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デスクワーク中に起こる大きなめまい

デスクワーク中に起こる大きなめまい

“めまいに悩まされることなく仕事ができています”

20代男性
主訴
回るめまい
来院に至った経緯

最近頭がクラクラすることが増え、大きな動作をしていないにもかかわらず、立ちくらみのような感覚に襲われることがある。日常生活の中で突然ふらつくことがあり、不安を感じる場面が増えてきた。
普段はPC作業が多く、集中したいときにかぎって大きなめまいが出てきたりすることもあり、仕事にも悪影響がでるようになってきた。

さらに、腰の強い痛みにも悩まされている。特に朝、前傾姿勢を取った際に痛みが走ることが多く、顔を洗ったり靴を履いたりといった動作が億劫になってしまう。日によって痛みの強さに波があるものの、一度痛みが出るとしばらく続くため、日常の動作にも影響を及ぼしている。

また、常に全身のだるさが抜けず、朝スッキリと目覚めることが少なくなった。日中も倦怠感が続き、仕事や家事に集中しづらくなることが増えてきた。疲れが抜けにくく、何をしてもスッキリしないため、「この状態をどうにかしたい」という思いが強くなっていた。

これらの症状が重なり、日常生活に支障を感じ始めたため、根本的に体を整えられる方法を探していたところ、カイロプラクティックに興味を持つ。薬に頼るのではなく、自分の身体の機能を正常に戻し、不調を改善したいという思いから、来院を決意した。

初診の状態
  • 01

    仙骨2番を中心としたブヨブヨとした浮腫

  • 02

    脊柱起立筋の緊張が仙骨の中心に向かって走る

  • 03

    右の乳様突起周辺に限局的な浮腫感

  • 04

    座り姿勢で突然大きなめまいに襲われることがある

  • 05

    かなり細身

経過と内容

腰部側面像では、L5の椎間板がD2、頚椎側面像において、C6の椎間板がD2~3で慢性化が進んでいることが確認できるため、初期集中期では週に1回のケアを推奨し、実際にケアを開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)では、基本的にこれまで出たような大きなめまいが起こることはなかったそう。少し疲れが目立つかなといった程度であった。仙骨の浮腫はかなり小さくなるが、上部頸椎の神経圧迫はまだ残存している

4週目(4回目のアジャストメント)では、洗顔をしている際にくしゃみをしたら腰を痛めてしまったようであるが、すぐに回復されたとのこと。めまいは出ていない。

7週目(7回目のアジャストメント)では、会社での心身的なストレスが溜まり過労で倒れてしまったとのこと。病院での診断は双極性障害であった。頸部の緊張が、初診時よりはマシではあるものの、かなり強くなっていた。

15週目(10回目のアジャストメント)では、大きなめまいやメンタルも落ち着き、頸部の緊張も同じく落ち着きを見せている。

39週目(18回目のアジャストメント)では、大きなめまいを見せることもなくだるさも感じにくくなってきている。現在は転職活動をしながらメンテナンスでカイロプラクティックケアを月に1度続けている。


考察

この患者さんに見られためまい・ふらつき・強いだるさ・朝の腰の痛みといった一連の不調は、自律神経のバランスが乱れていることが大きな原因だと考えられます。

初回の施術時には、骨盤の下にある「仙骨」と呼ばれる部分にむくみがあり、また、首の横にある「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」という筋肉が強くこわばっている状態が確認されました。これらは、体がストレスを受けて緊張していることを示すサインであり、特にめまいやふらつきについては、耳の奥にあるバランスを感じ取る機能に問題がある可能性もありますが、首まわりの筋肉がかたくなることで血のめぐりが悪くなったり、感覚の伝わり方が鈍くなったりすることで、症状が出やすくなっていたと思われます。

この首の筋肉は、耳のまわりの血流やバランスを取る働きにも関わっているため、こり固まるとめまいやふらつきが起こりやすくなります。また、首の一番上にある骨(第一頚椎)にゆがみがあると、自律神経の中枢である脳の一部にまで影響が広がるため、首の調整はとても重要になります。

さらに、仙骨のむくみは、骨盤の中の血流やリンパの流れが滞っていたり、体を回復モードに導く副交感神経の働きがうまくいっていないことを反映しており、この働きが弱まることで、だるさや消化の不調、眠りの質の低下といった全身の症状にもつながっていたと考えられます。

とくに朝の腰痛が強いという点からは、夜のあいだにしっかりと体が回復できていないことがうかがえます。仙骨の状態が悪いままだと、腰の骨にも負担がかかり、腰の関節や椎間板に炎症が起こって、朝に痛みを感じやすくなることもあります。加えて、この患者さんがとても細身であることも関係していて、長時間のデスクワークや不規則な食生活が続くと、血糖値が下がりやすくなり、脳にエネルギーが行き届かなくなることで、自律神経の働きが乱れ、ふらつきや集中力の低下、だるさなどが出やすくなります。

さらに、血糖値が下がると、体はそれをカバーしようとして交感神経を過剰に働かせるため、心拍が速くなったり、冷や汗が出たり、手が震えたりといった不調が出ることもあり、血圧の調整がうまくいかず、めまいがさらに悪化することもあるのです。

今回のケースにおいて、初期段階から第一頚椎や仙骨に焦点を当てた調整を継続的に行ったことで、自律神経のバランスが整い、実際にめまいや倦怠感が軽減し、現在はメンテナンス段階に移行できている点は、神経を絞ってアプローチすることの重要性を再認識できる症例でありました。

関野 貴友

執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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