
怪我をしてしまう根本原因を改善する
ジムでレッグプレスを使用中に右脚の付け根に痛みを感じ、その後は歩行が困難になるほどの強い痛みが続いたため来院された。
もともと体を動かすことが好きで、学生の頃から運動を続けてた。高校生までは サッカーをしており、運動習慣があったものの学生の頃は勉強のために長時間座ることが多い生活を送っていた。社会人になってからはデスクワークが中心となり、座っている時間が増えたが、運動の習慣は続けており最近はトレーニングの強度を上げていたこともあり、疲労感も感じていて体への負担が気になっていた。腰は痛みはないが慢性的に疲労感を感じやすかった。
現在の仕事ではデスクワークが中心で移動で歩くことも多く、今回の怪我が過去の運動歴や現在の生活習慣、最近のトレーニング強度の変化と関係しているのではないかと感じ、根本的に改善したいという思いでインターネットで検索しカイロプラクティック知った。
左仙腸関節の明らかな可動域制限、腰部脊柱起立筋の筋緊張
仙骨全体に広がる浮腫感
左上部頚椎部位での強い浮腫感
初診時の状態では、上部頚椎と骨盤には明らかな可動域制限と強い浮腫感、体表温度検査では明らかに左右の温度の誤差が確認された。
初期集中期の段階では2週回のケアから開始した。
2週目(3回目のアジャストメント)には、初回来院されたときには痛みで右脚を支えながら歩行されていたが、歩行はスムーズになり寝ていて痛みで起きなくなったと話されていた。
5週目(8回目のアジャストメント)には、右脚は日常生活では痛みはほぼ消失し、し、痛みがない範囲で下肢のトレーニングを再開した。
16週目(20回目のアジャストメント)には、歩行時に歩幅が広がったように感じると話されていた。
18週目(24回目のアジャストメント)には、ランニングや自転車、トレーニングはレッグプレス以外のトレーニングは痛みなくできている。仕事中の腰部の疲労感は仕事が忙しいと辛くなるが以前より頻度が減ってきている。
現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。
今回の右大腿部の肉離れは、骨盤のバランスの乱れが原因であったと考えられる。
大腿部の肉離れは、筋肉の過度な収縮や外力によって筋線維が損傷することで発生する。特に骨盤のバランスや神経の働きが影響を与え、痛みや回復の遅れにつながることもある。
肉離れの主な要因は、筋肉への過度な負荷や急激な動作であるが左右の骨盤のバランスの乱れ骨盤のや神経の影響も重要な要素となる。骨盤のバランスが崩れると、大腿部の筋肉にかかる負担が均等でなくなり、一部の筋肉に過剰な負荷がかかることで損傷しやすくなる。また、筋肉の緊張や血流の低下が回復を遅らせる原因にもなる。
損傷部位では、炎症反応が起こりプロスタグランジンが分泌される。プロスタグランジンは血管拡張や痛みの増幅を引き起こし、損傷した筋肉周辺の腫れや痛みを強くする。このプロセスは痛みを感じる神経と密接に関係しており、神経が過敏になることでより強い痛みを感じることがある。
自律神経の交感神経と副交感神経は筋肉の修復にも関与している。特に交感神経が優位な状態が続くと血管が収縮し血流が低下するため、筋肉の硬直が起こりやすくなり、肉離れの回復を妨げる可能性も考えられる。またストレスや痛みによって交感神経が過剰に働くと、コルチゾールの分泌が増加し、さらに血行不良を引き起こすことでかい回復が遅れることも考えられる。
骨盤のバランスが崩れていると、特定の筋肉に過剰な負荷がかかり、肉離れのリスクが高まるだけでなく、回復にも影響を及ぼす。副交感神経は血流を促進する働きがあるが、交感神経が優位になるとそれらの作用が低下し、筋肉の修復が遅れることがある。神経の適切な伝達が行われることで筋肉の機能回復が促され、再発のリスクも低減にも繋がる。
アジャストメントによって、サブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経の流れが整った結果、大腿部の肉離れの回復が促進されたと考えられる。
長年、運動を続ける中で繰り返し発生していた肉離れに悩んでいたが、神経の流れを整え、回復力を高めることの重要性が確認できる症例である。
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。