
3回目のアジャストメントには、鋭い疼痛が軽減し始める。
依然として肩の可動域制限はあるが、可動範囲がわずかに広がったと感じるようになった。動かせる範囲でストレッチをし始めた。
8回目のアジャストメントには、右肩の浮腫感が軽減し、筋肉の伸びが良くなり始める。以前よりも動かしやすくなるが、まだ完全には可動域は戻っていない。ストレッチもしやすくなっているとのご報告をいただいた。
11回目のアジャストメントには、疼痛が大幅に軽減し、可動域が130度まで回復。
ここでアジャストメントの強度を少し変更し、より可動域を広げる方向へシフト。
13回目のアジャストメントには、日常生活での動作に支障がほぼなくなり、肩が楽に上げられるようになった。この時点では150度まで改善し、洗濯物なども通常通り干せているという。まだ完全に痛みがないわけではないが、日常生活での支障はほぼ解消。自身でも積極的に動かそうという意識が芽生え、少しずつストレッチなどを取り入れ始める。さらなる改善を目指しながら、現在はメンテナンスに移行している。
執筆者OKAカイロプラクティック岡芹 侑哉
1993年、埼玉県出身。柔道整復師・鍼灸師の免許取得。接骨院・鍼灸院・整形外科の研修後、接骨院を開業。塩川スクールにてトムソン教室、クレニオセラピー、上部頸椎ボディドロップターグルリコイル、Gonstead seminar修了。現在、塩川スクールの検査のインストラクターとしてカイロプラクターの育成に携わる。